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今日、アイドルは広く普遍的な人気を獲得し、多様なスタイルや可能性をもつジャンルとしても注目されている。しかし、同時に多くの難点を抱え込んでいることも見過ごせない。
暗黙の「恋愛禁止」ルールとその背景にある異性愛主義、「年齢いじり」や一定の年齢での「卒業」という慣習に表れるエイジズム、あからさまに可視化されるルッキズム、SNSを通じて四六時中切り売りされるパーソナリティ……。アイドルというジャンルは、現実にアイドルとして生きる人に抑圧を強いる構造的な問題を抱え続けている。スキャンダルやトラブルが発生して、旧態依然ともいえるアイドル界の「常識」のあり方が浮き彫りになるたび、ファンの間では答えが出ない議論が繰り返されている。
その一方で、自らの表現を模索しながら主体的にステージに立ち、ときに演者同士で連帯して目標を達成しようとするアイドルたちの実践は、人々をエンパワーメントするものでもある。そして、ファンのなかでも、アイドル本人に身勝手な欲望や規範を押し付けることと裏表でもある「推す」(≒消費する)ことに対して、後ろめたさを抱く人が増えている。
本書では、「推している」がゆえにジャンルが抱える問題から目をそらすのではなく、かといって、現に日々活動を続ける一人ひとりのアイドルの存在を無視して「アイドル」そのものを「悪しき文化」として非難するのでもなく、「アイドルを好きでいること」と問題点の批判的な検討との両立を目指す。
乃木坂46やAKB48、ハロー!プロジェクト、二丁目の魁カミングアウトなどの具体的なアイドルの実践を取り上げる批評から、「推す」という行為のもつ功罪を問い直す論考、近年K-POPアイドルシーンで盛んな「女性が憧れる女性像」である「ガールクラッシュ」コンセプトの内実を検討するレビューまで、様々な視点から「葛藤しながらアイドルを語る」ことの可能性を浮き彫りにする。
Posted by ブクログ 2022年12月22日
アイドルというものを、ジェンダーやセクシュアリティという観点から語る論考集。アイドルを「疑似恋愛」の対象と見るのではなく、パフォーマンス重視で見ている自分としては、アイドルを見る切り口が違って違和感はあったが、どの論者もアイドルへの愛ゆえに葛藤しながら思考しているので、不快感はない。参考になる一書だ...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年11月29日
奇しくもAKB48岡田奈々が熱愛報道を受けて卒業を発表したり「推し疲れ」が話題になったりしているタイミングで読んだ。恋愛禁止という摩訶不思議な慣習から「推す」という行為が本質的に内包する暴力性、アイドルと性的消費など興味深い論考ばかり。ただし、タイトルに「葛藤」とあるようにいずれも何か明快な結論を提...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年10月05日
消費者が刺激に鈍くなり、より刺激なものを求めるほど、つくる側はそれを売る
世界を変えるのは劇的な力を持ったスターではなく、そのスターを眼差すあなたです
主体としての買う側の意識が変わらないと世界を変えることは難しいっていうの超納得〜
何回も読み直してアイドルの良さ良くなさと向き合いながら“推し”...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年08月16日
葛藤しながら〜とあるので明確な解はない。多面的に考えているということそれ自体が未来へ繋がればいいし、人文学系の学生には考えるヒントになるだろう。第3章ハロプロが女の人生を救うは面白かった。ハロプロの逸脱した曲展開は女の子そのものなんだね。男性の一人称=僕で描かれた物語は確かに記号的だ。
余談だが指原...続きを読む
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