そして夜は甦る

そして夜は甦る

小説・文芸
1,210円 (税込)

6pt

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西新宿の高層ビル街のはずれに事務所を構える私立探偵沢崎は、ひょんなことから、行方不明となったルポライターの調査に乗り出すことに??そして事件は過去の東京都知事狙撃事件の全貌へと繋がっていく……。いきのいい会話と緊密なプロット。レイモンド・チャンドラーに捧げられた記念すべき長篇デビュー作。

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そして夜は甦る のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    和製ハードボイルド小説の傑作。ミステリーとしても謎が深まりじわじわと真相に近づいていく過程が読者を最後まで飽きさせない。昨今のトリックや伏線にばかりやたらと凝って、物語性の希薄なミステリーに食傷気味の方に激推しです!

    0
    2026年09月08日

    Posted by ブクログ

    デビュー作にしてこのクオリティ。
    この原尞氏はまさにチャンドラーの正統なる後継者だ。

    物語の導入部にある大富豪更科の邸への訪問は正にチャンドラーのマーロウシリーズ第1長編の『大いなる眠り』へのオマージュそのものだ。そして冒頭と終盤に現れるあの男は『長いお別れ』のテリー・レノックスだろう。
    こういう舞台設定からして、チャンドラーを愛する者としては(自分のことをチャンドラリアンとまで評するほど、私はまだ判っていない)胸がくすぐられる思いがする。

    さらに加えてプロットにはロスマク的家庭の悲劇も加味されている。権力に溺れゆく人々の狂った歯車がぎしぎしと音を立てて、沢崎によって一つ一つ解体されていく。

    そして登場人物たち。
    悪友ともいうべき新宿署の錦織、「カイフ」とだけ名乗って去っていった男、渦中の更科一家はもとより、中盤以降事件の焦点となる都知事の向坂、その弟で俳優の向坂晃司。特に向坂知事はその描写からして現都知事の石原慎太郎をモデルにしているとしか思えない。この作品当時、まだ新宿都庁は出来ておらず、当然の如く都知事も違う。
    まるで原氏はこうなる事を予見していたかのようだ。

    しかし正直に云えば、双子の兄弟でありながらある事情で苗字が違う仰木弁護士、失踪した佐伯を密かに慕う辰巳玲子、失踪した男の世話をしていた海部雅美などの登場頻度の少ない脇役の方が妙に印象に残った。
    とどめはかつての沢崎のパートナーだった渡辺。手紙のみの登場をしなかった彼が今後シリーズにどのように関わってくるか、興味深い。

    しかし何と云っても圧倒的存在感を放つのが主人公である探偵沢崎だ。
    その他者の侵入を容易に許さぬ姿勢、上下関係や権力者特有の主従関係など全く意に介さず、どんな相手にも自分の態度を崩さず対面する男。背伸びせず、粋がりもせず、かといって卑屈にもならない。読者の眼の前にいつの間にかあるイメージが上がっていく。
    しかし、気付いたであろうか?
    文中、沢崎の人と成りを表した描写など一切ないことを。原は沢崎の台詞と仕草、動きだけで読者にそれぞれの沢崎像を作らせているのだ。この筆致の凄さは並々ならぬものがある。

    さらに文章。チャンドラーの正統なる後継者と先に述べたが、その文章はチャンドラーの諸作に見られるような大仰な比喩が頻出するわけでもなく、きざったらしい台詞が出てくるわけでもなく、派手派手しいわけではない。
    しかし、この本にはノートに書き写しておきたい美文に溢れている。
    真似したい減らず口がある。
    かつてチャンドラーを読んでいた時に駆られた、「私もこんな文章で物語が書きたい」と思わせる雰囲気がある。
    日常特に感慨もなく見ている風景が語る人によってこれほど印象深く描写されるのか、そう気づかされる事しばしばだった。

    そしてやはり古典は読むべきである。
    名作ならば尚更だ。
    この沢崎シリーズを十二分に楽しむためにもやはりチャンドラーの諸作、少なくとも全ての長編には当たるべきだろう。そしてそうした私は正解だったと今更ながらに気付かされた。

    今夜の酒はきっと美味いに違いない。

    0
    2025年11月04日

    Posted by ブクログ

    まわりくどすぎるセリフと淡々とした文体が好きすぎる。自分はハードボイルドが好きなんだなって実感できた作品。
    何重にもわたる謎の究明シーン、からの終章のなんともいえない虚無感と後味の悪さがたまらない。もっと読みたい気分にさせてくれる。

    0
    2025年08月09日

    Posted by ブクログ

    読んだのは、これで3回目くらいだろうか?
    こちらもだいぶ年を取り、主人公の年齢をはるかに追い越してしまった。
    そのため、こうやって久々に読むと、青臭く感じるセリフもあるし、比喩や暗喩が大袈裟すぎると感じる部分もある。
    しかし、これだけ練りに練られたプロット、多彩な登場人物、錯綜した人間関係、最後まで探偵の一人称で語られる展開は、まさに一級のハードボイルト作品。
    この映像化作品を見てみたいものだが、この世界観を壊さずに映像化できる監督(白石監督?大友監督?)や俳優がいるだろうか?

    0
    2024年11月23日

    Posted by ブクログ

    何十年ぶりだろうか?急に再読したくなって、居ても立ってもいられなくなり購入しじっくり読んでみました。
    昭和末の雰囲気、チャンドラーを彷彿とさせ、「渡辺探偵事務所」の「沢崎」などのこだわりが多彩、気取っているけど派手さが無いところ、全部が好きでした。
    『遅筆』がキャッチフレーズのような原尞作品、全部読み直ししてみようと考えています。

    0
    2024年09月24日

    Posted by ブクログ

    とりあえず沢崎さんがかっこよかった。探偵なのに襲われたらすごい闘うし、犯人を確信した後の本人への詰め方が興奮する。最後、諏訪が撃った弾が「幸いなことにそれて人差し指を失った」こと、彼らはいつも肝心なことを見落とす。と言っているのもかっこいい

    0
    2022年12月30日

    Posted by ブクログ

    行方不明になったルポライターの調査に乗り出した私立探偵沢崎。事件はかつての都知事狙撃事件へと繋がっていく。歯切れのいい文章、洒落た会話、手に汗握るプロット。アメリカの本格ハードボイルドの翻訳を読むような、日本のハードボイルドではかなり質が高い正統派のデビュー作だ。これで十分なのだが、今後本家を超える作家の登場を期待させる記念碑的名作。

    0
    2021年04月29日

    Posted by ブクログ

    さすがに原尞、処女作から読み応えあり。推敲を重ねただけあって文章は練れていて、いかにもハードボイルドという味わいが漂う。古い本なので、今となってはユーモアのセンスは古めかしいかなとは思う。でも、それでいい。主人公の探偵の沢崎、錦織警部、ヤクザの橋爪という常連になる登場人物の造形も実にいい。事件自体も二転三転として飽きさせない。うーん、佐伯名緒子の心理だけは、ちょっと分かりにくいかな。

    0
    2019年11月17日

    Posted by ブクログ

    探偵沢崎登場、伝説とも言えるシリーズの第1作である。しゃれた会話と意表を突くストーリーの大人のファンタジー。登場人物たちがやたらと煙草を喫うのが時代を感じる。しばし、ミステリーの世界に酔いしれる。

    0
    2019年07月04日

    Posted by ブクログ

    ネットで見かけて。

    とくにハードボイルドが好きな訳ではないと思う。
    暴力にも、カーチェイスにも、銃撃戦にも、ましてや美女にも
    興味はない。

    ただそれらを含んでいても含んでいなくても、
    心魅かれるものがあるとすれば、
    それは、多分、男の「強がり」なのだと思う。
    「美学」とも「やせがまん」とか、
    呼びたい人は呼べばいい。

    誰にも、何にも囚われないおのれ一人の哲学だけで生き、
    障害に対してそれを貫く強さ。
    そういう意味では、
    金も名も求めず自分の技だけを追求する「職人」に似ているのかもしれない。

    謎解きも面白かったし、
    どう見ても実在の政治家と俳優の兄弟をモデルとした登場人物は、
    都知事となることを予言していて驚いた。
    そして、
    国鉄も、電話応答サービスも、喫煙者までもが懐かしい。

    0
    2019年05月23日

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