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Posted by ブクログ
21歳の末期ガン患者、古林章太郎の激痛を取り除くため、外科医の白川は安楽死を選んだ。
章太郎を看ていたのは、叔母の晶子だったが、晶子の精神も章太郎が激痛に喘ぐ姿を見るにつけ限界を迎えていた。
安楽死の選択は晶子も同意の上だった。
しかし、章太郎の母の康代はエッセイストでもあり、日々忙しく、章太郎の見舞いはおろか、白川の大事な話があるということにすら姿を現さなかったのに、安楽死をさせられたと騒ぎ始める。
そこから、安楽死法の推進派と反対派の対立が浮き彫りとなり、白川はその象徴とされながらも、自分の気持ちがわからないという複雑な心境のまま呑み込まれていく。
2025.2.20
Posted by ブクログ
常に患者を最優先することを心がけている主人公の医師。
そして、末期がんの患者に真摯な対処をしたにもかかわらず、その賛否をめぐり否応なく安楽死の論争に巻き込まれてゆく。
患者の母親を中心とした執拗に安楽死を認めない勢力に対し、安楽死法の成立を画策推進する勢力。
その後ろ盾となる政治家が、「センセイ」と呼ぶ人物は誰なのか。推進勢力には何やら不穏な思惑がありそうで、ミステリアスな展開が続く。
また、著者の作品の数々は、医療情報小説としても読むことができる。
例えば、「医師会がこだわり続ける出来高払い制度では、・・・出来の悪い医者ほどもうかる仕組み・・・」とか。
現役医師の著者ならではの著述が続き、楽しめる。
Posted by ブクログ
上下巻まとめて。
医療の進歩と生命倫理というものは、必ずどこかのラインでせめぎ合う、背反する価値観のようなものだが、その葛藤を象徴する最たる具体例ともいえる、"安楽死"をテーマに据えた本書は、まさしく普遍性を持って老若男女遍く人々に訴えかけ得る。
老人の終末期においては容易に想像がつくが、実は患者が若くても、その若さゆえに安楽死が求められる状況がある、という説明に関しては驚いたし、医療従事者にしか書けない描写の一端として強く印象に残った。
小説技巧としては、神業のように卓越している、というわけではないけれど、一本調子ながら、根っこのストーリーが充分に面白いので、グイグイと先を読ませる。
"センセイ"の正体を始め、ミステリーとしてもちゃんと成立していると思う。
ただ、ちょっといろいろな要素を詰め込み過ぎていた嫌いはあったかもしれない。
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