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緑先輩、タヌキをとことん語る ●タヌキの基本スペックは? ●タヌキはどう進化してきた? ●タヌキは本当に人を化かす? タヌキ学の黒帯的研究者が、令和のポンポコ事情を明らかにする。 大いなる「狸想」を掲げ、「真狸」を追求せよ!
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Posted by ブクログ
最初は 狸に詳しすぎて読めるかな・・・と 心配になってましたが 体験談に入ってくると ぐいぐい引き込まれます つがいになり 夫婦で力を合わせ 子育てをし 餌をとり 妻がロードキルされた後 夫が一人で子供を育て上げ そして子離れをしたあと 別の縄張りに移動していく 参考文献が 巻末に 30ページもある...続きを読むような本で 泣けるとは思わなかった
日本を代表する動物といえるタヌキについて、生態や進化、人間との関係など現在わかっている情報と知識を整理。 タヌキは、基本一夫一妻で父親が子育てに熱心というのが特に興味深かった。 東京大学出版会から出ているが、論説というよりエッセイに近い雰囲気で、やや雑駁としすぎているきらいはあった。
タヌキの研究者がその生態や人との共生について記した書籍。タヌキを追跡調査する状況はかなり過酷でてっきり男性かと思っていたら、最後に女性とわかってびっくり。タヌキは雄がかなり子育てを手伝うようで、河川の氾濫も察知し子供とともに避難していて凄いなあと思った。著者は動物の恩返しが嫌いらしい。人はもっと酷い...続きを読むことをしているので、そんな些細なことで感謝しなくてもいいよとのこと。そうだよねぇ。
ジブリ映画では『平成狸合戦ぽんぽこ』(英語タイトルは”Pom Poko”)が一番好きだったりする。 生まれて初めて映画館で鑑賞した作品であり、タヌキたちの生態から変化(へんげ)までを夢中になって目で追いかけていた。 公開から28年後、「タヌキに取り憑かれた動物生態学者が書いた」と日経で本書が紹介さ...続きを読むれていた。 『ぽんぽこ』を思い出しながら早速本を捲っていくと、著者によるタヌキのイラストや直筆ほか、道着を身にまとった2足歩行のタヌキが描かれていた…! それがタイトルの由来で、大山倍達(極真空手の生みの親)の著書”What is Karate?”からもじったもの。(そして著者自身も極真空手を嗜まれている様子) 控えめに言って、ユーモアに溢れた方なのかな…?(汗) タヌキ愛(プラス動物愛)もユーモアに負けないくらいに溢れており、研究も徹底している。 例えば彼らの冬眠時に寝ぐら付近に車を停め、車内で寒さと戦いながら観察に励んだりといった具合に笑(ちなみに彼らが擬死する行動は本当に「狸寝入り」と呼ばれているらしい…) 巻末にはタヌキへの想いや人間への憤りを吐露したエッセイが収められている。これは耳が痛かった… 食肉目イヌ科。走りや泳ぎ等ある程度はこなせるようだが、どれもそこまで突出していない「器用貧乏」、よく言えば「ジェネラリスト」。(ただし狭い穴は難なく通れる笑)性格は「緩くも強か」。 第4章「タヌキは化かすのか」は、キツネとの化け方の違いや信仰対象としての在り方等童話的要素が強い。中でも「日本狸名鑑」は馴染みがないぶん面白く読めた。言い伝えのタヌキには固有名詞を付けられている者が多く、一族をこしらえて日本各地に点在している…というのが何だか豪族っぽい。 ここまでは、『ぽんぽこ』のタヌキたちと容易に重ねられる。 タヌキとは里山に住む野生動物のイメージが強かったが、意外にも養殖(その名も「養狸」!)されていた時期があった。ただしその目的は主に輸出用の毛皮の確保だったという。輸出のピークが去った第二次世界大戦以降も、ロードキル(走行中の車や電車に轢かれる)等、人間との諸問題は絶えない。この辺は著者も曰う通り、心が痛む話だった。 タヌキについては「わかっていないことが多い」にも拘らず、(マイナーだと分類される他の学問にも言えることかもしれないが)「研究して何になる」とよく言われるらしい。 経済的価値ではマイナスかもしれないが、研究者が何か確かな価値を見出しただけでも意味はあると思う。あとがきにて著者は、本書が「独りよがりで極論的な価値観を含んでいることを否定しない」と書いているが、少なくともタヌキを始めとした野生動物を誤解しないための手助けになった。ちょうど『ぽんぽこ』を観た時のように。
著者は野生動物、特にタヌキの研究者。 タヌキは、日本に広く分布し、昔話などに出てくることも多い。ある意味、日本を代表する野生動物だが、実は生態や進化についてはわかっていないことが多い。アライグマやアナグマと混同されることもある。 本書は一般向けに、タヌキの基礎知識を整理し、提示しようというもの。 ...続きを読むタヌキの生物学・進化学・国際学・化(ばけ)学・実学・総合科学の総覧である。 タヌキは意外に小さい。季節によって体重は変動するが、おおまかには成獣は4~5kg程度とみられる。食肉目イヌ科で、基本、イヌの仲間と思えばよい。走り・泳ぎ・登り・狩り・穴掘りと、一通りこなすが、どれもそこそこ。いわゆる「器用貧乏」的な能力である。 野生動物であることもあり、五感などの知覚の研究はあまり進んでいない。基礎研究が進めば、タヌキがなぜそのような行動をするのかといった認知行動学研究などにもつながるはずだが、まだその域ではないようだ。 タヌキはほぼ夜行性。若い個体だと昼間に活動することもあるが、昼はほぼ寝ている。 タヌキといえば「狸寝入り」と呼ばれる擬死状態があるが、その生理学的機構は不明である。 タヌキの交尾期は1月下旬から4月中頃まで。妊娠期間は二か月。ペアとなったタヌキは、ほぼ毎日一緒に行動する。タヌキの父親はマメに子育てに参加し、著者が観察した例では、母タヌキが事故死した後、父タヌキが1頭で子育てに奮戦していた例もあるという。 タヌキ属はイヌ科の中でも古い系統と見られ、歯列も祖先の形態と数を残しているといわれる。オオカミやキツネなどの仲間よりおそらく以前に分かれている。化石から見るとユーラシアに広く分布し、日本には人類よりも先に渡っていたようだ。 現代のタヌキを比較すると、日本のホンドタヌキと北欧のウスリータヌキは見た目がかなり異なる。北欧のものはより大きく、行動圏はより広く、脂肪蓄積量も多い。どちらも雑食だが、北欧のものが小型哺乳類などを捕食するのに比べ、日本のタヌキは昆虫などを食べる例が多い。中国で見られるタヌキの化石ですでに小柄化が見られており、日本に住むにあたり、環境に合わせた変化が見られたものと考えられる。 交通事故でひどいケガを負っても、治療を受け、人の隙をついて脱走したタヌキもいたという。おっとりしているように見えて、時にすばしこさやしたたかさを見せるタヌキ。そのあたりが「化かす」昔話の源となっているのかもしれない。 タヌキを語る本ではあるが、研究者としての著者の姿勢が色濃く出た本でもある。野生動物の研究がしたいと渡米し、大学院修了後は日本でタヌキの研究をすると決めて帰国した著者。野生動物に対する愛は深い。タヌキをもっと知りたい、という気持ちが随所に滲む。 時に害獣とされ、ヒトとの軋轢が生じるタヌキだが、著者の立ち位置はタヌキ寄りである。タヌキがヒトの居住区に侵出するというが、元はといえばヒトの方が森林を切り開き、彼らの居住区を奪っていったのではないか。ロードキル(動物が路上で殺されること、多くは交通事故による)も、元はなかった場所に道路が出来たために起こることである。人間に対する怒りがそこかしこに顔を出す。 挿絵も著者によるもの。加えて、著者自身使い手であるという空手の話や、昔話風の研究譚なども交えた、個性あふれるタヌキ本である。
鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』的なやつかなと思ったら、もっとぐっと学問のほうに寄せたつくりの本だった。巻末の参考文献リスト、すごい。もすこしやわらかめで……という注文もしたいところだけど、面白さを増やすと正確性が失われるところあるから、しっかりした内容ということでコレでもいいのかも。巻...続きを読む末エッセイは、そのぶん著者のタヌキ愛がだだ漏れていて、これは収録してもらってよかったなぁと思った。
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佐伯緑
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