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映画館で人気のないゾンビ映画を観ていた警視庁捜査一課の刑事、和戸宋志。終幕後に照明が点くと観客の一人が殺されていた。おまけに扉に細工されて出られない。困惑に包まれる中、和戸は感じていた。その場に居合わせた者たちの推理力を飛躍的に高める能力、「ワトソン力」が発動しつつあることを……。そしてにぎやかな推理合戦の幕が上がる! 日本推理作家協会賞受賞作家が贈る、謎解きの楽しさ100%の連作ミステリ!
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Posted by ブクログ
登場人物たちの推理力がワトのおかげで向上し、そこから始まる推理合戦がコミカルで楽しい。こういうサクッと読める短編集、重い作品を読むメンタルじゃない時本当にちょうどいい。
大山誠一郎さんの『ワトソン力』の続編が届けられた。タイトルの5文字目は、カタカナの「カ」ではなく漢字の「力」。「わとそんりょく」と読む。警視庁捜査一課所属の主人公・和戸が、今回も推理せずに事件を解決に導く? 和戸の能力については一応伏せておく。前作は、彼が監禁されているところから始まっているが...続きを読む、今回は普通に始まる? 早速読み始めると、読みやすいのですいすいと読み進む。前作同様、あくまでオーソドックスなのだが…。 第一話、観客がまばらな映画館(なぜゾンビ映画?)。第二話、組事務所(!)の中。第三話、乗客がまばらなローカル鉄道の車内。第四話、緊急停止したロープウェイの中(もちろん空中)。ん? 何だか徐々に違和感が…。 第五話、ヘッド・マウント・ディスプレイを着用するARゲームのプレイ中。第六話、家電メーカー会長の別宅、要するにお約束の館。容疑者が限定される極端なクローズド・サークルばかりではないか。いずれも和戸の非番中に発生している。 各編個々に目を向けると、読みどころもある。第二話は「ニッポンカチコミの謎」というタイトルにやられた。第四話の涙ぐましいトリック。第五話は動機はともかく、さっさと処分できなかったのかと、色々突っ込みたい。 そして最後の第七話。……。嗚呼、結局そういう展開なのか、和戸よ。どうやって切り抜けるのかと思ったが、あっさりと読み終えちゃったよ。本作は、第七話のみ書き下ろしで収録されているが、正直付け足し感が拭えない。 前作はオチがうまく機能していたが、このシリーズのファンとしては、無理にオチをつけず、ひたすら同じフォーマットの繰り返しでもよかったような。ミステリ界で唯一無二の設定は、まだまだ読みたいし、読み足りない。 時計屋探偵シリーズ同様、量産は簡単ではないかもしれないが、さらなる続編をお願いします。いっそ共演とかどうでしょうか。
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