猛スピードで母は

猛スピードで母は

小説・文芸
447円 (税込)

2pt

「私、結婚するかもしれないから」「すごいね」。小6の慎は、結婚をほのめかす母をクールに見つめ、母の恋人らしき男ともうまくやっていく。現実に立ち向う母を子どもの皮膚感覚であざやかに描いた芥川賞受賞作に加え、大胆でかっこいい父の愛人・洋子さんと小4の薫の奇妙な夏の日々を爽やかに綴った文學界新人賞受賞作「サイドカーに犬」を収録。子どもの視点がうつしだすあっけらかんとした現実に、読み手までも小学生の日々に引き戻される傑作短篇2篇。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    文藝春秋
  • 掲載誌・レーベル
    :
    文春文庫
  • タイトル
    :
    猛スピードで母は
  • タイトルID
    :
    129401
  • ページ数
    :
    160ページ
  • 電子版発売日
    :
    2011年08月19日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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猛スピードで母は のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    不完全な大人たちを、それを見つめる子どもの感覚からじっくりと書かれた純文学。芥川賞受賞作。面白かった。

    【あらすじ】
    主人公は慎(まこと)。小学五年生。両親が離婚し、祖父母が暮らす北海道の団地に二人で身を寄せていたが、小学校に上がる前に公団住宅に引っ越し、母と二人で暮らしている。母はガソリンスタンドで働きながら保育士の資格を取り、引越しを機に就職したものの長続きせず、今は市役所で働いている。そんなある日、映画に行こうと連れ出された車の中で「私、結婚するかもしれないから」と告げられる。慎は驚き、少し黙って「すごいね」と返す。

    やがて現れたのは、父親になるかもしれない慎一。手塚治虫のサイン本を持ってきてくれたり、「アイスの蓋はなめるよね」と気さくに笑いかけてくれたりする人物で、慎も取り乱すことなく適度な距離感で彼を受け入れていく。

    【感想】
    慎が子どもだからといって過剰に悲劇のヒーローぶったり、大人に甘えたりしないのと、母もそんな慎を過度に子供扱いしないのが良い。その距離感が絶妙で、読んでいてドライな中にある美しさのようなものを感じる。慎は子供ながらの無邪気さを持っていないし、母は〝ちゃんとした大人〟ではない。それはこういう生活を通して欠落したものだと思うんだけど、それでもいいじゃんと思わせてくれる。単純に二人を応援したくなった。

    子ども独特の鋭さで「お母さんも一人の人間」と捉えているのがすごくて、その感覚が瑞々しさを保ったまま文学として再現されていた。自分も小さい頃、大人を見て「あ、今イラついてるな」「この人とこの人仲悪いな」「壁を作りながら話しているな」などと考えていたのを思い出した。

    大人だって完璧じゃなくていいし、子どもだってそんなに弱くない。
    実際「大人ってもっとちゃんとしてると思っていたけど、全然そんなことなかった」って、大人になってから気がついた人は多いと思う。

    あと、併録されていた『サイドカーに犬』もめっちゃ良かった。こちらは文學界新人賞を受賞し、芥川賞候補作にも選ばれている。こちらも子ども目線で書かれたお話で、家出した母と入れ替わるようにやってきた、父の愛人・洋子さんとの夏の思い出を書いている。
    カレー皿にザッと苺を盛ったり、麦チョコを食べながらサバサバと接してくれたりする洋子さんは、主人公の少女・薫にとって、実の母が作った「ルール」の外側にあった。こんなことしても良いんだ、と目から鱗が落ちたように、「自由」に触れていく。

    0
    2026年10月09日

    Posted by ブクログ

    「サイドカーに犬」

    父の愛人の洋子さんとの不思議な共同生活を送る主人公・薫の成長と回想。麦チョコが食べたくなった。この作品が特にお気に入り。個人的に表題作よりも好み。


    「猛スピードで母は」

    主人公・慎に結婚を仄めかす母を冷静に見つめ、小6という多感な時期の肌感覚で描かれた傑作。


    長嶋有さんの小説を初めて読んだが、女性が強くて元気をもらえる。他の作品も是非読みたい。

    0
    2026年10月04日

    Posted by ブクログ

    ▪️サイドカーに犬
    洋子さんが薫に「私の脚さわってみる?」と聞くシーンが好きだ。寂しさや怖さを紛らわせるために抱きつく場合を除いて、子供が大人に触れることは何かタブーのような気が当時はしていた。少なくとも大人の脚に触れた記憶は自分にはない。(忘れているだけかも知れないが)
    脚に触れるとき、きっと薫はドキドキしたであろう。大人ってこうなんだと。大人ってかたいんだと。脳内にある大人という存在に感触が加わることは薫の世界を広げてくれたであろう。

    ヤマシタトモコさんの『違国日記』(漫画)を読んだ際にも感じたが、ルールは大人から与えられるものではなく自分で決めていいものなのだ。大人なんて実は大したことないのだ。と気づかせてくれる存在は本当に貴重だと思う。

    自分が初めてそれに気づいた時、おい、だったら人生ってめちゃくちゃ楽しいじゃねぇかと、まだ自分は人生のスタートラインに立っていなかったのかと、瞳孔を開いてこれまで見ていた景色を再度見渡したことを思い出した。

    修羅場から逃亡するお父さん、ダサくて最高だったな。

    0
    2025年02月16日

    Posted by ブクログ

    『サイドカーに犬』と『猛スピードで母は』の2編
    個人的には前者の方が好みなのでそちらについて感想を書きたい。

    ドイツ製のライトは洋子さんの芯の通った1人の女性を体現するアイテムだったと思う。

    洋子さんと私の一夏の関係を描いた作品だったが洋子さんの存在が現在の私にどう影響し最後の「そろそろ」とは何を指すのか。
    恐らくこの期を逃せば、私は独り立ちのできない理想をいえば洋子さんのような女性にはなれないのだろう。母のハンドバックを借りたと言う描写から未だに親離れしていと考える。

    偽装硬貨が夏休みの終わりを知らせるベルというのは粋で最高のオチであった。

    この作品は夏休みという限られた期間、無駄のない文といくつかのアイテム(チェーホフの銃)という必要最小限に洗練された話だった。

    後者について一言書くとすれば
    憂鬱でどんよりとした話であったが心が沈むほどには重く感じない。慎の成長とラストの爽快な絵がそうさせているのか救いようのないバッドエンドの手前であったからなのか。

    0
    2024年09月20日

    Posted by ブクログ

    小説2本立て。どちらも貧困一歩手前で家庭に問題を抱えていて...というような設定であるが、一般的にいう毒親みたいな大人は出てこず、大人たちは子供に彼等なりの庇護を与え子供たちも自然にそれを受けているように見えた。常識的にそれは如何なの?という点はさておき、愛情の形は様々でそれぞれに逞しく美しいと感じた。

    0
    2023年05月03日

    Posted by ブクログ

    「サイドカーに犬」の洋子さんは強かで恰好良い人だと思った。音もなくひとりで泣く所、すぐに泣き止んで散歩に行く所、私と接する時も無邪気でいる所が魅力的に感じた。
    粛々と物語は進んでいくけれど、軽さはなく、きちんと心に入ってくる感覚。

    0
    2022年08月13日

    Posted by ブクログ

    111108さん、ようやく長嶋有さん読みました!
    良い小説でした…。

    ・サイドカーに犬
    母が家出し、小学生女子の薫が、父と、一風変わった父の愛人の洋子さんと、弟と、父の仕事仲間たちと過ごした一夏の物語。
    淡々と綴られていく気だるい夏のエピソード、父の不祥事によって意外に派手にバタバタと幕を閉じるラスト、偽造硬貨で鳴り響く「夏休みの終わりを告げるベル」に、大切なものがなくなる前の最後のきらめきとノスタルジーを感じた。
    何より、大人になった薫が、洋子さんを思い出して「そろそろなんじゃないか」と、人生が劇的に変わる何かを予感するような最終ページが、すごく良かった。

    子供の目から描いているからこそ、洋子さんのかっこよさが際立っている。
    また夏に読み返したいような中編で、個人的には表題作より好き。

    ・猛スピードで母は
    とにかく、母が団地の梯子を登って、ベランダ伝いに自室まで渡っていくシーンからラストにかけてが心に残った。
    私としては、「猛スピード」な母の型破りな愛情が、遠回りして慎に届く場面のように思った。
    こちらの小説も、何度か読み返したらいろいろ発見がありそう。

    0
    2022年07月27日

    Posted by ブクログ

    麦チョコ食べたい、ボーリング場の跡のスーパー楽しそう、コーヒーカップで我が家も緑茶飲んでるわ、洋子さんのチャリ、洋子さんが薫の年齢聞くタイミング、トド見たいなぁ、慎の心情の移ろい、須藤くんが「トド鳴かなくなったね」と言ったところ、慎の新担任に対する慎の向き合い方、祖母の棺桶に宝石のチラシ、薫の別の何かが「そろそろなんじゃないか」の最後の一文、色々な感情スクラップアンドビルドの連続。うまく感想を言語化できず印象に残ってるところを羅列しただけ。一気に読んだ。

    0
    2022年02月26日

    Posted by ブクログ

     語られる内容は決して軽いものではないはずなのに、その重さを感じさせない爽やかな描写がよかった。懐かしさすら覚える文体が好き。ムーギチョコ/ムギーチョコうける。

    0
    2022年11月20日

    Posted by ブクログ

    母親がベランダ伝いに部屋に入ろうとする場面がとにかく良い。梯子に登った中学生やいじめなどの描写の巧みな積み重ねがあるからこその感動ではあるが、それがなくてもあの場面は印象に残る。母子家庭における母の強さと優しさが端的に描かれた場面だと思う。

    0
    2026年10月03日

猛スピードで母は の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    文藝春秋
  • 掲載誌・レーベル
    :
    文春文庫
  • タイトル
    :
    猛スピードで母は
  • タイトルID
    :
    129401
  • ページ数
    :
    160ページ
  • 電子版発売日
    :
    2011年08月19日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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