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Posted by ブクログ
講談社BOXとか言う、よく分からんボッタクリラノベレーベルから出ていた作品だったので未読だったが、文庫化されたのを機に購入。
相変わらず舞城作品にハズレは無い。
成雄サーガの一つに数えられる短編集で、彼を取り巻く人物が全7篇に共通して出てくるが、それぞれがパラレルワールド的な世界観になっているので、成雄と彼らの関係性もその都度違っている。
「どこまでも早く走れる少年」をモチーフに、今作も他の成雄サーガ同様フラットな価値観で善悪の判断に鈍い成雄が、他者との交流を通して精神面が徐々に成長していく物語。
自分を信じ続ける事で限界を超えていく成雄の凄まじさと、一方で自らを頂点と思っている為中々他人の意見に耳を貸そうとしない彼が、次第に世界との理解を深めていく過程が丁寧に書かれている。また一貫した世界観でない為、様々なシチュエーションの中でそれぞれの成雄が新しい価値観を会得していく様が面白い。
一気読み必死。
ある時は自衛隊に特別に雇われていたり、またある時は家族との関係に悩みを抱く(と言っても本人にその自覚は薄いのだが)中学生だったり、またある時は白い玉(?)に取り込まれた女の子を救う為に文字通り全力疾走したりと、相変わらずハチャメチャな舞城ワールド全開だが、「愛」を根底のテーマに置いたぶれない姿勢で、圧倒的な筆圧で語り切ってくれる。
分かりやすいゆえに読んでるこちらもスッキリするし、元気になれる。本を読むと言う行為は少なからず体力を消耗する作業なので、この感覚は珍しい。寧ろ舞城作品でしか味わっていないかもしれない…
Posted by ブクログ
『速く走ることに大事なのは筋肉でも技術でもない。血だ。血こそが全ての源泉なのだ。』
『人の意識は自分の身体にブレーキをかけるのだ。無理だと思えば無理になる。できると思えばできるようになる。』
『人間の気持ちはすぐに満足するし、すぐに限界を感じる。もうこれでいい、もう無理だ、と思いやすき生き物なのだ。』
『あれが僕の本当の限界だろうか? よせよせ。そうなふうに考えることが限界を生むんだ。何度も言ってるだろう。信じるんだ。限界はない。』
『目覚まし以外の何かに起こされた朝は嫌な一日の始まりだ。』
『まあどうせ勝てると思ってたら勝てるし、負けてもいいかもと思うなら負けるかもしれないだけの話だ。足の能力の話じゃない。意志の強さや方向性の問題だ。』
『…謝っても済まないことがあるんですからね?』
『知ってるよ。でも謝らないといけないだろ? 何はともあれ』
『僕は自分の未知の部分を開発していく。未知の部分がまだまだあるのだ。』
『もう自分のやってることが何だか判らないが、それでいいんだ。自分に理解できてる範囲で何かをやってる間は、その範囲が自分の限界だ。』
『それはもう仕方がないと決めたのだ。いい悪いの問題じゃない。仕方がないのだ。』
『見なくてはいけないのは前だ。目標だ。これから自分のしたいことだ。』
『孤独だからいいんだ。孤独だからこそ速くなれる。孤独だからこそ遠くまで行ける。』
『やってやる。やれるところを見せてやる。やろうと思ってできないことはないって正面してやる。楠夏は何にもできないと思ってる。でも本当は、何にもできないと思ってるからこそ何もできないんだ。』
『僕のことが好きなんだろう?』
『何でそう思うの?』
『いや、ただそうだったらいいなってだけ』
『ちょっと何かを言ってみるなんて、他人相手だからこそだ。試しにぽんと言ってみて、様子を見たいんだ。判らないから。』
『何かを決めたかったら好きな子に相談するのが一番いい。』
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