漱石山房の人々

漱石山房の人々

2,299円 (税込)

11pt

3.5

私が漱石山房に出入したのは明治四十年から大正五年先生が亡くなられた時まで、十年間である。その間に私はただの一度も先生に叱られることがなかった。それは私が入門した時の事情から、先生がとくに私の神経をいたわって下さったということもあろうが、とにかく私は一度も先生から叱られたことがなかった。それで私は先生を恐いと思ったことがなかった。神経衰弱でいじけており、この偉い先生の前で畏まってはいたが、恐いと思ったことは一度もなかった。こんな優しい人が世にあろうかと先生の在世中も思いつづけたし、死後の現在でもあんな優しい人には二度と遭えないと信じている。(「世にも優しい人」)
漱石晩年の弟子の眼に映じた師とその家族の姿、先輩たちのふるまい……。文豪の風貌を知るうえの最良の一冊。

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漱石山房の人々 のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ

    筆者の主観とはいえ、夏目漱石の周辺や没後の弟子たちの相克が赤裸々にされていて、野次馬としては面白かった。
    私信をさらけ出すのはどうかという気がしないでもないが、自然科学でフラットな討議をするのと同様なことなのだろうか。私は理系なので、そこらへんがよくわからない。しかし、兎にも角にも、後世には役立って

    0
    2022年09月10日

    Posted by ブクログ

     久し振りに漱石関係、しかも漱石山房関係者の本を読む。著者、林原耕三という名前は知らなかった。著者によると、明治40年から大正5年先生(漱石)が亡くなられた時まで、10年間漱石山房に出入りしたとのことである。
     漱石との関係は、漱石からもらった手紙に良く現れている。漱石は著者の学生時代の保証人にもな

    0
    2022年02月14日

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