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Posted by ブクログ
片羽を返したアンに、シャルがどれだけ心動かされたかが解る巻。
ラファルには妖精であるラファル自身を尊重してくれる人間は居らず、使役された事実が妖精王たる自尊心を傷付けた。
人間も妖精も、ラファルにとって分かち合える存在ではないのが悲しい。
最後の、あの高さから落ちて生きている筈がない→再登場フラグだと思っています(笑)
ペイジ工房はひとまず安泰そうですね。
将来を見つめ直したジョナス、自分を自覚し動こうとするブリジット。本音を吐露するエリオットに、右目を失ったオーランド…今回はキャラの転機の巻という感じでした。
相手を思うが故に本心を隠すアンとシャル。
キースの提案に、新たな可能性を見出だした所で終わりです。
三川さんは、毎回引きが上手いなぁ。
Posted by ブクログ
“「どうして泣くの?お嬢さん。悲しいの?」
指摘されて気がついた。頬に涙がこぼれていた。
「怒ってるの!あんな綺麗な羽を、誰にも渡す必要なんかないのに。王様にだって、あんな綺麗なもの奪う権利はない。なんで渡しちゃったの!?」
「綺麗......?」
ルスルは生まれてはじめて聞いた言葉のように、それを繰り返した。そしてさらに困惑した表情になる。
「わたしのために泣いてるの?」
戦士妖精たちも、泣き出したアンを不思議そうに見ている。彼女がなぜ怒り、なぜ同時に泣いているのか、理解できないらしい。
その時そっと背後から、アンの両肩に手が置かれた。振り向くと、シャルだった。
黒い上衣とズボンを身につけているが、いつも着ているものと同じではない。ラファルが準備したものなのか、彼の服と似た、ビーズをあしらった優雅な衣装だ。髪が濡れていた。髪の先に滴が玉になって光っている。水を浴びたらしく、指先がいつもよりさらに冷たい。
「あなたは、あの親切な方?あなたもここにいらしたの?」
ルスルがシャルを見て、さらに驚いた顔をする。
「誰もこいつが怒る理由がわからないか?」
静かにシャルが問うと、戦士妖精たちは眉根を寄せる。顔を見合せる者たちもいる。
「ルスル・エル・ミン。おまえもわからないか?」
「......あまり」
シャルは軽くため息をついてアンの肩を抱き、歩くように促した。
「待って、そのお嬢さんが怒る理由を教えてくれないの?」
ルスルが声をかけると、シャルは淡々と告げた。
「こいつは俺に、羽を返した。ラファルは、俺から羽を奪った。その意味を考えろ」”
ラファルはまた出てきそうだなぁ。
もう一つの宝石も持ってるとか言ってたし。
二人の回り道にじれったい。
ジョナスの堕ちっぷりには驚いたけど活躍する彼は良いなあ。
ブリジットの件もとても良かった。
オーランドとくっついちゃえー。
そしてキースの言葉の衝撃。
アンは一カ所に留まるような人じゃなさそうだけど。
“「わたしはブリジットと工房のために、二人の婚約が最良の道だと考えた。二人とも受け入れてくれたから、心配ないと思った。だが、そうではないらしい。わたしはブリジットにいわせれば、娘を甘やかしすぎていたらしい。そのうえ娘の将来が不安で、親の決めた道を歩かせようとするのは、親自身が安心したいだけの親のエゴだと言われた。だだをこねるのじゃなく、ブリジットがこれほどはっきりと落ち着いて自分の考えを言ったのは、はじめてだった」
グレンの言葉に、ブリジットが唇をとがらせた。
「はじめてなんてことないわ。ただ、あまり言わなかっただけよ」
目を白黒させていたエリオットは、ようやく考えがまとまったらしくブリジットに向き直った。
「でもブリジット。いいの?俺がペイジ姓を継いで長になったら、居づらくならない?特に俺が結婚なんかしたら、ブリジットは血のつながらない小姑になるわけだし」
「居づらいわよ、絶対。決まってるじゃない」
ぷいと顔を背け、ブリジットはまた窓の外を見る。
「でも、エリオットと結婚するよりいい。居づらくなったら、わたしが自分で住み心地がいい場所を探すし、なんとかする」
「ひどいねぇ、俺と結婚するのそんなに嫌なんだ」
「そんなに嫌だったら、婚約しない。エリオットのことはとてもすごい職人だって、尊敬してる。好きよ。好きだけど、結婚したいとは思わないだけ。エリオットも、そうでしょう?」
問われて、エリオットはふっと笑った。いつものふざけた笑いでなく、自然な笑みだった。
「そうだねぇ。熱烈に結婚したいほどじゃないけど、好きだよ。綺麗な髪の毛も、可愛い顔も、ドレスも。女の子らしく、わがままいっぱいな漢字も、ちょっと面白くて好きだよ」
二人はしばらく見つめ合った後に、苦笑した。”
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新聖祭に飾るための砂糖菓子を朝から晩まで
わき目もふらずただひたすら作り続けていたペイジ工房の面々。
なのに、やはり一筋縄ではいかなくて。
前巻ラスト、アンとシャルが聞いた悲鳴は、
シャルに異様なまでの執着を見せるラファルに襲われた
前職人頭のものだった。
鋭利な刀傷は眼球まで達し、左目は失明の可能性が強いという。
砂糖職人にとって、手と同じくらい大事な目。
ラファルを連れてきたブリジットも、罪の意識に苛まれます。
シャルを手に入れるためにアンを軟禁したラファル。
シャルや他の妖精たちの片羽を手に入れ支配し、
寒村を襲って、人間を奴隷のように使役しようと考えます。
初代妖精王の遺志を継ぐのは自分だといい、
そのパートナーとしてシャルを欲するのだけれど、
そもそも初代妖精王が望んだことは、人間との共存。
シャルとラファルが歩哨で対峙し、
そこからラファルが落下したことで対決は終わったとシャルは考えますが、
100年以上生きてる戦士妖精のシャルにしては迂闊と言わざるを得ません。
また出てくるわ、あいつ。
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