逃亡くそたわけ

逃亡くそたわけ

440円 (税込)

2pt

「どうしようどうしよう夏が終わってしまう」軽い気持ちの自殺未遂がばれ、入院させられた「あたし」は、退屈な精神病院からの脱走を決意。名古屋出身の「なごやん」を誘い出し、彼のぼろぼろの車での逃亡が始まった。道中、幻聴に悩まされ、なごやんと衝突しながらも、車は福岡から、阿蘇、さらに南へ疾走する。(講談社文庫)

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逃亡くそたわけ のユーザーレビュー

二十一歳の夏は一度しか来ないのにどうしよう――入院する精神病棟から脱走した「花」と、気まぐれについてきてしまった弱気の「なごやん」。二人は汗まみれになりながら1台の車で九州中を逃げ回る。
「手に手を取って逃亡する男女」と聞けばつい、追手から逃れるうちに高まる愛情…などと想像しがち。しかし、絲山節のきいた本作はそんなベタなメロドラマとはほど遠い。罵り合ったり、置き去りにされたり、幻聴と闘ったり、思い出に苦しんだり…。結局どこまで逃げても自分からは逃げられないのだ。それでも、うんざりしながら南下を続けるうちに、頑固な二人の価値観がそれぞれ少しずつ変わり始める…。逃走願望の行方はいかに!?
ちなみに、方言女子萌えの方にもオススメ。「逃げないと。こげなとこおったら捕まるばい」などなど、花の話す博多弁は痛快でキュート。たまりません。

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2023年04月30日

    プリズンたる病棟からの明日なき逃避行。資本論の等価交換の呪文から逃れようともがく主人公と商品価値の象徴たる東京の呪縛に囚われるなごやん。行き着いた岬のラベンダーの香りが旅の終わりを納得させる。とても印象的な作品でした。

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    Posted by ブクログ 2023年02月14日

    牢獄に見紛う精神病棟から逃げる、という動機から九州を車で走り抜けるロードムービー的な小説。解説には経済的な側面とストーリーとの対比が根底にある書いており、ふむそんな含意もあるのだなと思った。自分が抱いた感じはもっと切実なところで、逃げきれない悪夢を現実で上塗りを繰り返すことの虚しさだった。物理的に逃...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年01月01日

    都甲先生のエッセイにあったので。
    超よかった!!勢いのある文体でどんどん読める。
    九州のロード・ノベル。美しいところも少し不気味なところもすばらしい描写。
    阿蘇行ってみたい。ほかの作品も読む!

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    Posted by ブクログ 2022年11月14日

    これも素晴らし。そんなに長くない小説が多いイメージなんだけど、内容の濃さは唯一無二。サラッと読み通せる物語だけど、色んな引っ掛かり(というか、作家のたくらみ?)はふんだんに盛り込まれてます。今回はロードノベルとしての楽しみも特筆もので、かの地へは数えるくらいしか行ったことないんだけど、一緒に旅してい...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2018年07月19日

    すげえ面白かった。
    精神病棟から抜け出した2人の話なので、危なっかしい場面が何度も続くが最後はとても感動した。

    映画化もされているが、情景描写が秀逸で眼に浮かぶようだったし、実際の九州各地を舞台にしているのでぜひ一度見てみたい。

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    Posted by ブクログ 2023年08月31日

    ロードムービーみたいな小説。2人の逃避行。
    劇的な「救い」は訪れないし、2人ともこれからどうするんだろう的空気が読み終わっても胸に残るのだが、不思議と好きだった。雰囲気が、としか言えない。ロマンチックもカタルシスもない。けれど読んでいるあいだ心が凪になれる。

    虚しさと目的地のないどん詰まり感がある...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年03月22日

    あなたは、『ね、一緒に逃げよう』と言われたらどうするでしょうか?

    いや、どうするも何もそれはその時のシチュエーションによるでしょう。何らかの命の危険が迫っているというような状況であったなら、躊躇などする余地なく誰もが逃げるべきでしょう。

    しかし、『逃げる』という場面はそういった緊迫した場面ばかり...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年08月06日

    双極性障害と九州とロードムービー。対極するはずの疾走感と閉塞感が矛盾なく収まっている。作者本人に告発の意図はないのかもしれないが、日本の精神疾患治療の暗部をざっくりと生々しく晒している。

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    Posted by ブクログ 2022年07月30日

    普通でない二人の逃避行なんだけど、本当の所 おかしいのは周りな気もする。
    逃避行しているうちに、少しずつ気持ちも身体も 二人の関係性もほぐれてきているようで、九州の自然と街と言葉に 追体験した気になりました。
    この後の二人が再出発出来ます様に。

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    Posted by ブクログ 2022年07月26日

    久々の絲山秋子さん!
    花ちゃんの博多弁丸出しの会話に伴う疾走感がたまらない。引きずられアッという間に読み終えた。
    主人公・花田こと花ちゃんは「亜麻色二十エレは上衣一着に値する」が幻聴で聴こえ出すと自分ではどうすることもできなくなってくる。『資本論』の一節だそうだが、時折り何度も出てくるこのフレーズは...続きを読む

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