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情報ネットワークや市場経済圏の拡大にともなう猛烈な変化に対して、多くの人々がストレスを感じている。格差は広がり、自殺者も増加の一途を辿る中、自己否定もできず、楽観的にもなれず、スピリチュアルな世界にも逃げ込めない人たちは、どう生きれば良いのだろうか? 本書では、こうした苦しみを百年前に直視した夏目漱石とマックス・ウェーバーをヒントに、最後まで「悩み」を手放すことなく真の強さを掴み取る生き方を提唱する。現代を代表する政治学者の学識と経験が生んだ珠玉の一冊。生まじめで不器用な心に宿る無限の可能性とは?【目次】序章 「いまを生きる」悩み/第一章 「私」とは何者か/第二章 世の中すべて「金」なのか/第三章 「知ってるつもり」じゃないか/第四章 「青春」は美しいか/第五章 「信じる者」は救われるか/第六章 何のために「働く」のか/第七章 「変わらぬ愛」はあるか/第八章 なぜ死んではいけないか/終章 老いて「最強」たれ/関連年表/引用文献一覧/あとがき
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Posted by ブクログ
素晴らしい。悩みを解決してくれる本ではないが、悩むことを肯定してくれる。
序章,1章 悩みの背景と解決策
情報化社会やグローバリゼーションによって自他の境界が曖昧になり、アイデンティティが不安定なものになっている。
便利になりすぎたせいで1人でも生きていけるようになり、これが孤立化に繋がっている(合理化の副作用)。
結局のところこれらは他人との相互承認でしか解消することはできない。
2〜4章 悩みのタネ(金、知性、青春)
金:金はしゃーない、資本主義だから。金を蔑みながらも金なしでは生きてはいけない。
知性:知性と合理化を混同していないか?科学は生活を豊かにするが、自分の生きるための知識はむしろ減っている。自分の身の回りのことはわからなくなる一方で、入ってくる情報には際限がない。生きる力をつけることと、入る情報を限定すること、が必要では?
青春:青春とは答えのない問題に悩むこと。多くの大人は途中で考えることをやめてしまうが、この悩みを持ち続けることが大事だ。
5〜7章 悩みを解決しうるもの(宗教、職、愛)
宗教:宗教は元は「個人が信じるもの」ではなく「個人の属する共同体が信じているもの」だった。宗教が共同体と結びつくことで個人の相互承認を満たし、悩みに答えを与えることで悩みから守ってくれていた。宗教の力が弱まったことで人々は答えのない問いに悩むようになった。
職:働くことの究極の意味は、他者からのアテンション、承認の眼差しを得ることにある。専門分化によってこの承認欲求が満たされなくなりつつある。
愛:現代では、純愛とマゾ的性愛が求められ、その中間に消耗品的な愛が満ちている、しかしこれは不毛だ。昔は恋愛が不自由だったからこそ恋愛の意味が見えていたが、現代では自由だからこそ恋愛の意味が見えなくなって、極端な愛を求める声が強くなっている。愛とは相互の問いかけに応えていこうとする意欲のことであり、これがある限り愛のありようは変わろうともそれは愛だ。幸せになることが愛の目的ではない。相互承認。
8章,終章 悩みの価値
人は相当の苦悩にも耐えられるが、意味の喪失には耐えられない。その向かうところは死である。自由になりすぎ、慣習が死への抑止力となり得なくなりつつある今、悩み抜くことでしか生きる意味を見いだせない。そしてつながりを求め続けよ。できれば、悩み抜いた上で、悩みを受け入れて横着な心を持てると尚よし。
Posted by ブクログ
自由に生きることが可能であるゆえの苦しさとどう向き合うべきかを、夏目漱石やウェーバーの思想をたどりながら書き記している本。100年も前に生きていた二人だけれども、戦後の発達しきった社会で生きているという点で現代の私たちと同じだからこそ、通ずる考え方や悩みがあるのがとても興味深かった。
自由だから故の悩みを解決するためにだした作者の結論が、「悩み抜くこと」だというのが、(曖昧な感想ではあるけど)良いなあと思った。情報が溢れ、技術が進歩した社会で生きると、たくさん手段はあるけれど、結局一番自分が納得できて信用できる方法は自分で悩んで結論を出すことなのだなと思った。
15年以上も前に書かれたとは思えないほど、2024年現在を正確に捉えられている内容だったので驚いた。だけどよく考えてみると、細かな技術や価値観は進化しているが、戦後の発達しきった世界で自由に暮らすことが出来るという重要な点が同じであるため、15年前も今もぶつかる悩みは同じなのかもしれない。そして今後も自由な生き方があるが故の悩みを抱える人は多くいるだろうから、この本は今後も色褪せることなく読み継がれていくのだろうなと思った。(とても素敵な本だと思ったのでぜひ読み継がれていってほしい)
Posted by ブクログ
12年前の本だったけど、現代を息苦しいと思いながら頑張って生きてる人にはちゃんと届いた。
私は無性愛者なので恋愛の項目だけはさっぱり分からなかったが、それ以外は身体に染み入るように理解できて、姜尚中の言葉で心が満たされた。
答えのない悩みを抱えること。
それは決して悪いことではなく、むしろ悩みと向き合い続ける行為そのものが私を強くする。
無理やり答えを探そうとせずに私らしく悩み抜く。
コロナ禍だからこそ普段以上に悩むことが増えて毎日苦しかったりするけど、もうちょっとだけ頑張って悩んでみようかな。
そう前向きに思えるのが嬉しかった。
定期的に読み返したい。
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