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《盲獣》展覧会場に相容れぬ雰囲気を醸す人影を見た水木蘭子は、魅入られたかのように盲獣の魔手に搦め取られていく・・・・・・《地獄風景》私財を蕩尽した大遊園地に集まる、名にし負う猟奇の紳士淑女たち。ひとり、またひとりと増える犠牲者を後目に殺人遊戯はエスカレートしていく。共に竹中英太郎画伯の華麗な挿絵を付す。
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Posted by ブクログ
《未購入》『盲獣』は読み手を選ぶ作品だと思う。江戸川乱歩を初めて読む人は、間違ってもこの小説から読んではいけない。エログロへの嫌悪感より、まるで喜劇を見ているような笑いが込み上げて来るから不思議だ。
犯人当て懸賞小説「地獄風景」も同時収録。作者本人もあとがきに書いてるが、「道化版パノラマ島」に納得w 「盲獣」は、触覚に注目した変態的で猟奇な世界観は面白かったんだけど、後半、書くのに飽きちゃったのか、怒濤の急展開で終わらせててちょいと残念。
積ん読本の中から引っ張り出し、ハテ、どうしてこれを買ったろう? と、我ながら首を傾げてしまったのだが、ともかくも読んでみた。 タイトルは盲目のケダモノ(=人面獣心)の意。 欲望のまま女を漁っては非道の限りを尽くす男の話で、 好みのタイプについて、見えないから顔の造作は関係ない、 肌触りの善し悪しが一...続きを読む番肝心と宣う。 で、目が不自由なので、拉致監禁その他一切、 まさかそんな手の込んだ犯罪など不可能だろうという先入観でもって、 長らく容疑者リスト入りを免れるといった塩梅。 ちなみに、この版では、 乱歩自身が読み返して「吐き気を催す」とて削除された部分が復元されている。 ご愁傷様である。 見えないと触覚が鋭敏になって、 見えている人には体感できない愉悦を味わうことが出来る――というのは、 谷崎潤一郎『春琴抄』にも通じると言えるけれど、 しかし、これはエロいのグロいのって(笑) 同時収録「地獄風景」は既読で タイトルを目にしただけでお腹いっぱいなので割愛。 でも、雑誌連載時の犯人当てクイズ結果発表まで採録されているのが愉快。
Posted by 読むコレ
何故か無性に読みたくなった江戸川乱歩。 その中でも群を抜いた変態小説が恐らく今作。 盲目の怪人がその猟期趣味を全開にした 倒錯した「見えない側」の世界観を圧倒的かつ 一方的に書きまくった力のある作品。 勿論現代の小説スタイルからしたら おかしな部分や荒唐無稽な展開なのですが ディテ...続きを読むィールなどに拘らず初速からラストまで 同じスピードで一気に読ませるのは、やはり この作品の妖しさと如何わしさに取り込まれた 証拠なのかも。 3人目の殺人事件の件においては、猟奇的な 怖さと滑稽で下らなさとが同居していて、この 感覚とセンスは他の誰もが出来るものでは ないような「差」を感じます。
何故か無性に読みたくなった江戸川乱歩。 その中でも群を抜いた変態小説が恐らく今作。 盲目の怪人がその猟期趣味を全開にした 倒錯した「見えない側」の世界観を圧倒的かつ 一方的に書きまくった力のある作品。 勿論現代の小説スタイルからしたら おかしな部分や荒唐無稽な展開なのですが ディティールなどに拘ら...続きを読むず初速からラストまで 同じスピードで一気に読ませるのは、やはり この作品の妖しさと如何わしさに取り込まれた 証拠なのかも。 3人目の殺人事件の件においては、猟奇的な 怖さと滑稽で下らなさとが同居していて、この 感覚とセンスは他の誰もが出来るものでは ないような「差」を感じます。
盲目の男が、触覚での美しさを求めて女性を次々と殺害していく。 乱歩すごい。けれども読後も不快感。
●盲獣 こんな世界観があったとは、、、 ぐろく、エロく、純粋、触感芸術 最近のサクリクを繰り返す探偵ものより、わかりやすい。 ●地獄風景 これもまた、、、変わった趣向の殺人。 それにしても、江戸川乱歩さんのこの本は自由な思考で好きなだけ書いていた。 そんな本を書く環境があった...続きを読むんだと思う
江戸川乱歩で一番好き エロティックで残酷でまさに猟奇 同時収録の「地獄風景」も気味悪いのに ばかばかしく、なぜがすがすがしい この2篇は最強の組み合わせだ 傑作
『盲獣』は大衆雑誌に昭和6年から翌7年にかけて連載。 作者自身、読み直して「ひどい変態もの」とびっくりしているという、読者も驚きの犯罪小説。 主人公・盲獣は盲目の猟奇殺人者。 狙われるのはレビューの女王だとかカフェのマダムだとか冒険大好き未亡人。この顔ぶれが既に艶っぽい。いずれもかなりの美女だそう...続きを読むですが、盲獣には顔の造形はさして問題ではないのです(見えないから)。 では、なぜ彼女たちに白羽の矢が立ったのか? 答え.触り心地が良かったから。 驚愕のド直球。 レビューガールは盲獣の罠にはまってアジトに監禁されてしまうんですが、このアジトもヤバい。作り物の女体のパーツがびっしり並んだ(むしろパーツで構成された)真っ暗な部屋で、この部屋の描写を読んだ時はガチで引きました。 で、そこで盲獣に触ったり触られたりする内に順応しちゃったりして、触覚だけの世界もいいなあとか考え始めちゃうレビューガール。 ああ、じゃあ良かったじゃん。一生2人で触ったり触られたりして暮らせばいいと思うよ。 と思ったのも束の間、盲獣、レビューガールにあっさり飽きる。 そして殺害。バラバラにして風船にくくりつけて飛ばしたりする。 やりたい放題だな盲獣!! 頭おかしくなりそうです。自分の子供には読ませたくない度、かなり高し。まあ勝手に見つけて来ちゃったんならその時はしょうがない。読むがいい。 しかし本編にあった言葉、「吹き出したいほど残酷」には深く頷きました。 それほど多くはない自分の読書経験を振り返ってみても、奇を衒いすぎてあざとさが鼻についたり、ただ単に不愉快になるような残酷描写はあれど、馬鹿馬鹿しい残酷さにはなかなか出会えません。残酷すぎて笑っちゃうって、それ完全に「残酷さ」がレッドゾーンを振り切ってるって事ですよね。いや、確かに怖いよ。すげー怖いよ。 『人でなしの恋』所収の短編「踊る一寸法師」もそうですが、乱歩という人は”この人から見た世界ってどんなだろう”という事についての想像力がハンパなかったんだろうなあと思います。 自分とは違う世界(例えば視力に頼らない世界であったり、両手足を失った状態で生きなければならない世界であったり、明晰な探偵の頭脳をもって挑む世界であったり、肉体的苦痛がそのまま快楽になる世界であったり)を、実際に見てきたかのように語る想像力。 その突き詰め方が尋常ではないから、狙ってる感を感じる間もなく怖がれるのではなかろうか。 「乱歩」って聞いただけで、なんか怖い気がする。後ろめたい感じがする。 でも見たい。できれば何かの隙間から。 最近ではすっかりお目にかかる事のなくなった心霊特番やUFO番組、あるいは深夜のピンク映画のようなドキドキ感を感じつつ、しかしやっぱり日本ってこういう国だったんだよなあと思うと、また趣き深い。 「エー、ここもと御覧に供しまするは、神変不思議の大魔術、・・・・・・」なんて見世物屋の口上、今では日本全国どこに行っても聞けないだろうけど、それでもやはりワクワクします。日本語としてしびれるぜ。
絶対に子供向けにはできない作品。乱歩自身が書いているように名探偵も犯人も出てこない。触覚の作品と言っているように主人公は盲目の殺人鬼。自分の世界に獲物を引きずり込む蟻地獄の如き犯罪がいくつも続く。理屈もへったくれもなくただただ狂気を紡ぐ文章に付き合うだけの作品と言ってしまえばそれまでだが、一片の理性...続きを読むも感じさせない世界観がこの作品を忘れがたいものとしている。そここそが触覚の世界なのかもしれない。
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