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突然小さなお店を経営することになった海果だが、奮闘むなしく店は閑古鳥。そんなある日、ちょっぴり生意気そうな女の子に出会う。「人生の戦力外通知」をされた人々の再生を、温かなまなざしで描く物語。
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Posted by ブクログ
何もかも失われた状況から少しずつ、同じように捨てられたり、いらないものとされている人たちが寄り添い、同じく捨てられたり、いらないものとされた魚や野菜が集まり、前を向いて歩いていく。とても心地よい物語でした。さて、海果と結ばれたのは誰でしょう?
今回もさわやかで、心に何かひかかる作品でした。 まず気になるのは、喜多嶋隆さんは、どんなプロットを描いて この小説を書いたんだろうという事です。 人間模様、その人の背景、心のありよう等、読み手に伝わるものが感じられました。 ======== あとがきにも、喜多嶋隆さんは色々書いています。 私はもう...続きを読む一つ、この物語に隠された、喜多嶋さんのメッセージがあるように思います。 それは、貧困です。 今の日本、確かに豊かなのかもしれません。 しかし、給食費が払えない子供たちもまた存在します。 親にかまってもらえない子供たちも存在します。 虐待、放置、放棄等も存在するでしょう、私達の目の届かない所、行政の目の届かない所で 確実に存在し、ニュースになるのは氷山の一角にすぎません。 そんな日本の中で、貧富の差は大きくなっているのではないか? 特にCOVID-19で職を失った親たちが、どうやって子供にご飯を食べさせていくのか? 教育をどういうプロセスで与えていくつもりなのか? そんな裏の想い、メッセージがあるのではないかと感じました。 最近ある方とお金の話をしました。 年収が300万円の人の1万円と年収1000万円の人の1万円 同じ1万円だけど、年収300万円の人は1万円をものすごく大切に扱うのではないだろうか? そんな話をしました。 経済価値は同じ1万円でも、それを使う人の心で価値価格はものすごく差があるように思います。 そんな話をした時に、喜多嶋隆さんが今回発刊した「潮風キッチン」が私のココロを抉っていった。 この物語でも、お金の価値、物の価値について、メッセージを発信している。 そう感じております。 読む方は、物語の内容だけでなく、その裏に隠されたメッセージを読み取りながら 読み進めるのも一つの読み方だと思います。
湘南・葉山で暮らす海果は18歳。 高校を卒業したばかりのある日、母が突然家を出てしまい、海果に残されたのは母の残した300万円余りの借金と、売却も難しい立地に建てられた古い家の。 信用金庫の貸付を担当する葛城から、母が経営していた居酒屋を再開させtみてはどうかと持ちかけられた海果は漁師だった祖...続きを読む父から教わった料理の知恵を活かし、店を始めることにする。 さらに。魚市場で働く一郎や、孤独を抱える少女・愛、映画撮影に来ていた俳優の慎と出会ったことで、店と共に海果の人生が少しずつ回り始めていく。 今回の舞台はタイトル通り、湘南の小さなレストランです。 海果だけでなく、愛も葛城、一郎、慎も、それぞれの事情や孤独を抱えていて、それぞれが支え合い、関わりあうことで小さな一歩を踏み出して行きます。 「俯いてばかりいちゃダメだよ」というエールと共に、今回はフードロス問題も取り入れています。 そこを軸にして、貧困差問題や子供たちの基礎体力低下問題などをさりげなく織り込んでいて、いろいろな角度から考えさせられる作品に仕上がっています。 いつものリズミカルな文体も損なわれていませんし、喜多嶋作品未読という方にオススメしやすい1冊だと思いました。 何よりも。 出てくるお料理はどれも美味しそうですし。 さらに、紹介されている音楽の選曲のセンスも抜群なんです。 そういう角度からも楽しめる作品なので、色々な人に手に取ってほしいな。 それぞれの登場人物の抱える問題もまだ解決したわけではありませんし、シリーズ化を期待します。 最後は余談です。 今回、旭屋牛肉店のポテトサラダが登場! いつものコロッケももちろん美味しいのですが、私の一番おお気に入りがポテトサラダなので、とっても嬉しかったです。 早く、普通に葉山にドライブに行けるようにならないかな。 ポテサラとコロッケ、メチャメチャ食べたいです‼︎
ひとまず主人公の母親も愛の父親も育児放棄していて、見えづらい日本の闇が垣間見える。 落ちた魚を拾ったり、歪な野菜を買ったり、フードロス問題にも着目。 それも恋を交えてわかりやすく。
おかれた状況で最善を尽くす、それをひたむきにがんばる人々の姿が読みやすくかかれている。料理ものが好きなので、入り込みやすかった。個人的には、どっち付かずの恋愛要素は要らないなぁと思うけど。
湘南を舞台にした小説。 作者が伝えたいのは、この世にいらないものなどないということ。 決して捨てられる為に生まれてきたものなんてないということ。 そのテーマの対象が食べ物だったり、人だったり、、、 この世にどんな物でもどんな人でも必ず必要としてくれている人がいると言う事が伝わる温かい小説。
色々な問題(ネグレクトとか規格外の魚や野菜)を含む物語でありながら海や若さでさらりと読める話になっていた。恋愛要素が中途半端で終わってしまうのが不満だったけど、それがこの話の爽やかさを後押ししてるのかも。 この前学校給食でも未利用魚でた。そういうのを扱うお店が一般人でも気軽にいける場外にあると嬉しい...続きを読むんだけど。
学生時代以来、ウン十年ぶりに喜多嶋作品を読む。 舞台や構成は変われど、とても懐かしい世界観。 若いころ読みまくり、ハワイにあこがれたものでした。 飾り気のない元気な女の子(女性)が主人公で、なんやかんやありつつ強く生きていく定番ストーリー(良い意味で)に、主人公が冒頭で必ず鏡を見て外見チェックし、...続きを読む読者に容姿を教えてくれる「お約束」。何もかもが懐かしい・・・。 こちらはめっきりトシをとってしまったが、作品世界はウン十年たってもブレずに新鮮だ。
ちょっとしたところに美味しそうな所や爽やかな海の情景が浮かぶ描写があり臨場感があった。主人公達の会話の掛け合いやこれからの幾多の未来を想像させる終わり方も良かった。
とりあえず…お母さん最悪やないかい。娘辛いよ〜。 けど主人公がそこまで悲観的になってなくて読めました。 それに食べ物の大切さが凄く沁みる。
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