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少子高齢化が叫ばれて久しいが、高齢者の身体的特徴や健康度をどれだけ把握しているといえるだろうか。著者は長寿研究の代表的機関に長らく勤務し、世界的調査研究にも従事してきた経験から、高齢者という集団の特徴を科学的に明らかにしていく。医療技術が進歩しても、ヒトは必ず死ぬ。死を前提にしたうえで、著者は、これまでの病気を完全に治癒する医療のありかたから、地域社会で支え癒す福祉への転換を促す提言をおこなう。
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Posted by ブクログ
漠然としか認識していなかったこの国の一面を、くっきり明確にしてくれる一冊です。「高齢化社会」と「高齢社会」と「超高齢社会」の違いにはじまって、高齢者を対象にとるべき対策<病気予防>と<介護予防>の区別とその境界年齢、 はたまた性差によって異なる陥りやすい疾患、などなど、統計データを駆使し、現状から今...続きを読む後の動向までクリアに解析。グラフの意味を知れば、(その意味する内容の重さはさておき)その曲線が美しくさえ見えてしまいます。 今ある長寿は、戦後50年以上かけて実現した医療・衛生面と栄養面の向上の賜物。 でもどんなに予防しても必ず必要となる介護について、制度や運営の構築に50年かけてはいられない。客観的でコンパクトな解説に、ぐいぐい引き込まれました。
タイトル負けしておらず、 久しぶりに手放しにオススメできる本かもしれません。 日本で高齢化が著しいスピードで進んでいることは疑いないことでしょう。 といっても、それが具体的にどんな現象で、 どのように問題として顕在化するのかを、 きちんと説明できる人は多くないのではないでしょうか。 この本は、長...続きを読むく老年医療に携わってきた著者が、 きわめて科学的な視点から高齢化という現象を考察したものです。 例えば、昔に比べて医療や福祉、公衆衛生レベルが向上した結果、 高齢者は元気になってきている(若返ってきている)現実があるのにも関わらず、 いまだ政策等で65歳以降を「高齢者」と一括りすることの妥当性の低さを指摘しています。 後期高齢者とされる75歳以上は統計学的にも生活機能の低下が著しく、区別する妥当性はあるということ、 男女間においても、加齢による身体の衰弱過程に大きな差があるということ(女性は筋骨格系の老化の進行が速い一方、男性は動脈硬化などによる血管病変が進みやすい)、 (=ゆえにたとえ粗くても高齢者を4つのクラスタには分けるべきだということ) など。「高齢化」を一括りに論ずることは危険なようです。 また、特定健診などにより生活習慣病を予防する「病気予防」(メタボ健診が代表的)と、 お達者健診などによる「介護予防」に関して、 それぞれ有効なライフステージには時間差があるため、 財政的な面からも効率性や見切りも必要だということが論じられています。 “後期高齢者医療制度”がかつてマスコミ等からボコボコに叩かれたことは記憶に新しいかと思われますが、 著者はこの制度を高く評価していて、当時の批判が全く本質的でなかったことを本書後半で嘆いています。 この主張をするための論拠がそれまでに散りばめられていて、「なるほど」と思わせる場面もしばしば。 最後は胃瘻・経管栄養と患者のQOLの話を取り上げて、 死生観に関する教育の必要性という、非常に大きな問題にも言及しています。 都市づくり行政に今後携わっていく身として。 今後重要性の増す「在宅医療」という領域に関して、 「住宅」にも一定の役割があるということ。 また、高齢者が要介護状態になる過程において、 日常の外出や買い物、金銭管理の能力は比較的長く維持できる(なんとか独りで生活できる)一方で、 「社会との交流や関係性の低下」が閉じこもりを招くということ、 ゆえに“社会といかにかかわり続けられるか”というところに、都市づくり行政の大きな役割があるのかなと感じました。 あまりケチをつけるところがなかったのが若干悔しいですが笑、 非常に勉強になり、何度も読み返したくなる良書でした。
高齢化時代に向かう医療提供者にとって把握しておくべき重要事項が、的確且つ論理的に纏められており、読んでいて飽きることがない。
とても参考になります。 歩く速さが、75歳平均で時速3.6キロ。 1秒に1メートル。 1秒に2歩はむつかしいので、歩幅が50センチ以上必要ということになります。 これが横断歩道を安全に渡れるぎりぎりの速さ。 ということで後期高齢者の入口ということらしいです。
泣けてきました。嘆いても仕方ないのですが、泣けてきました。 なぜなら、今は「こうすりゃいいじゃん」と思うことも、その時が来たら、きっと苦しくて辛いだろうと想像してしまうからです。 如何にして生きようか、ファイトも湧いて来ました。足靴を大切にします。ありがとうございます。
75歳以上の高齢者になると、「どういう変化・問題が生じるのか?」を医学的かつ生活の質の視点から、多面的に述べられている。 病気予防と介護予防の健診の指導ポイントは、「やせること」と「太ること」の全く逆。75歳を超えると、健康リスクの分布が変化するらしい。 「歩ける」力(秒速1m以上)を維持することが...続きを読む、認知症やサルコペニア(筋肉量減少症)予防、そして「生きがい」のために、重要なポイントとのこと。 本書に書かれている科学的根拠を持った実践を、全ての高齢者が享受できるまちづくり、これこそが地域包括ケアなのだろうと思った。
高齢社会を非常に科学的に、データ的に解説してくれる。特に予防介護の項は勉強になる、これでもか、というくらい実証実験のデータをもって、認知症の発生率やその予防介護の効果を解説。 こんなに超高齢社会の予防に向けてのデータ(10年単位の長期的実験)を日本はしてるのかーと、勉強になる。 介護予防て遺伝子とか...続きを読むデジタルデータで見れるようになったらすごいビジネスだよなー、マジで。(あなたの5年後の歩行障害の発生率何パーセントで、認知症の発生率何パーセントとか。)運動機能の低下予測はナイキあたりが出しそうだが…
散々な批判を浴びた,後期高齢者医療制度についてきちんとした論拠を示した部分が山場.そこに持ってくるまでのエビデンスを著述に網羅している.著者も断っているとおり,医療経済的な記述は薄い.しかし,医学的知見は高齢者問題を論じる基礎知識であることは実感した. ・北欧モデルは人口が余りに少ないので,参考に...続きを読むならない. ・歩行速度別によるI-ADL低下発生率 ・変曲点で見切る重要性 ・介護予防における運動の重要性 ・手段的自立,知的能動性,社会的役割の加齢変化
右肩上がりの経済が絞み始め、収入が落ち込む。過去の大量消費文化にどっぷりと浸かった日本人は巨額な医療費・介護費をはじめとする現在と今後の社会負担の凄まじさとそのリアリティに愕然とし、ただただ戸惑うばかり。今後、超高齢化社会を迎え、この国の膨大な借金と急増する高齢者の借金をどうするのか。間違いなく言え...続きを読むるのは、これまでのような低負担中福祉はもはやありえないということ。巨大な借金と少子高齢化の中で中負担低福祉なのか高負担中福祉なのか、どちらかを選択しなければならない待ったなしの時期に来ている。身の程を弁え息の長い高齢社会を目指しての合意形成が求められている。
超高齢社会(高齢化率21%を超えた社会)について。2030年問題のこと。まさに基礎です。 今後の高齢社会の進展にともなう、 ・高齢者の健康度の改善と虚弱化・死亡の先送り ・疾病構造の変化と医療技術の進歩がもたらした光と影 ・疾病予防と介護予防の必然性と明確化 ・国民の医療と福祉にたいする価値観の多...続きを読む様化 ・高齢者本人の自助努力による自立と尊厳の確立 など広汎なテーマについて、科学的データを織り込みながら概観 (目次) 第1章 2030年超高齢社会のニッポン 1.「高齢社会」の高齢化 2.増え続ける老人たち 3.いま、団塊の世代は元気だけれど・・・・・・ 第2章 寿命と健康の変化 1.なかなか死ななくなった日本人 2.データは雄弁に語る 3.たしかに若返っている一方で 第3章 病気予防と介護予防 1.メタボ検診に未来はあるか 2.これが老年症候群だ 3.介護保険制度が発足して何が変わったか 第4章 老化について科学的に議論するために 1.科学的試験によって実証する 2.尿失禁と認知症の予防 3.筋肉の衰えを予防する 第5章 予防の先にあるもの 1.人生晩年の「分岐点」 2.ピンピンコロリの幻想 3.どこで死ぬか 第6章 超高齢社会に挑む 1.後期高齢者医療制度をむぐって 2.地域包括ケアシステム 3.「生きがい」と「歩み」
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超高齢社会の基礎知識
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鈴木隆雄
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