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美の錬金術師ポオ(一八〇九―四九)。その美への情熱は精確無比な計算と設計にもとづいてあらゆる作品に発揮されており、読者を怪奇な幻想世界、異常心理の世界へと抗いがたく引きずり込む。ポオの作に傾倒した若きヴァレリはあの「数学的アヘン」を決して忘れることはできぬ、と言った。表題作のほかに「裏切る心臓」「盗まれた手紙」など。
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Posted by ブクログ
「モルグ街の殺人」は推理小説のさきがけとして知られるが、「黒猫」での「私」の使い方はまるで叙述トリックの萌芽のようだった。 それにもしても日本での化政文化(直後)期の作品とは思えないほど今読んでも前衛的。まだ推理小説というジャンルが確立する前の作品だからでしょうか、まるでアンチミステリの雰囲気がある...続きを読む。
元祖推理小説といわれる本。 動機や設定が若干弱いが、推理展開は論理的で説得力がある。 前半の何篇かは怪奇小説。
ほとんどの作品は別の本で読んだことがあるのですが、『天邪鬼』は初めてでした。 やっちゃいけないけど、やりたくなるみたいなことって本当にありますよね。ただ、それが悪い方向に転がると…という作品でした。
黒猫 ウィリアム・ウィルソン 裏切る心臓 天邪鬼 モルグ街の殺人事件 マリロジェエの迷宮事件 盗まれた手紙 みんな大好きポーの作品を初めて読んだがなんだか予想とは違う作風。もっとガッツリエンタメを予想していたのだがジワリと徐々に湿ってくるような面白さだった そして翻訳の古めかしい文体がまたいい塩梅...続きを読むで美しさと不気味さが出ていて心地よい 個人的お気に入りはウィリアム・ウィルソン、裏切る心臓、モルグ街の殺人事件だ
数学的阿片という評が素敵。モチーフが好みだったのは「ウィリアム・ウィルソン」です。良心というか、スーパーエゴというか、ああいう存在は実体を持つと怖い。「黒猫」をはじめとする彼の作品には良心やら顕示欲やら怯えやらが良く描かれています。
世界で初めて推理小説の定義として書かれた作品。再読。今読むと少しずるいところとかあるけど、デュポンとその友人の設定と同居するところ、デュポンが相手を考察するところなど、緋色の研究のホームズを思わせるようなコンビオマージュはこれが、起源ではないかと思う。
なにぶんにも訳が古い。。。。特に漢字で表現されているものが実際何なのかさっぱり分からないものが一つや二つだけでない。 ただその古さが幸いにして、「黒猫」、「ウイリアム・ウィルソン」、「裏切る心臓」、「天邪鬼」において、つまり殺人の独白作品では、却ってその狂気が増幅されるというプラス面もある。 「...続きを読むモルグ街の殺人事件」、「マリ・ロジェエの迷宮事件」、「盗まれた手紙」はまさにシャーロックホームズそのもの。まさかパクったか?と思って調べてみると、ポオの方がコナン・ドイルよりも50年も前に生まれているのですね。。。。さて、コナン先生、ポオの作品から着想を得たのでしょうか?
これはなかなかに面白かったですねぇ…古い作品だのに色褪せていないというか、現代人にも通じる精神世界?を描いているように思いました…。 作者もなんだか波乱万丈な人生を送られたようで…それは解説に書いてあるのですけれどもまあ、孤独な人生だったっぽいですねぇ…晩年にはすっかりアル中になってしまったようで...続きを読む…昔もこんな人が居たんですねぇ…という感じですかな。 ヽ(・ω・)/ズコー ウィリアムウィルソン?とかいう短編が面白かったですかねぇ…単なるミステリではなく、人間の暗部やら深部やらに迫っている感じが良かったです。 ヽ(・ω・)/ズコー 他にも作品があるのなら読んでみたくなりましたねぇ…後はまあ、乱歩さんも影響を受けた作家さんであって、なんとなく乱歩が書きそうなお話だな、とも思いましたかねぇ…さようなら。 ヽ(・ω・)/ズコー
“「ところで、以上、僕の言ったことが、どんな印象を、君に与えたか、それは知らない。が、ただ僕として、躊躇なく言えることはね、これだけの証書——つまり、ダミ声と金切声とに関する、これら証言だけからしてもね、もしそれから、正しい演繹さえなされるならばだねえ、今後この事件の捜査の進行に、結構一つの方向を与...続きを読むえる手掛りになるだろうことは、請合いなのだ。『正しい演繹』と、僕は言ったろう。だが、僕の言いたい意味は、それだけじゃ十分でない。つまり、僕が言いたいのはね、その演繹とは、唯一の正しい演繹であり、したがって、嫌疑の手掛りというものはね、否が応でも、そこから出て来る唯一の結果としてでなければいけないのだ。ところで、その嫌疑の手掛りが、なんがかは、いましばらく言うまい。が、ただぜひとも憶えていてもらいたいことはね、僕に関する限り、それは、あの部屋での僕の調査にね、ある一定の形、——あるいは、ある一定の傾向を与えるに足る、十分な説得力をもっていた、ということなんだ。” ちょっと斜め読み。 デュパン君の口調がなかなか好き。 “「ほう?じゃ、なにか、特に中へ入れて置いたの?」 「なに、白紙にしておくのも、なんだろうかと思ってね、——だって、それじゃ、あんまり馬鹿にしてるってもんじゃないか。それにはね、D——の奴、いつかウィーンで、僕に、ひどいことをやったことがあるんだ。で、その時も、僕は、ニコニコ笑いながらだが、これは、きっといつかお返しするからね、と言ってやった。そこでだ、多分奴も、いったい誰に一ぱい食わされたか、さぞ犯人を知りたく思うだろう、と考えたもんだからね、せめて手掛りくらいは、与えてやらなければ、可哀相だと思ってさ、幸い僕の筆蹟は、よく知っているはずだし、白紙の真中に、ただ二行、 かくもむごこ企みも、 ティエストには、まこと応報なれ、アトレには当たらずとも。 とだけ書いておいた。なに、クレビヨンの『アトレ』の中の一節さ。」”
一言、言葉が難しい(笑) 散らばる考えや意志には、自分自身と共通点がかなりありとても共感ができた。 しかし、金魚すくいの桶の中一層目立ち大きな魚を掬った程度にしか読み取れていない様に感じる。ようは納得のゆく読み方が出来なかった。 もう少し歳を経てから読みたい作品。積読でもよかったかも。
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黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇
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E・A・ポオ
中野好夫
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