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インバウンドの増加は、旅行者による消費拡大という恩恵をもたらす一方、マナー違反や環境破壊、住宅価格の高騰などの副作用も生んだ。それが「オーバーツーリズム」=「観光公害」である。観光公害に見舞われる京都に住み、大学で「観光学」を教える著者は、日本各地のみならずヴェネツィアなど海外の観光地にも足を運び、徹底したフィールドワークで観光公害の実態と解決方法を提示する。
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Posted by ブクログ
観光について研究し京都に住む著者が見る、京都の混雑とその対策を足掛かりに、たくさんの観光客が来訪した際に引き起こす問題点を考える。 現地の人の生活と観光客とのバランスのとり方、公共交通機関を現地の人と観光客で完全に分けたり価格を分けたりする対策、観光資源への入場制限など、各地でそれぞれに取られている...続きを読む対策を見ていく。
<目次> はじめに 第1章 変容する千年の古都~観光客と地元住民。軋轢が生まれている京都の現実 第2章 「観光公害」とは何か~インバウンドの「数」と「質」の問題 第3章 日本各地の「オーバーツーリズム」~北海道から沖縄まで。こんなところにも観光公害が 第4章 「海外の有名観光地」の現実~「世...続きを読む界三大”観光公害”都市」などを現地調査 第5章 観光公害を解決するには~混雑、騒音、環境破壊…「お客様は神様」とは限らない⁉ 第6章 誰のための「観光」か~「日本版DMO」に身を置いて <内容> 近年の京都の混み具合は度が過ぎると思い、中国系のインバウンドが過ぎると感じていたが、この本はまさにその辺を語ってくれた。しかし、海外も同様だとは知らなかった。そのための対策だが、マチュピチュのように人数制限が一番妥当だと思う。人間「儲け根性」に侵されると、ろくなことはない。ギリギリのレベルでいいのではないか?白川郷のホテルなど言語道断であろう。しかし、京都や鎌倉などは、閉ざされた空間ではないので、人数制限とはいかない。いい手はないのか?自分も観光客となることが多いのだが、人気のないところを選ぶし、趣味的にはレア系のものなので、宿以外はあまり観光地に貢献していないけどね…。
コロナ禍で「ちょっと一服」感もあるが、少し前までしきりに騒がれていたのが本書のタイトルにもある『観光郊外』だ。 本書は世界各地の有名観光地で起こっている観光郊外や外国人排斥運動などを取り上げている。確かに深夜まで騒がれたり、むやみやたらとカメラを向けられたりした、怒りたくもなるだろう。 観...続きを読む光スポットからほど近い住宅街に住んでいるので、食べ歩きのゴミのポイ捨てや、自宅敷地内への立ち入りも経験した。「インバウンドはよろしくない!」と思っていたら、コロナ禍で日本人観光客ばかりになった今でもポイ捨ては続いている。 「富士山麓では、自然環境の保護のために人の出入りを禁止したら、かえって産業廃棄物の不法投棄が増えたという例もある」というくらいだから、日本人の民度も、訪日外国人と大差ない。 観光都市兼住宅地で難しさを感じるのは、利害関係者のコンセンサスが取りづらいこと。 京都や鎌倉は、観光で食っている会社や従業員がいる一方で、住まいとして寝に帰るだけのビジネスマンも多く暮らしている。昨今は東京や大阪の大手資本も入ってきて、地場の事業者と揉めたりもしている。 古くからの住人は、観光公害に怒っているのだが、観光地だからこそ魅力を感じて若い人が引っ越してきたり、洗練された飲食店や店舗が新しくできたりもする。 マーケットが大きければ大きいほど、カオスになりがちで、行政もあっちを立てればこっちがたたずでかじ取りが難しい。江ノ電の社会実験じゃないけれど、いろいろ試行錯誤しながらやっていくしかないのだろう。
仕事でインバウンド振興をやっていたけど、表面的な取り組みだけでしたね。この本を読むと、地域住民との係り方など一筋縄ではいかない課題が挙げられています。日本が今後インバウンド振興に取り組むと同時に、日本自体が貧しくなっていくと、より顕在化しそうですね。
インバウンドの陰の部分を鋭く突きます。インフラ整備が追い付かない、日常生活者との軋轢など現に生じている問題を紹介&解決に向けた取り組み事例も紹介。とにかく人を呼び込むだけでは観光地そのものが疲弊し魅力を失ってしまいます。これからの日本が正面から向き合わなければならない問題です。
日本特有になっているオーバーツーリズムに対し、他国での市民との共存した施策は非常に興味深い。 これが新たなビジネスチャンスになるであろう側面もあるので、興味深い1冊でした。
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観光公害――インバウンド4000万人時代の副作用
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