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Posted by ブクログ
シリーズ3作目。
舞台はアテネ五輪。
スペインリーグでの活躍が認められたリュウジが五輪で躍動する。
相変わらず細部まで綿密に表現され、想像力を駆り立てられるライバル達との試合。
実在する日本代表選手達との違和感のない融合・会話。
五輪出場国が決まる前に描いたにも関わらず腑に落ちる展開。
これらはもちろん面白いが、
この作品の主たるテーマは監督論。
「不安定な心を安定に導く、便利な処方箋」である「組織」と、
その「組織」を壊す「個人」を活かす勇気を持つ事の必要性。
この2要素のバランスの取り方は難しく、
ケースバイケースでもあるため、答えはない。
しかし、答えはなくとも、どちらも残しつつ共存させなければならない。
人生の絶望を経験しドイツで監督論を学んだ平義監督に置き換え、
野沢さんのそんな思いが強く伝わってくる。
・・・とにかく続きが読めない事が残念でならない。
もっと描きたかったはず。
多くのサッカー選手・サッカー関係者・サッカー好きに影響を与えたこの龍時シリーズを遺した野沢さん。
個人的にもこのシリーズを読んで、さらに、確実に、サッカーが好きになれた。
心から感謝。
『我が魂よ、不死を求むることなかれ、ただ可能の限界を汲みつくせ ・・・』ピンダロス(古代ギリシャの詩人)
Posted by ブクログ
とにかく読んでいて思ったのは、野沢尚は、彼なりの愛国心を溢れんばかりに持っていたということだ。
日本人の良さと悪さをサッカーの中に表現している。
『組織とは不安定な心を安定に導く、便利な処方箋』
『どうしようもなく集団意識を持ってしまう日本人は、「自由」に憧れはするが「自由」を謳歌することができず、結局、慎重なプレーしかできなくなる。』
サッカー選手だけの話ではないと思う。日本人という民族全体に当て嵌まるんじゃないかな。
解放宣言が出て奴隷達が「何をしたらいいかわからない。奴隷でいさせてくれ」と泣いたという話を思い出した。
孤独に慣れない者にとって、自由の刑とは恐ろしいものだ。
オードリー・若林がある番組で「上手い、と言うと上から見ていて余裕がある感じがするけど、怖い、と言うと余裕がない感じがする」と言っていた。龍時の目指す、「殺される」と実感するようなサッカーとは、そんな感じだったのかな。
龍時、第三巻。にして、ラスト。続く予定だったそうだけれども、無念。
Posted by ブクログ
1作目からずーっと読んでいくと、
様々な面でパワーアップしたリュウジを見ることができる作品。
もはや、1人の人間として彼がカッコいい、とさえ思えます。
この作品では、
リュウジが日本代表としてのシーズンが描かれているのですが
1つ1つの試合の臨場感と、リュウジの心持ちにドキドキします。
「日本を捨てる」覚悟でスペインへ渡った彼にとって、
異国の地で生活し、改めて自分が日本人と感じた彼にとって、
日本代表になるということは、どういうターニングポイントだったんだろう。
思い返しただけで、何故だか感極まるものがあります。
"わが魂よ、不死を求むることなかれ。ただ可能の限界を汲み尽くせ。"
残念ながら、
これ以上のリュウジを野沢さんの作品としてみることは出来ませんが、
リュウジは可能性の限界をみることが出来たこと、やっぱり羨ましい。
左手に持つ厚みが薄くなるのを惜しみながら、心で読めた作品。
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