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古来、宇宙とは人々が住む村の界隈のことであった。そこで語られる宇宙創成神話が彼らの宇宙観を形成し、やがて太陽や月、惑星などが織り成す秩序立った美しい世界が明らかになると、人間は天と神の存在を結びつけていく。そして望遠鏡の発明を機に、人々が認識できる宇宙は太陽系を越え、銀河宇宙へと広がっていった。天は幾層にも重なった構造を持つことが分かり、そこに鎮座する神は次々と居場所を変え、容易にその姿をつかませない。本書は、宇宙と神の関わりをひもとき、天文学の歴史の中で科学者たちが積み上げてきた宇宙論の変遷をたどる。【目次】はじめに/第一章 宇宙における神の存在/第二章 神ならざる神―神話の世界/第三章 神の啓示―中国、日本、インドの宇宙観/第四章 神に頼らない―古代ギリシャの宇宙観/第五章 神は複雑―アラビアの宇宙観/第六章 神の仕掛け―錬金術と自然魔術/第七章 神の居場所―天と地の交代/第八章 神の後退―無限宇宙の系譜/第九章 神を追いつめて―島宇宙という考え/第十章 神は唯一なのか? 多数なのか?―大論争/第十一章 神のお遊び―膨張する宇宙/第十二章 神の美的な姿―定常宇宙とビッグバン宇宙/第十三章 神の跳躍―インフレーション宇宙/第十四章 神はどこに?―わけがわからないものの導入/おわりに
...続きを読むPosted by ブクログ 2020年03月16日
古代ギリシャや中国、インドの宗教的宇宙像から現代のダークマターやダークエネルギーが大部分を占めるという宇宙像に至る宇宙観の発展を、(キリスト教的な唯一)神と絡めて解説した本。
少なくとも中世ぐらいまでは、宇宙の真の姿、システムを追求することが、今では科学と対置されがちな神の居場所を追い求める営みであ...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年05月23日
人文系学問のパラダイムが自然科学のパラダイムと相関があるというところが面白かった。19世紀、宇宙が自分の熱で燃え尽きてしまうという予想「宇宙の死滅」が唱えられたと同時期にニーチェは神の死を宣言していた。偶然なのか必然なのか。レヴィ・ストロースの構造人類学的な見方もなんとなく同時期の天文の見方に似てい...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年11月01日
2014/11/01
神話的宇宙像から物理学的宇宙像へと、我々は2000年もの間、宇宙の認識論を展開してきた。本書は物理学者の立場から、その認識論の歴史を辿るエッセイ的内容である。
短い新書の中で、多数の内容を盛り込んでくれている。一つ一つを、とても理解することはできないが、タイトルにあるように、...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年05月23日
人間がいかに宇宙を認識してきたか、神の居場所に絡めての宇宙認識の歴史。はじめは神話の世界からはじまり古代、中世を経て近代・現代の宇宙論までがコンパクトにまとめられている。望遠鏡が使われるようになってからの記述が多くなるが、科学的発見が多くなり、どんどん宇宙の見方が変わっていくのがおもしろい。もっとも...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年04月17日
古代の東西の宇宙観から最先端の宇宙論の歴史を振り返りながら、絶対神に肉薄してきたと思われながら、神が地上の神から、無窮の宇宙の神として遠ざかるように見えて大きな存在になっていくことを感じさせる。意外にも神話の宇宙観に今先祖がえりしているかも知れないと著者は主張しているようだ。ベルギーの司祭・物理学者...続きを読む
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