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突然の喀血により結核に冒されていることを知った明石。四十代の働き盛りで療養生活を余儀なくされ消沈する明石が入院先で出会ったのは、自分よりもさらに死に近い病人たちと、その儚い命の終焉だった。結核がまだ致命的な病であった時代、死の淵を彷徨い絶望と虚無に陥った男の心はどこへ向かったのか。生と死、信仰と救済。遠藤文学を貫くすべてのテーマが凝縮された感動の長編。
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Posted by ブクログ
★5つ 読みながらリアル感があると関してましたが、解説を読み納得。 自分自身も短い期間だけど入院したこともあり、術後で声が出ない時、医師から言われた期間でドレンが外れない時など色々と思い出しました。 本作でも「生活」と「人生」が表現されており、奥深いテーマだなと、、 2024年のベスト本に遠藤さんは...続きを読む入ってきそうですが、どの小説を選ぶか悩みます。
著者自らの闘病生活をそのまま綴ったかのような内容。主人公の明石が入院中に見た「あの目」が彼に訴えようとしていたのは人生の本質とも思われるそれ。「人生」と「生活」、その両方を行き来する時に人は何を見るのか。 きっと読む誰しもが「共感」を感じる一冊だと思います。とても満足でした。
肺病を患って長い入院生活から生きることの意味を見出そうする主人公の物語。飾ることのない単調な物語に深淵な哲学や宗教観が織り込まれている。
これを読んでいる間中、父親が何度も重なった。 そしてこの本を思い出すと大連のマックを思い出す。 とても、懐かしい思い出が詰まってる本。
初めて読んだ遠藤周作の本。 すごく丁寧に主人公が描写してあり、物語に没頭しやすい。 17年ぶりに肋膜炎を再発した男性の、病気を克服するまでの日々を描いた小説。闘病というよりは、病気との共存を通して、生きる意味を静かに問いかけている。 多分、人によって好き嫌いが分かれたり、読む時期も選びそうな本。自分...続きを読むが感動できる時期に読めて、本当に良かった。 特に気に入った部分はこれ。 「手術をやめる自由はまだ残されているのだと思いながら、掌の上の丸薬を見ると、言いようのない快感がこみあげてくる。それは自分の自由を弄んでいるという快感だった。」
一回よんでみる。二回読んでみる。僕はこんな世界みたことない。将来見るのかもしれない。そんなときは主人公のような気持ちになりたいと思う。
あらすじを見て、読んでみたいと思った作品。 テーマは興味深いのだが、「導入」「起承転結」「終わり方」「題名」がそれぞれ別の方向を向いているような、長編なのにチグハグさを感じた一冊で、 一つ一つのものはとても興味を持てるのに、全てを線で繋げられていないような不安定さを感じた。 しかし遠藤周作自身が伝え...続きを読むようと思ったテーマはしっかりと書かれており、読み進めることで考えさせる本だったと思う。 チグハグさを感じたが、それは逆にいえば全てを集中して記憶するように読まなくても楽しめるということなので、病院内のことが多く明るくはない内容だが興味がある人は手に取ってもらいたい一冊。
遠藤周作の作品をいくつか読んだ上で、この作品が完成度の高い作品とは思わなかったものの、病気を通じて人生の悲哀を感じるという感覚は、現状健康な自分は持ち合わせていないので良い読書体験。
静かな気持ちになりました。 静かに静かに進みながらも、気づけば最高潮に。まさに満ち潮のよう。感情の大波が訪れていました。 生きることを見つめていく明石の、たった一人と九官鳥一話の深夜の対話。溢れる彼の涙。 明石の心を捉えた、病室の夫婦。手を握り合った2人の情景が忘れられない。 良書でした。
小説のところどころに「沈黙」の一場面を思い出させる描写があって、遠藤作品そして遠藤周作さんのつながりを感じました。そのほかの作品にも流れる「人間をありのままに受け入れる」ものについての遠藤さんの強い確信を感じるよい小説でした。
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