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実家は病院で将来の夢は医師。東京で恵まれた中学校生活を送っていた有人は、学校で注目を集めたある出来事で希望を失い、引きこもり生活を続けていた。彼の行く末を心配した叔父の雅彦は、心機一転、北海道の離島の高校への入学を勧める。「海鳥の楽園」と呼ばれるその島で、たった4人の級友と島民に囲まれる日々。東京での暮らしとは全く違う環境に、有人が戸惑いながらも馴染み始めた頃、残酷な別れが彼を襲い……。未来を失った少年の絶望と再生を描く、感涙必至の青春小説。
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Posted by ブクログ
今のところかなり好きな本です。 少し前に読んだため、記憶が曖昧な部分もありますが、不登校の男の子がとある島で自分を取り戻して生きるお話だったような… 葛藤とかそんなのが、伝わる、少し希望も与えてくれる、そんな本だったように思います。
道下さんは出てくるのだろうなと乾ルカさんならきっとそうなるだろうと思ったら、あのタイミングなのね、というか叔父さんダメだよそんな消え方は叔父さん自身にも天売島にも何一つ幸がないから。叔父さんに裏切られたと思った日から100ページも鬱鬱とするのか、長いって、もっと手売島の鳥たちと天文台と自然の中を感じ...続きを読むたかったよ、有人の3年間をたくましくなってと、最初から最後まで何も変わらない、ソリャそうなんだよね、深く根付いた鬱屈と元々の人格と変えられない。変わらなくても動く事で、だね。また一つ勉強になりました
有人(ゆうと)は幼い頃、機内で急病人が発生した際に、医師として名乗り出た叔父の姿に憧れを抱いて、医師になる夢を持っていたが、中二の時に起こったある出来事がきっかけで、引きこもりになってしまう。 北海道の離島、「海鳥の楽園」と呼ばれる照羽尻(てうじり)島の診療所で働く叔父の勧めで、有人は照羽尻高校を受...続きを読む験し、叔父と二人で暮らし始める。 家族のように屈託のない態度で接してくれる島民の人たちや、たった4人の級友たちに、しだいに心を開いていく有人だったが、突然の別れが彼を襲う。 「引きこもり」「離島」そんな言葉から想像される単純なストーリーではなかった。 高校生が5人しかいなくても、日々の暮らしの中で心動かされることはたくさんあるし、島外からやってきた子も、この島で生まれ育った子も、同じように心に抱えているものがある。 島での生活が鮮やかに描かれていて、とても読みごたえのある内容だった。 今までの勝手な思い込みを覆して、有人が再生していく様子に心打たれるし、過去にとらわれて一歩も動けないでいる人に背中を押してくれるような、力強い物語だった。
その人にはなれなくても、その人の生き方や考え方に憧れて、自分の在り方を決めたり変えたりすることはできるのかもしれませんね。
中学のときのある出来事がきっかけで目指していた目標も持てなくなり、家に引きこもって外に出ない生活をするようになった主人公の川嶋有人は、離島で医者をやっている叔父の雅彦の計らいで、北海道の島にある高校に通うようになる。 離島での仲間との生活や、離島の人々との関わりの中で一度閉ざした心がだんだんと開かれ...続きを読むて行く様子がこの小説を通して描かれています。 高校の同級生や先輩とのやりとり、島に住む家族との交流には人間の温かさがあり、実に高校生らしいなぁと思う場面が多いです。 島に住む4人の高校生の友人たちもそれぞれ何かしらの事情を抱えていたりする中で、それらをお互いに理解するまでの過程とか、高校生の青春ならではのような場面もあり、読んでいると自分もその離島で暮らしている一員なんじゃないか思ってしまうほどです。 離島と医師の存在という離島ならではの課題点を軸に据えながら都会から来た主人公がだんだん離島の人々に染まって行く様を青春にのせて描かれているこの小説はあっという間に読み進められると思います。
自分が目標にしていたものに手が届かないかもしれないとき、孤独で不安であきらめたくなる。 でもいつか自分を取り戻して動き出せる日がくるよと励まされるようなそんなお話。 読み返したくなる。
やっぱ読書は良いね なんでもそうだ。手元からなくなってわかる。そして、良かったもの、大切なものはたいていなくなる。せいぜい惜しめと、己の価値を主張するかのように。
未来の自分になって今を振り返ってみる 迷いから抜け出せる言葉だと感じた。 行動するのは何歳になっても勇気がいる。 過去の自分と今の自分が例え同じだったとしても、未来の自分はちょっとは成長していたい。 踏み出そう。今。
中高生におすすめの一冊、発見です! 川嶋有人。中2で心に傷を負い不登校に。医師である叔父の勧めで、東京から北海道の離島の高校へ。 そこは、全校生徒5人、朝刊は昼届き、コンビニなし、Wi-Fiなし、まるで流刑地・奈落の底(?)のように思えるのでした。 けれども島の人たちは、まるごと家族みた...続きを読むいで、叔父の診療所はTVドラマ『Dr.コトー診療所』の一場面を観ているような気になります。 有人は、誰彼なく話しかけられ、島内の情報伝達力の速さに逃げ場のなさを感じますが、それでも、島の人や自然と関わる中で、認められる経験を通して緊張感がほぐれ、心の中に熱が宿り、少しずつ変容していき、ここは自分の居場所と認識できるようになっていきます。 ところが、重大な出来事で状況は一変します。何もない島の生活に見えて、物語はいろんな展開が待っていて、飽きさせません。 最後に有人が立ち直るまでの過程は、手に汗握って応援し、共感する描写になっていると思います。 「未来に目を向けよ」「動け」というメッセージは、筆者の有人への叱咤激励であり、悩みを抱える読者(特に若者)へのエールに違いありません。
『水底のスピカ』もそうだったけれど、これも友達との距離感をテーマにしたストーリー。近しい人が苦しんでいる時に、リスクを負ってどこまで相手のプライベートな領域に踏み込んでいくかが描かれている。物語としては『銀の匙』のように、都会の学校での生活で失敗を経験した子が、田舎の学校で新しい自分を見つけていくと...続きを読むいうような話になっている。だけれど、『銀の匙』において主人公が入っていく農業高校は濃密な生き物や自然との関りだけれど、ここでは人口の密集した都会での人々の距離感と、過疎の島での濃密な人と人との関りという対比がより重視されている。 ラストの叔父との葛藤と乗り越えは、例によって物語をしめるための、ドラマチックな展開の要請という感が否めなかったけれど、読み終わった時の読後感はとても充実したものだったので、良しとする。
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