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Posted by ブクログ
風俗関連記者によるAV女優の実態を記した本。AV業界にくわしく、特にAV女優への取材を以前から続け、その実態を明らかにしている。業界の80年代からの変遷が理解でき参考となった。AV女優一人一人に様々なドラマがあることがわかった。
「不景気で収入源を補おうとする女性から、好奇心や刺激ほしさの女性まで、幅広い層からの応募で出演志願者は膨れあがり、完全に供給過剰な状態となっている。大多数の女性は出演したいと希望しても面接に呼ばれることすらなく、門前払いされているという現実がある」p15
「90年代後半、AV業界全体でも“健全化”の波が起こり、現在は怪しさや胡散臭さのないビジネスライクな世界になっている」p118
「AV女優たちは怪しさやいい加減さのかけらもない環境で“女優”として演技を求められ、その1つ1つが成功体験になっている。AV女優は各社からオファーをもらって経験を重ねるほど、やりがいを覚えて働く姿勢が前向きになる。現在生き残っているメーカーやモデルプロダクションは、一般企業家に成功した法人ばかりである」p118
「自殺をしてしまったAV女優たちは、AVというメディアに性搾取をされて弱り切ったから自殺をしたのではなく、意思を完遂する人間的能力が高く、一時期の気の迷いや心のぶれで不運なことに死ぬことに成功してしまった、といえるのである」p142
「どうしても女性を管理するモデルプロダクションには暴力性を背負っているイメージがないと、同業者や所属モデルに舐められて、なにが起こるかわからないといった事情がある」p187
「AV女優には誰かにバレるリスクより、一般社会と感覚がずれること、一度足を踏み入れてしまうと抜け出せないリスクの方が高い」p202
「引退後にそのような裸やセックスの写真や映像が残ってしまうことより、深刻なのは「楽に楽しく稼げた」、また「注目されて必要とされた」という裸の世界だからこそ摑むことが可能だった成功体験から抜けられないことにある。一時期の高コストな生活水準が忘れられなくて、普通の仕事はとてもできないと切り替えができない女性は多く、それがAV女優全体の2/3が性風俗に流れている所以である」p232
「AV女優としての一般論として女性は初々しい処女の状態が最も価値の高い状態と仮定すると、出演してカラダをお金に換えるほど価値は下がる。「カラダは減るものじゃない」というよく耳にする通説は、誰かに売るという競争がある以上、消費されているので明らかに価値は減っている」p232
「社会が裸の仕事に対して以前より寛容になったといってもカラダを売っている現役時代は、楽に稼げることの代償として他人から信用されづらく、恋愛をしてもうまくいかず、成長した友達からは見放され、周囲からは転落したと蔑まれる、ということが起こりがちである。非常に惨めで孤独な青春時代、人生といえる」p237
Posted by ブクログ
1990年〜2010年代にかけての業界の激変と不変の因習
はっきり言って興味本位で手にしましたが、内容は理論的なビジネス書風、淡々とした業界ルポです。
著者のスタンスは、AV女優寄り、意外にもプロダクション、メーカーには厳しいといったところ。
長い不景気の影響を受けて、業界は短期間に大きく変容を遂げた。
・製作サイドの合理化、人材刷新、コンプライアンス重視
→業界挙げての一般企業化
→マージン分は多いものの、AV女優の報酬は透明化されてきた。
・女優 応募者の増大、クオリティの底上げ、メンヘラなどの排除
→業界は女性最後の手段で食いつなぐセーフティネットでなくなった
また、2000年頃の苛烈な競争による事件の数々が背景にもある。
→撮影時の過激な暴力、傷害。スタッフ全員刑事告訴・実刑判決
ただし、裏社会的なもの、暴力を想起させるものが駆逐されたわけではない。
→桃井望事件の闇
著者は、「AV女優がAV活動で精神的に病むことはない」と、定説に反論を随所に試みている。
(精神を病んでいる女性は、業界入り前から病んでいる等)
一方、女優ヒエラルキーの転落(単体→企画単体→企画)等が、大きなプレッシャーとなって自殺に走ってしまうパターンも。
(著者は自殺が果たせるほどの活力があると微妙な表現をしている)
ここら辺に、著者の自己矛盾を感じた。
記されているように、最近のAVは、男性を満足させる映像パーツの集合であって、往事のアングラな映画的表現の実験場の趣など微塵もないのだという。
寂しい気持ちだ。
また、国内市場を支えている層は、デジタルディバイドされた中高年で、衰退は必至だろう。
主戦場ネットでの収益性(コピーされやすい)は厳しそうで、どうなるのか。
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