資本主義経済の未来

岩田規久男

資本主義は自由と民主主義を守り、人々の生活をもっとも豊かにできるシステムである。だがそれは、さまざまな問題がつきまとうシステムでもある。物価と雇用の安定、資源配分の効率性、市場の失敗、所得と富の格差、バブルの発生と崩壊、景気変動や世界金融恐慌への対応、国家財政のあり方等々。本書では、これら諸問題について、歴史を検証し、問題の本質を捉え、資本主義経済の未来を展望する。（発行：夕日書房 発売：光文社）

• カテゴリ: ビジネス・実用
• ジャンル: ビジネス・経済 / 経済
• 出版社: 光文社
• 電子版発売日: 2021年12月28日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 11MB

[ブクログ · ★★★★☆]

資本主義の未来
　序章　資本主義の未来へ向けて

　第1章　資本主義における自由と格差-自由と格差および効率性
　　1　資本主義における自由の意義
　　2　自由と競争により生まれる格差

　第2章　｢格差｣縮小は生産性を低下させるか-効率性と平等の二律背反問題
　　1　税制と｢資源配分の効率性｣と｢所得分配の公平性｣
　　2　所得再分配政策はどうして必要か

　第3章　格差の決定要因と格差の実態および改善策
　　1　ピケティの格差理論と長期的な｢格差｣の動向
　　2　主要資本主義国の格差の実態
　　3　日本の格差の現状と改善策

　第4章　世界金融恐慌をもたらした資本主義経済の不安定性-ケインズとフリードマンの資本主義経済観
　　Ⅰ　ケインズの金融恐慌論と資本主義経済観
　　　1　ケインズの不完全雇用の原因とその克服政策論
　　　2　ケインズは資本主義経済をどのように見ていたか
　　　3　ケインズの景気循環理論における投機の役割

　　Ⅱ　フリードマンの大恐慌分析と資本主義経済観
　　　1　フリードマン=シュウォーツの大恐慌研究
　　　2　フリードマン=シュウォーツ後の理論的･実証的展開

　第5章　バブルと資本主義の不安定性-バブルの発生とその崩壊による不況
　　1　バブルはなぜ起きるのか
　　2　バブルはなぜ崩壊するのか
　　3　資産デフレがデフレを引き起こすメカニズム
　　4　日銀に潰された90年代以降の日本経済

　第6章　リーマン･ショック後の欧米の経済政策と世界的な取り組み
　　1　アメリカとＢＩＳの対応
　　2　迷走したユーロ圏の対応-ユーロの緊縮財政と金融政策無効論とその転換
　　第6章補論　｢合理的期待形成理論｣後の予想形成理論

　第7章　リーマン･ショック後の日本の対応は適切だったか
　　1　リーマン･ショック後からアベノミクス実施前まで
　　2　アベノミクス金融政策の効果
　　3　整合性を欠いた｢政策レジーム｣はデフレ脱却に失敗する
　　第7章補論1　アベノミクスの成果
　　第7章補論2　名目賃金の下方硬直性と上方硬直性の関係

　第8章　貨幣と物価および効用
　　1　インフレはなぜ起きるか
　　2　インフレからスタグフレーションへ
　　3　90年代からリーマン･ショックまでの金融政策

　第9章　インフレーション･ターゲティングとその成果
　　1　インフレーション･ターゲティングとは何か
　　2　インフレ目標採用国の実績
　　3　インフレ目標政策の評価とマネーストックの重視

　第10章　財政政策の効果と財政の持続可能性および国債の負担
　　1　財政の乗数効果をめぐる議論と実証研究
　　2　財政の持続可能性を懸念して緊縮財政に
　　3　国債の負担とは何か-国債は常に将来世代へのつけとなるのか

　第11章　通貨制度と通貨･政府債務危機
　　1　ブレトンウッズ体制の機能と破綻
　　2　経常収支赤字国との経済摩擦と為替レートの関係
　　3　固定相場制が招く通貨危機
　　4　ユーロの誕生と最適通貨圏

　終章　資本主義の未来を築くために

　おわりに
夕日書房｢資本主義経済の未来｣ 2021年12月