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身体性に結び付けられた「女らしさ」ゆえにケアを担わされてきた女性たちは,自身の経験を語る言葉を奪われ,言葉を発したとしても傾聴に値しないお喋りとして扱われてきた.男性の論理で構築された社会のなかで,女性たちが自らの言葉で,自らの経験から編み出したフェミニズムの政治思想,ケアの倫理を第一人者が詳説する
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Posted by ブクログ
現時点で「ケアの倫理」を学ぶために最もまとまった書籍、ただ読みこなすためには、ある程度の基礎知識と粘り強さが必要である。「ケアの倫理」を読み解くためには、現在の社会を理解するための基礎たきな考え、マルクス、フロイト、そしてフェミニズムの歴史、そしてロールズの正義論、これは押さえておくべき基礎理論であ...続きを読むる。「ケアの倫理」が示す民主主義的な態度は、主流とは異なる「もうひとつの声」に耳を傾けること、それが今後の私たちの未来を照らす声になるし、そのこと自身でケアを問い直すことが新しい社会を作っていくことにつながる。新自由主義に基礎付けられた現状を続けるのか、「ケアの倫理」に基づいた社会を構築するのか、今、現在、社会は大きな分岐点にある。
育児、教育、医療、障碍者福祉、介護など、今の日本はどのケアの現場も強烈な人手不足。 将来的にも解消されていく見込みもない。 膨らんでいく焦りや恐れに対する何らかの処方箋はないものかと本書を読んでみる。 もちろん、ケアの「倫理」なので、今すぐにできる何かを説くものではないとはわかっているが。 ケアを...続きを読むめぐって明らかになる、人間社会の在り方、政治の在り方を考える。 それが「ケアの倫理」ということのようだ。 ギリガンの『もう一つの声で』が、この分野の原典であり、重要な著作だとのことで、著者はこの本が書かれ、受容されていく経緯を丁寧に跡付ける。 たしかに、歴史的にはフェミニストたちが問題として立ち上げ、論じるべき問題として精緻化したことは間違いない。 が、正直に言えば、読みながら少しいらいらしてしまった。 どちらかといえば、彼女たちが切り開いた議論の現時点が早く知りたかったからだ。 だから、より興味が持てたのは5章以降だった。 ケアの倫理が目指す社会は、ケアを担う人が労働生産性が低いという理由で排除されない社会。 相互依存に積極的に価値を認める意識を広める。 ケアを担う人のケアを誰かが担う、ケアの関係が連鎖するように社会制度を設計する。 そうすることで、ケアを受ける人がケアを担う人との力関係の中で暴力にさらされる可能性は低くなる――。 ケアを性的なつながりのあるカップルを中心とした人間関係に限定する必要さえない、という、マーサ・ファインマンの議論にも目を披かれる思いがした。
成熟した人間が体得するとされる「普遍的な」正義論が、ケアを受けることを当然視し、なおかつその価値を貶めてきた者たちの視座から構築されたのだとしたら? 新型コロナウイルス禍を経て、ケアの重要性を実感したわたしたちは、「もうひとつの」正義論に向かわないといけない。全編を読み通し理解するには、かなり骨が...続きを読む折れる本ではあるが、実に現代的な、アクチュアルな本であることは間違いない。
うーん。とても難しかった。 結局問題が大き過ぎて、どうしたらよいのかわからない。 ただ、「人が善く生きるには、ケアで満たされなければならない。」はその通りだなと思う。 じゃあ、誰がケアするのか。 今までは、家父長制と資本制の結託により女性が無償でそのケア業務を一手に担ってきたが、今は多くの女性が有...続きを読む償労働に参加する。 子どもを生んだ後も、女性が稼ぎ続けることは、将来への安心にもつながるし、自立感も得られる。子育てに専念してお金を稼げないと、パートナーに稼ぎを依存する二次依存が発生するからだ。 ケアする人は、ケアするだけで大変だから、二次依存が発生するのもしょうがないとも言っている。 昔は稼ぎが一本でもなんとかなるだろうと思えたが、今はそう思えない。わざわざ自分から稼げる力を投げ出して子育てに専念するのも勇気がいる。 でも、それはそれで子育てに専念しなくて良いのかとの、葛藤もある。 それぐらいケア労働とは合理的ではないし、効率的なものでもないからだ。単純に子どもの成長を見守ることは大変だけれど楽しい、というのもある。 反対に、バリバリ働ける人というのは、陰でケアをしてくれる人がいるからであり、そのつながりで経済活動ができている。 つまり、 「ケアなしでは経済は成り立たない。」 「ケアと経済は切り離すことができない。」 「ケア労働は経済の一部であるどころか、狭い市場経済をむしろ支える、広範囲で多くの人びとによって担われている経済活動であると。」 だから、ケアの倫理から政治を見直す必要があるよねと。もう政治の話なので、政治・経済学部の人にも読んでほしい、、。 これからの社会を担う人を育む、労る、寄り沿うケア労働は、愛の労働という括りだけではなく経済活動なんだという言葉はなんだか嬉しかった。 そうだよねと、 母が「人を育てることは何より大事なことだ」と言っていたことを時々思い出すように、嬉しかった。 「何が正しいかを問うか」ではなく、 「どう応えるべきかを問うか」 「人はケアされないことによって傷つく。」 新しい人たち、赤ちゃんや子どものケアがやはり最優先と思ってしまう。 本最後に、コロナ禍についても触れている。 コロナ始まりの、高齢の政治家さえ未だマスクをしていない時期に、子どもへの一斉休校が要請されたことが、まさに政治がケアを安直にみている良い例だとの憤りにも触れていて、そこもなんだか忘れていた困惑、憤りを掬い取ってくれていて嬉しかった。 ちなみに、わたしはフェミニズムの意味さえしっかりと理解していなかったが、男性嫌悪、女性支持ではなく、すべての人間にとって、うんたらかんたらの話。 あまりそこはタイトルに引っかからずにいろんな人に読まれてほしいなとは思う。 でも、難しかった、、、。
自分がげっそりしながら投票していることの説明を始めて言語化してもらえたのがうれしかった。追っかけるのに相当な頭の体力がいる。それだけの価値が私にはあった。
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ケアの倫理 フェミニズムの政治思想
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