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上田秋成の『雨月物語』は、人の心の中の闇を、厳しく美しく描いた小説集である。怨霊と生者の対話を通して、人間の愛憎や執着、欲望や悔恨をあますところなく表現し、近世怪奇文学の最高峰といわれている。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。
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Posted by ブクログ
古典を小中学生向けに編纂した少年少女古典文学館シリーズ。監修が司馬遼太郎、田辺聖子、井上ひさし、文章はそれぞれの巻で名作家たちが担当するという贅沢なシリーズ。 「雨月物語」を担当するのは佐藤さとる。「コロボックルシリーズ」などどちらかというと穏やかで優しい物語作者だと思っていたので、雨月物語をどう書...続きを読むくのか興味を持ちました。 私にとって雨月物語とは高校の授業で習ったのが最初ですが、とっても好きだわーー。日本の風土や色々な民話の湿気と、しかし潔さのような東洋的思想を感じられる、怪奇譚として最高級ですよね。 『菊の節句の約束』(菊花の契) 大人向け解釈で、この二人はそういう関係だよ〜というのを読んでいるのですっかりそういう目で見たくなるのだが…、まあさておき。 戦乱の時代、裏切り裏切られ、信義を持つ者、自分が信じるに足るものに会うことも難しい。 そんななかで、静かに学問に暮らす左門と、武士の宗右衛門は知り合い、信頼を寄せ合い、義兄弟の誓いを交わした。 それでも宗右衛門には、武士として果たすべき主君への忠義と努めとがあった。 囚われた宗右衛門は、再会するには幽霊となるしかないと自らを…。 ==そこまで約束しなければ生きて帰れたような気もしないでもないんだが… 保身と裏切りの世の中で、まっすぐな心が惹かれ合った、その心をわかる人には分かってもらえた、ということで。 『真間の故郷』(浅茅が宿) 夫は都で一旗揚げると家を出た。だが戦が始まりあっというまに7年経った。 妻は。自分を待つといった妻はどうしているのか。 ==戦乱で生き別れは多かったんだろうなあ。しかしこんな状況下に妻を置いてゆき「自分の故郷は戦場になったからきっと妻の死んだよね」は、たくさんあったんだろうけれど嫌な話だ。 この手の「どう考えたって死んだはずの人が待っていた」ホラーは、ラストで呪い殺される事が多いと思うんだけど、このお話しでは夫は生きてるんですよね、妻は会いたくて寂しくて辛かったけれど、呪ったり恨んだりはしていなかったのか。 『鯉になったお坊さま』(夢応の鯉魚) 息を吹き返した高僧が語る、夢の中の出来事。 ==人生は夢という考え方は東洋的だと思う。 『大釜の占い』(吉備津の釜) 伊沢正太郎は働かず遊んでばかり。お見合いで気立ての良く美しい娘、磯良を嫁にもらう。 だが正太郎の遊びは酷くなるばかり、裏切られ続ける磯良は病に死に、正太郎の女たち、そして正太郎本人への恨みを晴らす。 ==テーマが「大釜占いでこの結婚は不吉だって行ったのに結婚するからこんなことに」とか、「女の嫉妬は怖い」「妻を従わせるのは夫の男らしさ」なのか…いや、すべて正太郎が悪いでしょでしょ…。 『幽霊の酒盛り』(仏法僧) 高野山参りの途中で野宿をした親子は昔語りをして歌を詠む。 するとそこへ侍が現れ、「お前たちの俳句を殿下にご披露するように」と告げる。 親子を呼んだのは、時代がかった武士たちだった。 それは関白であったが謀反を疑われて切腹させられた豊臣秀次と、殉死したその側近たちだった。 戦いと憎しみの修羅道堕ちた彼らの霊魂は、救われるまで戦い続けなければいけないのだ。 ==東洋的あの世の考え方なのでしょうけれど、死んだ後ずっと報いを受け続ける話はどうにも遣り切れない。だからこそ生きて善行を積もうとするのだろうけれど。 堕ちた魂はどうすれば救われるのか、だれかが祈ればよいのか。 『蛇の精』(蛇性の婬) のんびり暮らす豊雄は美しい女性の真女児と出会い、夫婦の誓いを交わす。 だが真女児は蛇の化身だった。豊雄を気に入った真女児は、どこまでもどこまでもどこまでも豊雄を追いかけてゆく。 ==これも東洋的な怪奇譚。 真女児に取り殺された女性がとばっちりだな… 『白峯山の天狗』(白峯) 西行法師が崇徳院の亡霊に会い、問答を交わすお話し。 この話ちょっと好きなんです。 崇徳院は最強の怨霊にして四国の守り神。 そんな崇徳院が、西行法師に涙ながらに説得されるという姿。 怨霊というのはおそらく祟られる側の罪悪感が生み出したものですよね。誰かに酷いことをした⇒最近災害がある⇒あの人に酷いことしたからだ。お祀りしなければ! 怨霊で神。怨霊なのにどこか人間の心がある。これが日本人の宗教観であり道徳心であり罪悪感なのでしょう。 しかし『幽霊の酒盛り』(仏法僧)の「阿修羅道に堕ちた人達」もそうなんだが、結局死んだあとの救いは人間の言葉では叶えられないのかなあ。 『鬼と青い頭巾』(青頭巾) 修行を積んだ僧が、稚児に狂って生きながらにして畜生道に堕ちる。 だが高僧の問答により、悟りを開き成仏する。 ==地獄に堕ちたり、怨霊になった人を救うのは結局はその本人の心のもちようなんですね。 『ふしぎなちびのじいさま』(貧福論) 倹約家の武士岡左内の夢枕に立ったのは黄金の精霊だった。 二人は楽しい銭問答を交わす。 ==なかなか面白かった。 お金を貯めることが全て悪いわけではない。溜め込みすぎず贅沢しすぎずうまく使うことは世の中を平穏にするのに必要なのだ! 黄金の精霊が出てくるほどうまく銭を使える人ってすごいよね。
少年少女向けでありながら、頭注が充実し、現代語訳や挿し絵担当の人選も怠りないこの叢書。古典の予習・復習に重宝している。 ただし、瀬戸内寂聴による「源氏物語」は、何度 読んでも意味が通らない部分があった。訳稿が何ページか抜け落ちたような……。
面白かった。 中学生くらいにこの手のシリーズ読み漁ったけど その後読まなかったからリハビリで読んでみた。 時間ができたら原書読みたいな〜 昔から好きな世界‼︎
面白い。 文庫本の現代訳とは、違った味わいになっている。 しかし、あらためて一通りを読みますと、…上田秋成氏はちょっと腐男子が入ってる気がしますな。
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