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過ちを犯さない人間はいない。だからこそ愛することはゆるすこと。永遠の愛のテーマ。
牧師の家に育った奈緒美は高校卒業後、友人・京子の兄、良一から求婚される。やんちゃな面を持つ良一に奈緒美は惹かれていくが、良一の人間性に不安を感じ取った両親は反対する。一方、奈緒美の高校時代の担任で、良一の女性遍歴を知る竹山もまた、奈緒美への密かな思いを抱くだけに祝福することができなかった。周囲の声に反発する奈緒美は函館に帰る良一を送りに行き、そのまま結婚生活を始めてしまう。だが、そのわずか数か月後には、良一の冷酷な面を知ることになるのだった。
「三浦綾子電子全集」付録として、 夫・三浦光世氏による「創作秘話」などを収録!
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Posted by ブクログ
愛とはゆるすことだよ、相手を生かすことだよ。
まさにその言葉を体現したような内容だった。
この本は約半世紀前に認められたものであって、当時の人々に真の愛とは何かを問いかけるものであったのだろうが、現代ではどうだろうか。私は当時よりも一段と愛というものを誤認して、知った気になっている人が増えているように感ずる。人々は簡単に恋や性の直線上に愛を語るが、それは真に愛することだといえるのだろうか。
また真に愛すること、即ち相手を赦し、生かすことはどれほど傲慢でどうしようもないような相手でさえも愛に包み得るのだろうか。
不完全ながらもここで語られる愛を遂行した、或いはするべきだと説いた主人公の父親が牧師であること。これは、キリストの教えこそが真の愛を追求できる道なのではないかと思わせられるという点において、宣教的にも大きな意義を孕んでいるように思う。北海道という地とキリスト教、時代背景なども相まって、どこか高尚で美しく、引き込まれる物語だった。
Posted by ブクログ
50年以上前の作品。
それでも現在でも難なく読めた作品。
舞台は戦後四、五年後の若き女子高校生達(女学校から高校生に変わる頃)の、男女間のもつれなお話。
どなたかが感想に“コンパクトな氷点”と表現していたが、確かにそんな感じがしました。
テーマは“愛”と“赦し”。
とは言え、氷点よりドロっとした感じは否めない。登場人物を若めにしているせいか、まだまだ人生経験が足りない者も居れば、駄目の三冠王みたいな男も居る。
良一の扱いが今作のキーとなるだろう。
駄目の三冠王・良一(酒に溺れる、女たらし、妻に手を挙げる)は、初めのうちは見るに耐えないクズ男だが、肺病の初期段階における吐血するところから、自身の生き方を見つめ直す。
奈緒実にプレゼントするはずの絵、十字架にはりつけられたイエスの足下で、イエスの血を浴びながら両手を掲げ赦しを乞う自身を描きあげていた。
洗礼までには至らないが、それでも主に赦しを乞うまでに心境が変化するシーンには、以後どうなるものかと気になっては来る。
しかし、おっちゃん的には気付きが遅すぎであったとしか思えない。
作者的には若気の至りも赦しの一つ…になるのかどうか…。
完璧な人間は居ない…とも表現されているが、もっぱらこのお話では男女間の関係ってのを赦し続けられるか…にある。
倫理観の捉え方なんだろうが、浮気や不倫はNGではなかろうか。
類は友を呼ぶと言うが、奈緒実の父親が昔良一と同じことをしていたってのもキーだろう。だから義理の息子の気持ちもわかる…んだろう。
牧師とて道に誤ることはある、そう言うならそうだが、ここら辺に読者の好き嫌いが現れる気がします。
ただの犬も食わない愛憎劇ならそれまでだが、作者が敬虔なクリスチャンだからこそ、その後どう考えるのかが気になる。
だから三浦文学は面白いと思えます。
Posted by ブクログ
各作品を興味深く拝読している三浦綾子作品の一つを入手して紐解いた。単行本の初登場が1966(昭和41)年で、作者の活動歴の中では比較的早目な時期の作品と言えるであろう。少し以前に見受けられた、文字がやや小さい感じの規格で、ページ数の感じ、本の見た目の割には全体の文字数が多くボリュームが在る。ゆっくりと紐解きながら読んだ。
本作の物語は、昭和24年に起こり、そこから数年を経た昭和20年代の終わり頃、札幌を主要な舞台としている。若い女性達と、その周辺の男性達の物語ということになる。
「昭和24(1949)年」というのは、現在も続いている小学校、中学校、高校の仕組みが成立して始まったというような頃だ。未だ「占領下」で少し独特な風俗も在ったかもしれない。が、総じて「前の時代」とは変わったとされる価値観のような何かが台頭し、他方に古くからの価値観も根強く、若い人達の心が揺れていた時代という感じなのかもしれない。
そういう時代を背景に若い女性達、男性達の物語が展開する。
札幌のキリスト教系の女子高が在って、3年生の京子が在る。京子の級友に輝子が在るが、輝子は何かと京子にキツく当たるような態度だ。この2人が在るクラスに奈緒実が転校して来る。
3人の学ぶクラスの担任ということになる英語教師の竹山哲哉が在る。竹山哲哉の友人に、画を描くことに志を持ちながら新聞社に勤めている杉原良一が在り、かれは京子の兄である。
この女性3人と男性2人が物語の主要人物ということになる。ここに彼らの親達等の周辺に在る人達も関わる。
女性達の中、最も出番が多く、本作のヒロインという感なのは奈緒実ということになるであろう。
この奈緒実に、教師の哲哉は惹かれるのだが、友人の良一も同じく惹かれる。他方の奈緒実は、哲哉に関しては「先生」という「線引き」のようなモノも感じていたが、それでも好感は抱いていた。そして良一にも惹かれるようになって行った。
やがて良一は函館へ転勤する。そして札幌へ出て来た際の行きがかりで、奈緒実は函館に行ってしまう。
こういうようなことで色々と展開する。
良一には色々と「過去」も在り、哲哉はそれを知りながら公にすることを憚った。京子が哲哉を慕っていて、哲哉はその気持ちを受け止めたいと思いながら、奈緒実を想っていることに気付く。
輝子の父と、京子や良一の母との間に秘めた事情が在った。それはそれとして、輝子は出くわした良一に接近する。
何やら「連続テレビドラマ」の原案のような感じもしたが、凄く惹かれた。「愛すること」とは「許すこと」というようなテーマを底辺に据えた、若い男女の物語だ。
奈緒実は色々と悩み、気持ちが揺れるようになる。そして良一だが、この人物は最終盤へ向けて大きく変わって行く。
題名の『ひつじが丘』は札幌の羊ケ丘を意識してはいると思う。が、寧ろ「迷える子羊」たる劇中人物達が集っているというような、漠とした感を表現しようとした命名かもしれないと思った。
「三浦綾子作品?」とでも問うて、直ぐに名が挙がる作品でもないように勝手に思っているが、それでも興味深い作品で、広く御薦めしてみたい。
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