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儀礼的行為を通じて天皇が「万世一系の体現者」として、「文明的君主」として〝振る舞う〟ことは、近代初期の日本における天皇の重要な役割だった。近代国家・日本と天皇の関係に、儀礼論的アプローチから迫った画期的試み。
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Posted by ブクログ
本書は、明治維新を軸に、近代の天皇を”儀礼”の観点から語ろうとするものである。 第一部は天皇論が中心。権力関係の形成は儀礼を必要とするし、権力関係を抜きにしては儀礼は理解できない、そのような問題意識から、著者は、近世を脱皮した天皇が近代化する過程の考察について儀礼論的アプローチを取ると言う。 ...続きを読む 面白かった章は、次のとおり。 「第一章 孝明政権論」文久2年(1862)の2度の勅使下向、文久3年の将軍家茂の上洛、孝明天皇の行幸、元治元年(1864)の再度の将軍上洛と、大きなイベントが続いた。特に230年振りの将軍上洛の意義について、エドワード・シルスの「センター論」に拠って、近世国家センターが崩壊し、新たな国家形態、京都を中心とした孝明政権が確立した画期と捉える。 「第二章 天皇の権力」五ヶ条の誓文について、その作成過程やテキスト解釈に重点を置く従来の研究に対して、天皇と議定、公家、諸侯との間の権力関係構築の誓祭儀礼として読み解いていく。 第二部は、天皇との関係によって新たに意味づけられる近代初期の神道、近代の神社が取り上げられる。 「第四章 近代神道の創出」津和野派イデオローグが推進した神仏判然令が目指したものは何かを明らかにする。仏教を排斥するといったことではなく、その狙いとするところは、神社(とその神職)を国家儀礼の場として国家に連結することであったとする。 第五章では、津和野派イデオローグの先達とも言える大国隆正の天主教、耶蘇教理解の変遷について論究される。(大国のことを、服部之総、丸山眞男が高く評価していたことを初めて知った) 「第六章 神社と祭りの近代」日吉神社及び日吉神社の山王祭を分析の対象として取り上げ、その推移を実証的に吟味する。御祭神、祭られている神々が時代によりこんなに変わってしまうのかと、正直ショックだった。そのように変える力学が働いていた訳だが、明治維新の国家神道化が画期となっていることが良く分かった。神社仏閣の由緒も良く調べないと、正に創られた伝統である。 儀礼というと退屈に思われがちだが、このようなエキサイティングな分析ができるのかと、蒙を啓かれた思いである。
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儀礼と権力 天皇の明治維新
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ジョン・ブリーン
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