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過剰な物語(ナラティブ)が長期停滞の根本原因だ。「地価を下げることこそ正しい」「高齢者は弱者、皆で助けよう」「日本はものづくり国家、額に汗して働け」――反対しづらい「正義」の言説がいきすぎた対応を生んだり、イノベーションや活力の芽を摘むことで、経済をいかに歪めてきたか。人々の心をつかみ、世の中を動かす「正義」のナラティブ(物語)から読み解く日本経済論。
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Posted by ブクログ
本書のテーマは、「はじめに」の部分に下記の通り書かれている。 【引用】 本書ではいくつかの「正義」のナラティブがどのように日本経済に影響し、時にゆがめてきたかをみていきたいと思います。特に私が注目したいのは、その時は多くの人が賛同あるいは反対できない「正義」のナラティブがいきすぎて、「正義」のバブル...続きを読むになり、経済政策に悪影響を及ぼしたと思われる例です。 (中略) ただ「国民の安心が第一だ」「プライバシー保護の優先を」という正義の言葉を前にして、マイナ保険証に象徴される医療分野のデジタル改革を止めてしまうのは間違いだと思います。 【引用おわり】 すなわち、筆者は「いきすぎた"正義"が、政策をゆがめている」場合があるのではないか、と主張しており、その例として、上の「マイナ保険証」のほか、「バブル時代の地価を下げる政策」「不良債権解消に向けての金融機関への税金投入」「中小企業救済策」「高齢者優遇施策」などを挙げている。 そうかな?と思った。 筆者はキーワードとして、「正義」をあげているが、私は本当のキーワードは「既得権益」であり、「政府への信頼のなさ」ではないかと感じた。 日本の多くの企業は「中小企業」であり、中小企業を経営している人、中小企業で勤務している人は多く、それらの人たちは選挙で大きな影響力を持っている。高齢者も同じだ。彼らの「既得権益」に反する政策は、選挙を考えるととれない、従って、「中小企業救済策」「高齢者優遇施策」がとられるのである。それは、「正義」とは関係ない、あるいは、「中小企業関係者や高齢者にとっての正義」に従っているということなのだと思う。 「マイナ保険証」への反対は、既得権益とは関係はない。例えば個人情報が守られるかということについて、人々は行政機関を信頼していないと思う。これまでの実績から考えて、行政機関がIT関連技術に長けているとは思えないのだ。これも、「正義」とは関係のない話だと思う。 話としては面白い本だったけれども、ちょっとポイントがずれているようにも感じた。
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「正義」のバブルと日本経済
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藤井彰夫
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