ジャズを知らなかったということを全く知らなかった半年前の自分。音楽に対する想いも遠のき、腕も動かず、存在すら見失うという事態になろうとは誰が想像しただろう。アリゾナへの小旅行を経て、心も体もリフレッシュして迎えた秋学期。新しい先生(ピーターザックやブーカス)、新しい仲間(アンソニー、ハンナ)、新しい学び(ブラジル音楽)。タイ人のドラマ―、テップとのルームシェアも始まった。作曲の課題発表では、割れんばかりの拍手! でも、ここに甘んじてはいけない。50歳目前でNYジャズ留学を決行した大江千里の修行は続く。登場曲は「Stopin’ at the Savoy」「All the things you are」ほか。【読了時間 約24分】
東京は夜の6時。「大江千里Saturday Night Orchestra in 東京ジャズフェスティバル」が始まろうとしている。緊張が悪魔のように押し寄せてくる。面白くないジョークを言うもの、それに爆笑するもの、鏡を何度も覗きこむもの、楽器を磨くもの。「さあ、みんな緊張してますよ。これは楽しく記念撮影しといたほうがいいでしょう」とシャーリー(日本男子)がみんなに呼びかける。シャリーは25年来の友人。持つべきものは友だ。開演30秒前、誰からともなく集まって手を重ねた。Let's enjoy the moment! 僕らは前を向いて舞台へ出て行った。東京ジャズの舞台裏を大江千里自らレポートします。シーラ穣のお茶目な一面も、お楽しみに!
毎回、学期後半になると「ソフォモアジュリー」の季節がやってくる。ソフォモア(2年目)の学生を目安に、ジャズの実力がついたかどうかチェックする実技試験だ。そのテストにパスするかどうかは、3年次の授業に大きくかかわってくる。まず、譜面を見ずに演奏できる曲を10~12曲選ぶ。次にリードシートを用意する。そして、3人の百戦錬磨のの審査員たちの前で、バンドリーダーとして曲を演奏する。僕は、「The Real Book」をめくって、片っぱしから弾いてみた。ジュリア先生のアドバイスを受け、猛特訓が始まる。イパネマの娘、コンファメーション、黒いオルフェ、ステラバイスターライト、イット・グトハプントゥユーを始め18曲が登場します。さて、試験当日弾いたのは…!? 【読了時間 約25分】