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海棠の狂い咲きをきっかけに,通霊宝玉が失せ,貴妃元春が亡くなり,賈家の没落は現実となり始める.不安に駆られたおばあさまが宝玉の結婚相手として選んだのは,なんと黛玉ではなく宝釵だった.「すり替えの計」を用いた挙式の最中,思い出のハンカチを焼き捨てながら,ついに黛玉は──.補作者による幕引が始まる第6冊.
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Posted by ブクログ
6巻からは補作者によるものだが、物語はここがクライマックス。物語の運びがやや先を急ぎすぎる感はあるが、5巻までの長い読書で、頭はすでに紅楼夢の物語世界に入り込んでいるので、むしろそれくらいのテンポの方が小気味よい。ヒロインの死はあっけなく、周りの反応もややそっけないが、それがかえって胸にしみる。
大観園をめぐる環境は一気に厳しく変わる。賈宝玉と林黛玉の二人は会う機会が減り、史太君、王煕鳳の策により、宝玉と薛宝釵の結婚が進められていく。黛玉はその噂を知り絶望するが病状はどんどん悪化。宝玉の結婚の瞬間に生命を失う黛玉の悲劇の最期はドラマティック。侍女の紫鵑そして、駆けつけた探春と李紈だけに見守ら...続きを読むれて・・・。椿姫の最期に似ている。妙玉と宝玉が黛玉の琴の音と憂いに満ちた詩を吟じる声に静かに耳を傾ける情景が悲しく美しい。悲劇へ向けた序奏である。(87回)宝釵の賢女ぶりが健気で可愛く、それだけに彼女にも悲劇を感じる。薛宝釵の兄・薛藩の殺人事件を巡る裁判の場面を通して250年前の中国の法治国家ぶりが意外と進歩していたことは驚きだった。そしてしっかり者の妹・探春もまた結婚のために去ることが決まり、寂しさが募る。
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