とある飛空士への恋歌4

とある飛空士への恋歌4

726円 (税込)

3pt

はじめて愛した人は、最愛の母の仇だった。

幾百の空砲がイスラの青空に虚しく響いた。本来、死者を納めるべき木棺は、主なきまま聖泉へと落とされていく。


「――わたしは卑怯だ」

仮面の裏に感情を押し込めることには慣れていたはずの、クレアのこころが揺さぶられる。若き飛空科生徒たちの死は、ひとり避難し、生きながらえたクレアの身を苛んでいた。

「――辛いよ。カルエルくん」

目の前で仲間を失い、一回り成長したかにみえたカルエルはしかし、皆の信頼を受ける一方で激しく焦燥していた。その晩、感情のままに叫び、走り、思いがけず辿り着いたシルクラール湖でクレアと再会したカルエルは、その心情を吐露し、自分の正体を明かしてしまう。しかしクレアは、カルエルの期待と裏腹に、彼に別れを告げた。

「好きだから……さよなら」

追いすがるカルエルがクレアを抱き留めようとしたそのとき、夜空から伝う爆音――。空の一族! 空爆と対空砲火により、紅い炎に包まれるセンテジュアル。その炎を背に影絵のように映し出されたクレア。その白い顔からは、感情が失われていた。

「……きみ……は……」

ついにクレアの正体を知ってしまったカルエルは――。

王道スカイ・オペラ「飛空士」シリーズ、衝撃と絶望の最新刊!!

※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。

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とある飛空士への恋歌 のシリーズ作品

1~5巻配信中 1巻へ 最新刊へ
1~5件目 / 5件
  • とある飛空士への恋歌
    649円 (税込)
    08年の話題を独占した「飛空士」シリーズ最新作! 革命によりすべてを失った元皇子、革命の旗印とされた風呼びの少女……。空の果てを見つけるため、若き飛空士たちは空飛ぶ島イスラに乗り旅立つ! 『とある飛空士への追憶』の世界を舞台に、恋と空戦の物語再び!! ※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
  • とある飛空士への恋歌2
    627円 (税込)
    どうすれば「普通」に振る舞えるのか――。 桜の花びらの舞い散る中、カドケス高等学校飛空科の入学式をむかえたカルエル。その瞳はクレアを捜すが――。皇子と呼ばれた少年と魔女と呼ばれた少女。回り出す運命の歯車。学生寮での生活もスタート! 待望の続刊。 ※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
  • とある飛空士への恋歌3
    682円 (税込)
    8月の強烈な陽射しのもと、過酷な陸戦訓練を続けるカルエルたち。そんな中、「聖泉」に到達したイスラは、聖域を守護する「空の一族」と遭遇する。戦端が開かれ、飛空科の生徒も任務を遂行することとなるが…。激動の第3巻! ※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
  • とある飛空士への恋歌4
    726円 (税込)
    はじめて愛した人は、最愛の母の仇だった。 幾百の空砲がイスラの青空に虚しく響いた。本来、死者を納めるべき木棺は、主なきまま聖泉へと落とされていく。 「――わたしは卑怯だ」 仮面の裏に感情を押し込めることには慣れていたはずの、クレアのこころが揺さぶられる。若き飛空科生徒たちの死は、ひとり避難し、生きながらえたクレアの身を苛んでいた。 「――辛いよ。カルエルくん」 目の前で仲間を失い、一回り成長したかにみえたカルエルはしかし、皆の信頼を受ける一方で激しく焦燥していた。その晩、感情のままに叫び、走り、思いがけず辿り着いたシルクラール湖でクレアと再会したカルエルは、その心情を吐露し、自分の正体を明かしてしまう。しかしクレアは、カルエルの期待と裏腹に、彼に別れを告げた。 「好きだから……さよなら」 追いすがるカルエルがクレアを抱き留めようとしたそのとき、夜空から伝う爆音――。空の一族! 空爆と対空砲火により、紅い炎に包まれるセンテジュアル。その炎を背に影絵のように映し出されたクレア。その白い顔からは、感情が失われていた。 「……きみ……は……」 ついにクレアの正体を知ってしまったカルエルは――。 王道スカイ・オペラ「飛空士」シリーズ、衝撃と絶望の最新刊!! ※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
  • とある飛空士への恋歌5
    682円 (税込)
    王道スカイ・オペラ、堂々完結! 「行きましょう。我々の戦場へ」  空の一族との交渉権、全権を委任され、空族飛空要塞に赴いたイスラ外務長アメリア・セルバンテス。神聖レヴァーム王国からもたらされた情報では、聖泉への侵入者を例外なく排除してきた空の一族自ら交渉を求めてくることは、至極稀なことだという。双方共に多くの犠牲を出し、戦力を失い、結果要求されたのはただひとつ。風呼びの少女ニナ・ヴィエントの身柄だった。  そんな情報を得つつも、無力に夜空を見あげることしかできないカルエル。彼女はイスラの管区長、代表であり、カルエルは一介の飛空科生徒。この大事な時期に会うことなど不可能に思われた。しかし、休戦協定案がまとまったその日、ある人物のおかげで、カルエルは千載一遇の機会を得る。30分後に出立する彼女に、カルエルは告げる。 「このまま逃げよう、ふたりで。空の果てまで」  かつての力を取り戻し、愛すべき人を救った風呼びの少女。革命によりすべてを失い、かけがえのない生を得た元皇子。ふたりの選ぶ道、未来は……。 そしてイスラは、空の果てにたどり着く。  王道スカイ・オペラ「飛空士」シリーズ最新作「恋歌」、堂々の完結!! ※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。

※期間限定無料版、予約作品はカートに入りません

とある飛空士への恋歌4 のユーザーレビュー

最果ての空を目指す大遠征、そこで展開される飛空士の戦いと恋の行方を紡ぐ物語です。
2011年に映画化された第1作『とある飛空士への追憶』と同じ世界観ながら、場所も立場も全く違うキャラたちが本作の主役!未知を探求する空の旅路、これだけでも非常に胸高鳴りますが、さまざまな人間模様もまた見どころです。
国を追われた元皇子の主人公は復讐を胸に旅立つも、仲間との交流や好きな女の子への恋心を通じて成長し、やがては誇り高き飛空士へ……。
5巻完結で物語の緩急が上手く構成されているところもいいですね。和やかな日常が一変して残酷な現実に突き落とされる場面など、対比がとても印象に残ります。
今年からアニメも始まり、空戦シーンがどう表現されるのか非常に気になる……!
原作ではキャラの心情や詳細な設定も書き込まれていますので、アニメで映像ならではの演出を楽しみつつ、原作で世界観をより深く味わうのが一番!
激動の時代を翔け抜ける飛空士の物語、どうぞご覧くださいませ!

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    Posted by ブクログ 2022年09月07日

    文句の言いようが無い。
    所々急ぎ足な点が見られるが、それを凌駕する面白さ。
    王道的な要素も数多く取り入れられているが、そうでなくてはいけない。

    まだ続いてしまうが、期待せずにはいられない作品になった。


    文末にもあるが、精密さより面白さを優先したとのこと。
    大正解だと思う。

    0

    Posted by ブクログ 2012年08月25日

    とある飛空士へ贈る恋の歌。
    全身全霊で戦い生き残った戦士たち。飛空士たち。
    過去を踏み越えていけ。明日はきっと明るい。
    生きることを諦めるな。

    0

    Posted by ブクログ 2010年08月25日

    ツンデレ笑ったw

    墓地や出撃直前のシーンに泣いた。
    空戦は変わらず熱かった。
    自己犠牲は好きではないけど、この物語では全員諦めてない。みんなを助けて自分も生き残るつもりで戦ってるから熱い。

    そして最後も驚かされた。

    戦略的に愚策としか思えないんだけど。続きが楽しみ。

    0

    Posted by ブクログ 2010年08月24日

    最高に面白かったです!!結構な分量があるのに一気に読みきってしまいました。
    僕は読むのが遅いので4時間くらいかかってしまいましたがww
    3巻のみっちゃんも壮絶でしたが、今回も壮絶極まる戦争シーンで手に汗握る展開でした。
    ただ、頼むから付属の帯とか表紙絵でネタバレやめてくれよ…展開読めちゃったじゃんか...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2014年11月01日

    今回も長い戦闘シーン。
    四巻で突然現れた腹違いの弟、イグナシオが大活躍。
    かっこいいなぁ、ツンデレ皇子。
    カルエルも色々乗り越えて大分かっこよくなってきた。
    クレアは土壇場で風呼びの力を取り戻して、次の巻では生贄に…
    それぞれのキャラクターがちゃんと立ってて、登場人物が多いけど覚えやすいのは、作家さ...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2014年09月09日

    ニナ・ヴィエントとしての正体を偽ってカルエルたちと過ごすことに耐えられなくなったクレアは、学校を出る決意をします。そんな彼女を止めるために、カルエルは自分が皇子カール・ラ・イールだったことを彼女に告げます。しかし、そのことに感づいていたクレアは、自分がニナであることを彼に告げ、彼のもとを去っていきま...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2011年08月18日

    相変わらず凄い。のめり込んで読んでしまう。
    あと一冊で終わってしまうのが惜しい、けれど「無事に終わるのか?」とも思う。
    とりあえずラスト一冊を買って帰ることにする。

    0

    Posted by ブクログ 2011年08月18日

    「憎しみ」から「許し」へ。 重厚な一冊だった。 憎しみを乗り越えたカル、許されたクレア、この二人が最後にどうなるのか楽しみ。 そして「追憶」のファナ嬢とシャルルの出番もあって嬉しかった。

    0

    Posted by ブクログ 2011年05月17日

    前巻があまりにも過酷な現実の連続だったのに比べると、今回も状況は悪いながら、救われる展開が多かったように思います。
    ニナの力がちょっと反則すぎる気はしますが、過去を許すというキーワードには感じ入るものがありました。

    0

    Posted by ブクログ 2010年10月09日

    いよいよ物語も佳境。
    カルの最後の方の種割れっぷりが凄い(笑)。
    最終巻で前作の登場人物がどう絡んでくるのか注目です。

    0

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