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寂れた商店街の片隅に佇む。「おもいでの時 修理します」という不思議なプレートを飾った飯田時計店。店主の時計師・秀司と、彼の恋人で美容師の明里のもとを、傷ついた記憶を抱えた人たちが訪れる。あの日言えなかった言葉や、すれ違ってしまった思い――家族や恋人、大切な人との悲しい過去を修復できるとしたら? 切なく温かく、心を癒やす連作短編集、シリーズ第2弾。
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Posted by ブクログ
1を読んでハートフル系でそこそこ楽しめたので2を読んでみたら、ヒューマンハートフル系から幻想奇譚寄りになっていて思わず笑ってしまった。 好き嫌いが別れるのかもしれないけど、こういう雰囲気嫌いじゃない(笑) 太一の秘密はいつ分かるのか。 ふーむ。続編も読まねば。
リアルとファンタジーの境界がぼやけて混ざり合い、リアルに着地させる物語の展開は相変わらず続きが気になって、読みやめどころを見失わせます。このシリーズ、面白いです。
この物語で起こる「事件」は、どれも誰かが誰かのことを思うあまりに、臆病になったり、意地を張ってしまったりすることで、ボタンを掛け違えるかのように少しずつずれてしまったことが原因で起こっていると思います。掛け違えの中で「悪いこと」(本人の主観的な、あるいは客観的に見ても)をしてしまった人もいるけれど、...続きを読むその人はそのことを後悔して思い悩んでいる…。 思いやりの裏返しのような「事件」だから、真相がわかったときは心が温かく、同時に切なくなるのでしょう。 時計屋さんの穏やかで包み込むような人柄が好きです。それは、彼自身が悲しい過去に耐え、そして乗り越えてきたからこその人柄なんだと思います。 一緒にいると自分も優しくなれる。そんな人がそばにいるといいな、自分も誰かにとってそんな存在になりたいな、と思います。
ゆるやかな時の流れが感じられるのが好き。時計師の秀ちゃんと明里ちゃん、太一くんに関わる人たちのいろんな思いをひとつひとつ大事にして、心と心をつないでいく感じが何ともいえず素敵♪秀ちゃんと明里ちゃんが寄り添って行く様も素敵です。
一応ミステリに分類しましたが、 なかなかファンタジー(^ ^ 前作は、こんなにオカルチックだったかな...? ちょっと「若い衆向け感」が強かった気が。 小説なのですが、読後感がマンガっぽい。 決して悪い意味ではなく(^ ^
なんやろうもう・・・。今、ちょっと乱読気味に読書をしている自覚はある。 時間が限られているのに読みたい本はめちゃめちゃようけあるから、とにかくガーッと読もうとしてる・・・。 ・・・んやけど、この本はそうやってガーッと読むのは勿体ないね・・・。 (ガーッと読んでも大丈夫な本っていうたら失礼すぎるな)...続きを読む (すいません) いやでも、パパッと気分転換に読んで楽しみたい読書もあるよね。それがいいとか悪いとか、面白いとか面白くないとかではなく! タイトルどおり、「時」が関係する本だけに、しっとりと読みたいねんなあ。 この本もたくさんの人におすすめしたい! ちょっとファンタジーが好きで、昔、少女小説を愛読していたようなタイプの方に(笑)。 ほんで作中にもあったように、「自分の常識的感覚に自信がなくなる」。 自分が「当たり前」と、信じてきたことがほんまに「当たり前」なのかな? と、思うねん。 私は作中にシンクロする読み方が好きなので、私の「常識的感覚」を揺さぶるこの本はじっくりとシンクロしたいのかも。 太一はたぶん、・・・と、彼の正体を書くのは野暮らしいけれど(笑。解説も面白かった)、そんな、(おそらく普通の人間ではない)太一が普通に(?)暮らしていること、その太一を受け入れてる秀司とか、不思議なことがたくさんある。 もうほんと、正しい意味での「不思議」。 「不思議」といえば、過去は取り戻せないのに、「思い出」は塗り替えることができるっていうところから、不思議。だってそれってどういうこと。 ようは、「思い出」を塗り替えたら過去がまた違う色になり、そうすると未来も変わってくるってことをいいたいようなんやけど・・・。 未来も過去も、変えることは可能なんやって。ええそれってほんまに。そんな簡単な話? じゃあ私の過去も変えてしまって、よりよい未来をぜひ、って思うんやけど、それはなんちゅうか簡単な話でもない。 難しいわけでもないねんけど。 そのあたりは、言葉で説明するより秀司と明里と、飯田時計店にやってくる人たちとの会話を見ていたらそれがよくわかるねんな。 ああ、そういうことか、未来も過去も変えられるってそういうことか、と、ひどく納得できる。 でも今回はちょっと込み入った話が多かったな。 化石の話なんて、ふたつの偶然が重なってできてるのでほとんど奇跡みたいな話やった。 それが面白いんやけど、時制も含め、結構難しかった。 ベリーの約束が一番わかりやすくて、シンクロしやすかったのは、すっかり私が恋愛脳になってるからかしら。笑 だって著者、思い出したように、秀司と明里のキュンを放り込んでくるからさあ・・・。 すごいよもう・・・。(*´з`) 飯田時計店にやってくるお客よりも、秀司と明里の未来のほうがよほど楽しみなんですけど。笑 前回で彼らの過去が明らかになったんやから、次は彼らの未来をこう、掘り下げていってくれてもいいんちゃうの・・・。 とも、思うんやけど、ほんまに時を刻むようにゆっくり、ゆっくりと、物語も気持ちも動いていっているのが、このお話の一番面白いところやと思う。 ・・・ので、我慢する。笑 秀司の包容力はほんま、うらやましいわ・・・。 この二人って同い年なんやっけ、どうなんやっけ。 空想って、すてきやね。 本当のことがわからないからこそ、関わった人たちが幸せになれる空想をするっていうのが、とても、とても、すてき。 昨今は人間関係が(なぜか)ややこしすぎて、いっそ他人のことを考えるなというハウツー本すら多い。 他人は自分が思うほど他人のことを気にかけてやしないんやから、他人の気持ちを推し量りすぎて鬱々とするくらいなら、いっそ考えるな! と、いうもの。 それも確かにそう。無駄に鬱々とするなら考えないほうがよほどいい。 けれど、もっともっと幸せなのは、見えない、わからない部分を、「いい方」に空想できることやね。 他人の好意を信じられたうえで、あの人は(私の知らないところで)ああなのかもなあ、と、すてきな方向で空想できるなら、それはとっても幸せだ。 ちゅうか、想像っていうのは、そういうためにあるのかも。 ほんで、すべてを分かり合えるとか、すべてをさらけ出すような関係でもそうでなくても、他人との間にそのくらいの「空想」をする距離は残すべきだ。 その「空想」が、幸せになるための「空想」で、埋めることができたら、人間関係はもっともっといいものになるんじゃないのかな。 全ての人と分かり合えるなんて無理だもの。 いくら言葉を重ねても不安も誤解も生まれるのなら、「わからない」ことがあってもいい。お互いにそれを「幸せになるための空想」で、補えれば・・・。 そんなことも思った。 私もそうやって「空想」をしながら、人間関係を築いていこう。 非現実的かもしれへんし、おめでたいかもしれへんくても、たぶんその方が幸せやで。 幸せなんやったら、それで、いいのでは。 誰かの何かを待つ間、疑うよりも、信じるほうが、ずっといいよね。ほんまに、そうやわ。 同じ時が流れるなら、疑って疑ってすごす時より、信じてすごす時のほうが幸せやんか。 たどり着く結末が同じなら余計、信じてすごす時のほうが幸せやったという「思い出」になるし、幸せな「思い出」は新たな未来につながるのは、よくわかってる。 「不思議」じゃないのんか。「奇跡」なのか。 秀司と明里の歯車が動き出したのは太一という「奇跡」が気まぐれを起こしたことも、よかったのかな。 奇跡か。そうか。不思議よりも、なんだか、いい言葉やね。 (2017.03.23)
あたたかい
やっぱりこの作家さんのお話は好きだなぁ。優しくて温かくて、今までこんな風に時計を見たことがなかったけれど、最近触ってない時計を触りたくなってしまった。忘れがちな思いを思い出させてくれる、そんな本だと思う。
2013年刊。シリーズ第2作。傾向の違う別の作者の本を読んで、良い読後感の中で、中々入り込めなかったが… ファンタジックで、少しミステリー的な味付け、根っからの悪人が全く出て来ないという点でもファンタジーか? 現実感は乏しいが、それはそれとして楽しめる人にはお勧め出来るかと。
前回の《時計屋さん》から《秀ちゃん》呼びにほっこり。 シリーズ2巻目は、明里の妹が登場して明里の家族関係が明るみになる。 そして太一の謎が深まる出来事も。 今回も人間関係の少しの歪みからくるすれ違いを綺麗に修理。 結婚という言葉にうろたえてしまう明里が「顔が赤い」と秀司につっこまれてその時食べていた...続きを読む「スイカのせいよ」と答えるシーンは微笑ましい。 私が結婚して実家を出る少し前に1巻と2巻を購入していて、実家に置いたままにしていたのを久しぶりに読んだ。 調べてみると3巻4巻が出ているらしいので、また続きを読まなくては!
やはり良い。過去は変えられないけど、見方によれば違った過去に変化し未来へと続いていく。 特に好きなのは、雷が落ちて記憶がなくなった女性のお話かな。 太一は何者なんだろ…。
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谷瑞恵
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