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Posted by ブクログ
ここまで臭いを感じる小説読んだことないです。
煽る描写もなく、ただ淡々と、しかし深々と刺さる血の呪いのような鬱々とした情感を確かな生活感の中で描写される。圧巻でした。
他著者を引き合いに出すのも違うとは思いますが、強いて言うのであれば村上龍が好きな人は読んだ方がいいです。
感想というのも陳腐になる気がします。
各々が感じる獣性と人間性の狭間を楽しんでほしいです。これは各々が自己と向き合う瞬間にあったなにかしらの葛藤に合致する部分が必ずあると思います。
胸糞といえばそうなんですけど、それで片付けられないパワーが本作にはあります。
なんかこう本能的に煽られる感じがします。
本能と理性の間の善も悪もない混ぜこぜを主観視点のはずなのに観測者のように俯瞰してる感覚がありました。
物語という丁寧なものではなく、理性と本能の狭間でもがく人間を煽り立てるドラマ仕立てでなく、淡々と感じさせる。下手なホラー小説より怖い。
そう感じました。
傑作だと思います。
同時に狂気を感じます。
Posted by ブクログ
作者の田中慎弥さんは幼い頃に父を亡くし、父の書棚にあった本を読んで過ごしていたと聞きました。実際に父と関わることがなくても、自分の中に受け継がれた父を感じながら大人になった方なのではないかと思います。
共喰い、第三紀層の魚、どちらも母親が責任感のある人ですね。人間としてのどうしようもなさを抱えながら、自分の人生に向き合い、我が子の事も大切にしているように描かれているなと思いました。強く素敵な女性です。
最近読んだ中では、1番私の心の芯の部分に届いた作品でした。情景描写が美しく、心情を表現しています。引き込まれました。さすが芥川賞です。
ただやっぱり共喰いの方は内容が性と暴力なだけあって、読んでいて辛さを感じました。心が元気な時に読まないと、わりとダメージが来ます。
映画も元気な時に見てみたいです。
Posted by ブクログ
読み始めから、暴力性と、閉じた世界の閉塞感が心地悪かったが、生き生きとした会話のせいか、いつの間にか引き込まれていた。
「共喰い」とは、遠馬と父親の関係であろう。
そしてそこに、生命力に溢れ泥にまみれた、ヌメヌメとうごめく鰻が重なる。
遠馬は父を、暴力を否定しつつ、自分の中にもそれがうごめいていることを感じ、自分自身をも否定し、しかし否定しきれない。父の呪縛を超えなければ、自分の生は否定される。
言い換えればこれは、伝統的な「父親殺し」の物語でもあるのだろうか。
しかし遠馬は、自らの手で父を殺すことができなかった。
殺したのは、仁子。これはおそらく、神のメタファーだろう。遠馬の父親と社で出会ったこと、毎日お参りをしていること、遠馬の父を殺したあと川面に浮かんでいるように見えたこと、別れた後はじめて橋を渡り遠馬の父を殺し、止まっていた生理がはじまったことなどから、そう思われる。
とすると、これは父親殺しの物語ではなく、神による鬼退治の物語なのか。
神は、乱暴だが偏見のない心を持つ鬼を夫としたが、その子が鬼の子であることに気付き、夫と別れて橋を渡った。
ある時、鬼が生きていると、鬼の子が生きていけないことに気付いた神は、再び橋を渡って戻り、鬼を殺したのだ。
鬼の子である遠馬は、いずれはやはり、鬼になってしまうのか。
いや、遠馬は父と違って、鰻を食べなかった。
神の言いつけを守り、共喰いしなかったのだ。
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