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Posted by ブクログ
お茶大の新入生向けゼミ、藤原先生と文庫本を読む。人気の授業だったらしい。収録されているのは先生最終年度のゼミ。文庫は『武士道』『武家の女性』『逝きし世の面影』『代表的日本人』……ラインナップを見て、最初は引いてしまった。
一方的に講義するだけなら、魅力に欠けたかもしれないが、授業はゼミ形式。重要なポイントを学生が引き出してくれる。学生と先生のやりとりがおもしろく、読ませる。
チョイスされた文庫11冊は、どれも保守的で、古臭い印象があったが、実際にはまったくそうではなかった。目からウロコ、それに生きる上で肝心かなめのことを教えてくれる。
ボーナストラックは藤原先生の最終講義。半生をコンパクトに語っている。小学4年の時に教わった数学好きの図工の先生、安野光雅先生の話も出てくる。
Posted by ブクログ
私の大好きな藤原正彦先生。
本書はお茶の水女子大での読書ゼミ(11冊+α)の模様を収録したもので、藤原先生の教養と学生たちの感受性がぶつかり合う、楽しくもタメになる一冊。
名著の数々に描かれる江戸時代から昭和初期までの日本において、当時の人々たちはじつに逞しく、そして気高く生きてきたことがよく分かります。
本書に収録された名著のうち、恥ずかしながら読んだことがあるのは「学問のすゝめ/福沢諭吉(明治5年)」と「武士道/新渡戸稲造(明治32年)」の2冊のみ。
それ以外の名著では、「代表的日本人/内村鑑三(明治27年)」、「逝きし世の面影/渡辺京二(平成10年)」、「山びこ学校/無着成恭(昭和26年)」、「福翁自伝/福沢諭吉(明治32年)」あたりを是非読んでみたいと思いました。
日本人として、先人たちの営みがとても誇らしく感じられます。
Posted by ブクログ
『国家の品格』での熱い想いにに非常に共感を抱いた、数学者・藤原正彦氏。
そんな藤原さんの、お茶の水大学での"読書ゼミ"の様子を綴った一冊になります。
講義で取り上げている本は、全部で11冊+2冊。
『武士道』(〇)
『余は如何にして基督信徒となりし乎』
『学問のすゝめ』(〇)
『新版 きけ わだつみのこえ』(〇)
『逝きし世の面影』
『武家の女性』
『代表的日本人』
『山びこ学校』
『忘れられた日本人』
『東京に暮す』
『福翁自伝』(〇)
『若き数学者のアメリカ』(〇)/『孤愁』
明治期の著作が多いのは、この時代の日本人の活力が高かったコトの、
証左の一つにもなるのでしょうか、、あらためて興味深く感じました。
なお、自身の既読は末尾に"〇"を付けてみましたが、初めて目にする本が多いなぁ。。
学生時代、内村さんは史料として目を通した覚えはありますが、何気に通読までは至らず。
ん、日本に民主主義が根付いたのは戦後との印象が強いですが、、
実際には戦前に既に、当時の国際社会と比べても高水準な民主主義が実現されてました。
なんてことは、確かに小中の歴史教育の中では教わらなかったのを思い出しました。
高校ではその辺り大分フラットだった覚えもありますが、、それでも偏っていた記憶が残っています。
戦後、GHQや日教組などの赤い連中によって塗りつぶされてしまった価値観、
そんな日本人の芯を、どうにか次世代に伝えていきたいですが、、
リアルタイムでこういった講義を聴きたかったですね、、学生時代に。
ん、イロイロと考える時期なのかな、不惑までにはなんとかしたいところ、なんて。
Posted by ブクログ
著者が指定する本(主に岩波文庫)を題材に学生たちとディスカッションしていく様子をまとめた本です。
著者の数学者としての活動についてはわからないのですが、知識量と言葉の選び方に関しては素晴らしいと思いました。
また、学生たちの純粋な疑問や感想も新鮮さが溢れており、この本自体に堅苦しさをなくす効果が出ているようです。
ただ一つ気になるのは、何かに付けて「かつての日本人は素晴らしかった。それに比べて今の日本人は…」のような話の展開に持っていこうとするのが残念でした。
日本が西欧の自由主義を積極的に取り入れたせいで、日本人はだめになった(もしくはだめになりつつある)と述べていますが、西欧というのも幅が広すぎますし、
題材本内で日本人の素晴らしさを褒め称えている箇所を挙げて、「このように当時の日本人は素晴らしく、西欧の人はだめだった!」といったような話をしていますが、
その当時の日本人というのも江戸自体から昭和までと幅が広いのも気になります。
昔の日本と今の日本を比べると、今はより個人が尊重されるようになりその分横の繋がりが薄くなったというのはその通りだと思いますが、
それを個人主義が日本のマイナス点のように持っていくのはなかなか厳しいのでは。
素晴らしい行動をしている日本人と、豊かな生活をしているが精神的には野蛮(のように見える)な西欧人を比べるのであれば、
その逆の、素晴らしい行動をしている西欧人と、豊かな生活をしているが精神的には野蛮(のように見える)な日本人についても考えなければフェアではないですし、結論への過程が足りないのではと思いました。
面白い本であることに違いはないので、面白く読ませていただきました。
Posted by ブクログ
本書は、著者が指定する文庫本を毎週一冊読んできて、それについて毎回ディスカッションするという、いささかハードなお茶大の名物ゼミをまとめたものである。
藤原正彦は、思想家としては三流、数学者としての実力は未知数であるが、文章家としては超一流である。天才的といってもいい。まるで美しい数学の証明を見るように、簡潔にして要を得ており、全く無駄がない。文章の濃度が濃いのだ。だから、文庫本とはいえ、なかなか読みでがある。
著者の膨大な読書量には圧倒される。しかしその割には、彼の思想は、バランスを欠いた狭隘なナショナリズムに過ぎない。江戸・明治期の日本と、昭和前期の日本を一緒くたにして、何でもかんでも礼賛すればいいと言うものではない。二言目にはGHQや日教組の陰謀などと言い出すところにも閉口する。まぁこれは、彼の欧米に対するコンプレックスの裏返しなのだろう。もっと下の世代は、そんなに肩肘張って頑張らなくても、日本の良さを十分知っていると思う。
でも、そんな心配をよそに、十代の女子学生たちの反応が素晴らしいのだ。著者が、右だの左だのと古い人々の頑迷な思考パターンに捕らわれている間に、彼女たちはそれを軽やかに飛び越え、もっとずっと先に行っている。
このゼミで取り上げられた11冊は、以下の通りである。青帯の岩波文庫を主とした重厚なラインナップだ。その他にも、面白そうな関連書籍が山ほど出てくる。恥ずかしながら私は、まだ『きけ わだつみのこえ』しか読んだことがない。著者の主張を割り引いて読めば、本書は、とても秀逸なブックガイドだと言える。大事なことは、読んで、自分の頭で考えることである。
・新渡戸稲造『武士道』
・内村鑑三『余は如何にして基督信徒となりし乎』
・福沢諭吉『学問のすゝめ』
・日本戦没学生記念会編『新版 きけ わだつみのこえ』
・渡辺京二『逝きし世の面影』
・山川菊栄『武家の女性』
・内村鑑三『代表的日本人』
・無着成恭『山びこ学校』
・宮本常一『忘れられた日本人』
・キャサリン・サムソン『東京に暮らす』
・福沢諭吉『福翁自伝』
最後にお茶大での最終講義が収録されている。私も拝聴させていただいたが、改めて読み直してみると、とても良い。数学と文学との間に架かる橋を行ったり来たりしてきた藤原正彦は、人生を楽しむことにかけても天才なのかもしれない。
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