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闘牛士になった兄が死んだ。演技で大技に挑んだ末の出来事だった。妹の怜奈は兄の死を悼むためにスペインへと向かう。だがそこで抱いたのは、兄がトラブルに巻き込まれていたのではという数々の疑念だった。なぜ、兄は無謀ともいえる大技に挑まなければならなかったのか。真相を探るうち、やがて怜奈は、闘牛の世界に魅入られていき――。著者が十五年かけて綴った圧巻の闘牛ドラマミステリー。
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Posted by ブクログ
「著者、15年の情熱!!」のキャッチコピーどおり、下村氏の熱量に心揺さぶられる傑作。闘牛という日本では馴染みのない題材でかなり取材もされたのだろう、その知識が物語を邪魔しないように細心の注意を払いながら綴られ、読み易くされている。主人公・新藤怜奈の魅了されながら闘牛というスペイン人のマインドを余すと...続きを読むころなく描き、確りとミステリー要素も盛り込み、重厚な物語にも関わらず夢中になってスラスラ読めてしまう。「○○の女」というタイトルの中でも1・2を争う秀逸なタイトルと装丁絵も素晴らしい。上梓する作品がすべて傑作になる下村作品。もっと名前が轟いてもいいと思うのだが。
めちゃくちゃ面白かった。 ミステリーというよりは人間ドラマをベースに闘牛を語るって形がうまいし、ただドラマの中から明かされる真実は意外でびっくり。
ミステリというより女闘牛士の成長物語。 闘牛の本場であるスペインで死んだ兄を弔う為に来たはずが闘牛に嵌りプロを目指す。その過程が非常に面白い。 闘牛の所作、歴史、牧場の事業などが細かく描かれていて興味深い。 ミステリ部分は取ってつけたような感じ。闇を描くために必要だったと思われる。
スペインで死んだ闘牛士の兄。彼の死に疑念を抱き、スペインへ渡った怜奈は、兄の仇だと感じていた闘牛に心惹かれのめりこんでいく。しかし男社会の闘牛界には苦悩も多く、そしてますます膨れ上がる兄の死への疑念。ミステリではあるけれど、それ以上に熱い闘牛士たちの物語です。 闘牛って全然知らなかったなあ……「躱す...続きを読む」ものだと思っていたけれど違うんだ、というのがまず衝撃。そして残酷で野蛮なだけのものでもないのですね。とはいえ、やはり向こう見ずだとは思いますよ。あまりに危険すぎる! だけどその危険さと引き換えにしても、人を惹きつけるものがあるのだろうな、とは思いました。ホント熱い。読んでいるだけでとことん熱い。 男社会の中でも負けじと頑張る怜奈の姿はひたすら応援したくなりますね。女というだけで舐めてかかられるというのは、まだまだどこの国でもあることなのかもしれないけれど。わざわざ男とまったく同じ立ち位置で張り合うこともないのだなあ、ということに気づかされました。差別ではなくとも男女の差というのは確実にあるのだから、それぞれの美点を生かせばいいだけで。 という熱い物語だっただけに、闘牛界に潜む闇の部分には失望、というか切ない気分にさせられてしまいました。これも商売といえば商売なのだから、ある程度は仕方ないことなのかもしれませんが。それでもこういう裏事情は知りたくないなあ。
スペインで闘牛士となった兄が、演技中の事故で亡くなった。死のきっかけとなった危険な大技になぜ兄は挑んだのか。その謎を解くべくスペインに渡った怜奈は、実際に闘牛を観戦してその魅力に取り憑かれてしまい、兄の思いを理解すべく自ら闘牛士となることを決意する。 日本人にはあまり馴染みのない闘牛の世界をわかりや...続きを読むすく提示しつつ、兄の死の真相に絡む陰謀を描く熱い小説だった。お仕事&家族小説としても出色である。ちょっと出来過ぎではあるが、エンタメなんだから許してしまおう。エピローグで明かされる秘密にはあっけにとられたけれど(^_^;)。
すごい、すごい闘牛の世界がこんなにもすごい事だとは想像すら出来なかった。闘牛を身近に感じてしまいました。日本人が、ましてや女性が闘牛士になるなんて考えもつかない事です。構想15年納得の期間ですね。ラストの意外な結末は楽しみに読んで下さい。 続きがありそうな終わり方、ぜひ続編を期待しています。レイナの...続きを読む活躍をもっと見てみたいです。
スペイン闘牛のお話。スペイン語を勉強してたので出てくる単語なども楽しめた。サクセスストーリーにしてはやや強引かなとも思ったが設定としては仕方ないかも。サブストーリーなどちょっと不要かと思うところもあり。でも全体を通してセリフが良かった。
突進してくる牛に旗をヒラヒラして「オ・レィ!」と身をかわす、くらいしか認識してなかった闘牛。本作を読んで結構残酷なショーなんだなと知り自分の無知を恥じた。異国スペインで闘牛士となった兄が死亡した。兄の死の真相を知るため、怜奈は日本からスペインへ旅立った。そこで怜奈は闘牛に魅せられる。突っ込みどころが...続きを読む多くリアリティは全くないが面白かった。闘牛の是非は置いておいて、生と死が調和する空間、勇気の証明となる闘牛の情熱は伝わってきた。ミステリーとしては?だったが、闘牛を知る小説としては良かった。エピローグはいらん。
闘牛は牛を虐げるものではなく、むしろその命を慈しむ行為だというのは本書を読む限りそうかなと思う。 人気闘牛士となるためには命を削るような演技が求められ、実際に命を落とすこともあるらしい。 兄の死にまつわるミステリーは闘牛ならではのある習慣に絡めたもの。 その死に絡んだ小者の悪役の救いようのなさ...続きを読むが印象的だった。
闘牛が出てくる作品なんて初めて読んだ。 またひとつ知らない世界を知れて嬉しい。 扱う題材の影響なのか、この作家さんにしては珍しくドラマチックな作品に仕上がっている。 主人公の成長物語としての面白さと、意外な真相に驚かされるミステリーとしての面白さ。 両方楽しめて良い。
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