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Posted by ブクログ
映画が大変面白かったので原作にも手を出してみました。
映画が1時間しかなかったのでてっきり省かれたところがいっぱいあるもんだと思っていたらかなり原作通りに作られていてびっくり。
SFらしい近未来が舞台なのに未成年娼婦は普通にいるし当たり前のように男性社会で今の日本と変わらないなぁと苦い気持ちに。
裁判のシーンなんてセカンドレイプそのものですよね……男性に襲われたらほとんどの女性は殺されるのが怖くて抵抗なんて出来ないと思います。
ラストのバトルシーンでの「男の人ってこんな気持ちなんだ」と言いながら男達を嬲り殺すバレットの気持ちが少しわかってしまってまたつらい。
畜産業者の面々のキャラが立ってていいと思いました。絶対友達にはなりたくないけどなんだか嫌いになれない魅力があります。
小説だと一人一人の生い立ちが語られるので読んでよかったなと。
1番好きなキャラはボイルドなんですが最後どうなるか知っているので読み進めるのがつらいー‼︎
Posted by ブクログ
(1st~3rdまでを合わせた感想です)
本作にはいくつかのバージョンがあるが、私が読んだのは2010年に刊行されたハヤカワ文庫JAの[完全版]。解説では全部読むのを勧められたけど、読むとしたらシリーズの続刊のほうが先だろうからちょっと無理かな・・・
でも時間があれば読んでもいいかも、と思わせるくらいの面白さと魅力にあふれた作品でした。
特に中盤のカジノシーンは、ディーラーとの頭脳戦の描写がスリリングかつ圧巻で、本作一番の読みどころだと思う。敵との戦闘シーンも、重力を無視して歩くとか、情景を想起しにくそうな場面が多いにもかかわらず、さほど気にせず読み進められたのは描写力と文章のリズムが良いからなのではなかろうか。
この設定だとどうしても『攻殻機動隊』や『ブレードランナー』が想起されるんだけど、主人公の置かれた境遇とかが普通のSFだとまずやらないようなハードさで、先行作品とは一味違った新鮮さを感じた。
それにしてもよくこの内容で映画化できたなあと思う。
Posted by ブクログ
面白かった!SF描写がしっかりしていて説得力があり濃密。だけど本作の魅力はそれだけではなく、その上でさらに登場人物たちの葛藤や悩みを丁寧に描いているところだと思う。社会機構の中で搾取され続ける少女という存在、バロットの描写が素晴らしい。一つ一つ「対応を間違えると怒られる、殴られる」と怯えながらドクターやウフコックと相対するところは正直泣きそうになってしまった。使用される武器であるウフコックが彼女の痛みに寄り添える存在だということが美しくもあり、彼女がこれまで人ではなくただただ物として消費されてきたのだという事実が悲しかった。「なぜ私なの」というバロットの問いに対して、終盤で彼女が「こんなものなのだ」「こういうことだったのだ」と答えを見つけてしまう所もまたあまりにも悲惨。社会の論理ですり潰されてきた彼女がその答えを得てとる行動が、これまで彼女を虐げ続けてきた存在と同じだということ、「どうして私にもそれが許されないのか」という怒り、どれも切実でやるせないけれど、その行動の結果の悲惨さに胸が詰まる。どうかウフコックとだけはずっと一緒にいて欲しい…。かなり気になるところで終わってしまったので続きも早く読もうと思う。
Posted by ブクログ
心理的に落ちている時に、敢えて読んだハードロマン。他の読者様も紹介しておられるけれど舞台は近未来。
バロットという少女娼婦がヒロイン。彼女はシェルという、賭博師出身のワルに殺害されそうになる。いや、瀕死の状態にされた。
ところがシェルは、それを覚えていない。
ある陰謀のために…。
身体も声も、物的な財産も全て奪われたバロットだが、シェルの犯罪を立証するために、証人となってくれという。
証人保護プログラムの執行のため、彼女には護衛が二人付くことになった。
生体科学や医療に詳しいドクター。
そして、心優しく万能のガーディアン、
ネズミの姿をしたウフコックのコンビ。
バロットに証言させないために、魔手が迫る…。
と、こんなあらすじなのだが
ウフコックがすごく知的で格好いいのは、皆様の指摘の通り。でも、このお話、バロットがゼロからウフコックと一緒に敵と戦うのがすごくいい。
喪失から立ち上がるために戦うヒロインは多いけど
こんなにも凄まじく奪われている女は少ない。
美しく繊細で、汚れているのにきよらか。
という定番の設定に、バロットがとても賢く、ウフコックや敵にも比肩しうる何かを、どう獲得するのか…その過程も読みどころ。
戦闘場面は映画やアニメのように臨場感があって、派手だしハードなのだけれど、凄惨な中に、文章がずっと最初からラストまでリリカルで。どこかに繊細さと詩情が漂っていて…。
圧倒的な展開に、息もつかせないのだけど、静けさがひそやかに流れているのが好き。
ウフコックとヒロインの間の、儚く揺れる糸のような、ひとすじの繋がりが、不安定だからこそ輝いて見える。
傷つけられたものが、時に反転して
傷つけるものになり得ること。
最強だったものが、たったひとつの弱さを晒した時、弱者だったものが盾になるべくどう動くのか。
そして、それでもなお強いものは、弱いものにどう接して、守護者であり続けるのか。
冒険小説の定番の命題が、ここにはぎゅっと詰め込まれている。
ともかく休憩して、続きを読もう。うん。
それが一番だわ。
Posted by ブクログ
本屋大賞受賞で一気に知名度が上がり、ファフナー&マルドゥックの映画公開決定で今最も脂が乗ってる作家・冲方 丁。
本書は数年前に発刊されたマルドゥック・スクランブルに大幅改稿をくわえた新装版。どんなもんだろーと最初の方だけぱらぱらめくり即購入決定、冒頭部分から文章に手が加えられてます。
読点の不自然な多さが改善され大分読みやすくなった印象。
氏も絶賛する漫画版に触発されたエピソードも盛り込まれお得な内容に。
他にもバロットの心情部分が付け足されて、等身大の少女としての輪郭がより濃くなった(心身障害者駐車ペースでの行動など)
バロットの兄関連でヴェロシティとのリンクもあり、マルドゥックシリーズを愛読してきた読者は「なるほど、こう来るか!」と唸るはず。
世界観がよりわかりやすくなったぶん、バロット初診時におけるマルドック09の説明など説明臭くなってしまった箇所があるのがやや残念ですが、畜産業者のトラウマが掘り下げられているのは嬉しい。
彼らが各々のパーツに執着するようになった背景が解剖され、よりその不気味な存在感と猟奇性が際立ちます。
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