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Posted by ブクログ
科学と現代社会の危うい関係について、「産業」「軍事」「宗教」などの観点から考察している本。著者自身も一流の物理学者であり、一種の自己批判として書かれているだけに迫力がある。また、疑似科学(エセ科学)と長年戦ってきている人だけに、「科学が世間からどのように見られているか」についての嗅覚は非常に鋭いと感じる。
まあ、私はすでに産業界に取り込まれた側の人間なので(笑)、半分は他人事といった感じで読んだのであるが、科学技術史を丹念に紐解きながら論を進める姿勢には好感をもった。あと、私が昔から抱いていた「科学者や技術者の最大のメリットは徴兵免除である」という直観は、歴史的にも完璧に正しかったことが分かって嬉しい。兵隊として戦争に巻き込まれるというリスクが、平和憲法によって無効化するなんてありえないんだから。
Posted by ブクログ
科学の限界。科学が科学に内在する自律した論理だけでなく、科学以外の論理や条件によって制限を受けることとして、この言葉が使われている。科学以外の論理や条件とは何か。代表的なのが、大学経営に経済論理が持ち込まれたことが挙げられる。法人化による予算の減少から、必然的に競争的資金という概念が生まれ、科学は近視眼的な実用の分野にしか重きをおかれなくなってしまった。このことに対して著者は強く競輪をならしている。「世界初」の発見、潤沢な研究費をいかに調達するか。科学者はいつもこのことから頭から離れない。加えて、スポンサーとなっている国や企業に対して、消極的な行動は取りにくくなってしまうという現状。科学と人間との間の世界はタイトル通り”不協和音”である。この現状からいかに脱却するか。特効薬などもちろん存在しない。地道で継続的な行動が不可欠になる。著者が提言するアイデアも、現役科学者の啓蒙活動や、地下資源文明から地上資源文明への転換のススメといった長期的なプランがメインである。しかし、現状の不協和音を多くの人が聞こえている今だからこそ、著者の言葉は響くのではないかとも思う。不協和音は本来、音の重なりがずれてしまって起きているもの。そのずれを適切な位置に戻して、次の世代の人たちには美しい音を聞かせてあげたいという筆者の願いがこの本から感じることができた。
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