やっと訪れた春に

やっと訪れた春に

1,760円 (税込)

8pt

男は、生きるのがどこまでも下手だ。

二人の藩主を擁する橋倉藩。
割れて当たり前の藩を割れさせぬ――重すぎる命を課された近習目付たちの命運は。
名もなき武家と人々の生を鮮やかな筆致で映し出す。

橋倉藩の近習目付を勤める長沢圭史と団藤匠はともに齡六十七歳。本来一人の役職に二人いるのは、本家と分家から交代で藩主を出す――藩主が二人いる橋倉藩特有の事情によるものだった。
だが、次期藩主の急逝を機に、百十八年に亘りつづいた藩主交代が終わりを迎えることに。これを機に、長らく二つの派閥に割れていた藩がひとつになり、橋倉藩にもようやく平和が訪れようとしていた。
加齢による身体の衰えを感じていた圭史は「今なら、近習目付は一人でもなんとかなる」と、致仕願を出す。その矢先、藩の重鎮が暗殺される。いったいなぜ――隠居した身でありながらも、圭史は独自に探索をはじめるが……。

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やっと訪れた春に のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ

    本家と分家が交互に藩主を出すという極めて不安定な事情を抱えた藩で、両家の当主を支えながら藩の政治の安定を図ってきた二人の壮年の侍。藩の中興の祖から続く因縁を密かに抱えながら、厚い友情で結ばれ苦楽を共にしてきたが、重臣の暗殺により思わぬ展開を見せる。あらすじといい、登場人物の魅力といい、素晴らしい歴史

    0
    2023年04月09日

    Posted by ブクログ

    時代小説とミステリが合わさったような小説。普段は現代ものばかり読んでいるので、初めは文章や単語に馴染めなかったが、登場人物やその時代の暮らしがとても魅力的で飽きなかった。
    ストーリーも大胆で面白く、最後は一気に読んでしまった。

    宮部みゆきさんの時代小説と同じく、梅干しやうどんなど、素朴な料理がとっ

    0
    2023年04月29日

    Posted by ブクログ

    藩主が二人いる橋倉藩。
    当然、そこには二人の近習目付を置くことになる。
    だが、藩主相続を望まないという申し出と共に
    藩はひとつにまとまった。
    春が訪れようとしていた。
    が、そこで起きた暗殺事件。
    P220
    〈時々の代をつなげていく者たち〉の
    命(めい)に縛られた過酷で悲しすぎる生き方に胸が塞がる。

    0
    2022年09月17日

    Posted by ブクログ

    老境を迎えた二人の重臣。

    その老後を淡々と描くと思いきや、二人が仕えた元藩主が突然殺害される。

    背景に二人の祖父たちが関わった班の重大事件が浮かび上がる。

    藩主の交代制や、考えにくいが屍体を斬る稽古は、何度も縫って使い回すことも含め、実際に例があったという。

    間者が同様の訓練を永年にわたって

    0
    2022年09月09日

    Posted by ブクログ

    なんだか青春恋愛物みたいなタイトルですが、れっきとした武家物の時代小説です。しかも主人公は致仕した老人だし。
    主人公の心の声を鋭く短い文章で書き連ね、言わば点描画の点を短い線に置き換えたように、物語が形作られて行きます。文章は短いけれど、次々にミッチリと打ち出されるので、ある種の饒舌感もあります。ま

    0
    2022年07月30日

    Posted by ブクログ

    題名が爽やかな感じがして借りたが、内容はかなり凄まじい話だった。くるみみそのうどんが出てきて食べてみたくなった。

    0
    2022年11月27日

    Posted by ブクログ

    前半の説明が長く、我慢の読書が続きました。かと言って後半もなんだそんなかよと。タイトルもなんだかなあ。

    0
    2022年09月11日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    本家と分家、交代で藩主を出していた橋倉藩では十四代目当主候補岩杉重政が相続を辞退し、ようやくその分裂めいた状況が終息するかに見えた…が、重政暗殺により事態は急変、本家分家それぞれの近習目付であり幼馴染であり親友の長沢圭史と団藤匠が暗殺犯を追う。

    事件の成り立ちも、登場人物たちの動きも思想も、間違い

    0
    2023年08月31日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    今回も青山文平、楽しめました。
    年老いた親友2人の互いに思いやる姿が好ましいと思って読み進めていたら、2人の親友たり得たかもしれない犯人が最後に現れ、2人の人生の影の様に生きていたことが判明。
    ミステリー仕立てで現代的な匂いのする時代小説だと思いました。
    九曜紋の鮫鞘の刀、梅仕事などの詳細な描写も物

    0
    2024年05月26日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「藩政を抜本改革した分家の岩杉重明以降、本家と分家から交互に藩主を出していた橋倉藩は、重政が相続を遠慮したため分裂が終わるはずだったが、その重政が刺殺された。重明の命で反対派を粛清した鉢花衆の末裔・長沢圭史と団藤匠は、馴染みのうどん屋で議論しながら犯人を追う。」(『2023本格ミステリ・ベスト10』

    0
    2023年03月16日

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