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大学生の吉岡が二度目のデイトで体を奪ってゴミのように棄てたミツは、無知な田舎娘だった。その後、吉岡は社長令嬢との結婚を決め、孤独で貧乏な生活に耐えながら彼からの連絡を待ち続けるミツは冷酷な運命に弄ばれていく。たった一人の女の生き方が読む人すべてに本物の愛を問いかける遠藤文学の傑作。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
すごく読みやすい一方で、神や愛、運命とは何かを考えさせられた作品だった。作品自体が良かったことももちろん、特に解説が素晴らしかった。あの時のこの表現はこういう意味だったんだ!という気づきがたくさんあって、この解説を踏まえてもう一度読み直したらまた新しい発見があるだろうと感じた。主人公の吉岡と森田ミツ...続きを読むのリアルな男女関係と人間性の違いを反映していて共感しやすかった。でも読み終わった後に振り返るとその対比が鮮やかで、さすがなと思う。 醜く、教養のない家庭で育ったがために無償の愛をもらえず、孤独に苦しみ、病気になった時は周りの恵まれた人間を妬ましく思うミツ。病気で体が変形した患者を忌み嫌いながら、自分も同じ運命になることを知って絶望を感じるミツ。彼女の気持ちが痛いほどわかった。変に綺麗事で包むのではなく、人間の生の心理を描写する方法が本当にすごい。
ミツという女は、愛を与える行いを考える上で自分の中から消えないものになると思う。 登場当初からこの女は鈍臭く頭が弱そうに卑下し、目の前を通る人たちがどうしようもない弱さや辛さを抱えているとみえるや否や、自分を犠牲にして尽くす。 そこまでするところか?自分がなさすぎる、自分が地に足をつけて健康でいて...続きを読む初めて人を愛し救えるのではないのかと苛立ちながら読み進める。 しかし福祉や看護など奉仕を生業とする仕事をしている人には浮かぶのではないか。自分ももしかしたら、カーディガン諦めて戻ろうかとよぎるのではなかろうか。自分ももしかしたらハンセン病でなかったと知ってももう一度御殿場の輪に戻ろうとよぎるのではないか。 または、自分はそんなことできるだろうか。 たった1人ぽっちになることの苦しみ悲しさを、よくよく思い知らされる。 孤独、孤立の恐ろしさ。 利他行動をとるということは、孤立しないための進化心理的な工夫かもしれない。 この本を勧めてくれたのは、児童福祉の支援者の立場の方。 社会的な強者と弱者の立場について 本当にそうなのかと、問いかける。 支援者はどうしても相手にとって優位に立っているという視点を忘れずにおかなければならない。 しかし人として優れているということはどういうことかと内に問う面を話されていた。 目の前の相手に何か自分の時間をさいて行うことや支援することに、どういう意識で関わっているのか、いつもドキリと自分の底にある意識を問い直す本。
作者が考えた理想の女性とされる森田ミツ。美しくもなければ学問もなく、ただ誰か他人がミジメで、辛がっているのをみると、すぐ同情してしまう癖を持つ彼女は、作者の描くイエス像を思い起こさせます。なぜ彼女がみじめに棄てられなければならなかったのか、という問いはすなわち、なぜイエスが十字架に架けられなければな...続きを読むらなかったのかという疑問へと結びつきます。
大学生の吉岡は遊び目的で森田ミツを呼び出し交わって棄てる。 その後の2人の人生が対照的で、読みながら幸せな人生はどちらなのかと考えさせられた。不器用に生きるミツは石鹸工場から職を転々とし、一般的には不幸な境遇だが人生を全うできた意味で幸せだったと言える。一方、吉岡は小さい幸せを得たが、いつまでもミツ...続きを読むとの思い出が消えずに残り、この幸せすら保証されているものではない。 結局、修道女以上の愛情を持ち素直で優しい心の持ち主だったミツは関わる全ての者の記憶に残る神のような存在だったのだろう。 次は芥川賞受賞の「白い人」を読んでみたい。
素晴らしく、そして辛い気持ちになる本。エピソードは異なれどまるで自分の影がみえる吉岡の酷さや三浦マリ子の無邪気さよりも、ミツの、自分も決して恵まれてはいないのに、自分を差し置いてでも辛い人に自然に寄り添うことができる力に涙し、自分の中にある自己中なところ、優しさに欠くところを顧みてその情けなさ涙して...続きを読むしまうのかもしれない。もう少しだけ、私も人に寄り添える心になりたい…
ネタバレ知っちゃってから読んだけどそれでも最後は泣く。世の中にはいろんな人がいるしいろんな人生がある。そしてそのいろんなことを選び取ることができる。選び取ることができるものが狭くならないためにも、エゴを捨てて、いろんなものを見て感じていきたいと思った。わたしの人生讃歌をいつも遠藤周作はしてくれる。好...続きを読むき! 私たちの信じている神は、だれよりも幼児のようになることを命じられました。単純に、素直に幸福や悦ぶこと、単純に、素直に悲しみに泣くこと、そして単純に、素直に愛の行為ができる人、それを幼児のごときと言うのでしょう。
昔読んだのでね なんだろうね、遠藤周作って表現が秀逸とかそこまでじゃないんだけど読みやすくてリズムがよくて読んだあと不思議な気持ちになるんよね 戻ってくるのはいつもここなんかね
僕らの人生をたった一度でも横切るものは、そこに消すことのできぬ痕跡を残す。 神はそうした痕跡を通して僕らに話しかける。
少し前にテレビで紹介されていて、興味を持ったので読んだ本。 切なくて辛くて、でもほっこりするような話だった。 いい本だなと思った。
この本は、多くの人に多かれ少なかれ似たようなことを行なっていることを気付かされる。かつてはミツのような純真な心を持っていた乙女もいるのだろうけれど、その多くは生きていくうちに太々しい女性に変わっていくのだから、ミツと結婚していたとしても果たして幸せになっていたとは限らない。 ただ、純真な女性をボ...続きを読むロ切れのように棄てるような生き方をしても幸せにはなれない
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