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20世紀アメリカが生んだ鬼才、幻想と怪奇の作家、ラヴクラフト。彼の想像力の産物であり彼自ら病的なまでに憑かれていたクトゥルフ神話が怪しく息づく代表作「インスマウスの影」と「闇に囁くもの」。デラポーア家の血筋にまつわる恐るべき秘密を描いた「壁のなかの鼠」、彼の知られざる一面を垣間見せる異色作、ブラックユーモアの「死体安置所にて」の全4編を収録。深遠な大宇宙の魔神の呼び声が、読者を太古の昔から永劫の未来につづく暗黒世界のとりこにすることはまちがいない。
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Posted by ブクログ
元々彼の人のことはTRPGの方で知ったのだが、元を知るとやはり人気になるだけの魅力があるのだと思った。 散々ひどい文章だと本を勧めてくれた知人には言われたものの、余程の悪文なのだろうと開いてみればまったく読みやすいではないか(とはいえ、あくまでも想像よりかなり良かっただけであって、多少引っかかる部分...続きを読むがないわけではなかった)。 罪と罰やレ・ミゼラブルなどのすぐれた小説を初めて読んだ時のように、ひたすらに貪り読んだのを今でも昨日のことのように覚えている。当時のわたしにとって、ラヴクラフトの書く物語はてんで未知の世界だったので余計に。 成長した今改めて読むと、当時ほどの感動はなくなっているもののやはり内容が好ましい。今でもふと、眠れない夜に明かりを灯して読みたくなる。想像力を触発されて余計に眠れなくなる。ラヴクラフトの魔力は本当に恐ろしい。
一時期、クトゥルフTRPGのリプレイや動画を観るのにハマっていた。それから念願の著作を読む機会を得た。 常々思ってはいたが、宇宙的恐怖はキリスト教文化に効く表現で日本人には理解しづらいのではないかという印象。ただそれでも日本で根強い人気があるのは、狂気が伝わる表現や未知のものへの好奇心なのだろうか。...続きを読む私はその点で薄気味悪い和製ホラーや海外のパニック恐怖よりも引き込まれて好みである。
再読。 インスマスの影に始まり、ラヴクラフトの名作と言わしめたストーリーが詰められています。 ここら辺の訳者がなかなか癖があり、読む人を選ぶとは思いますが、個人的にはよどみなく読めました。
クトゥルーつながりで本家に立ち返る。 独特な言葉運びで執拗に描かれる不気味さ。やっぱりラヴクラフトは偏執的で不気味で面白い。「インスマウスの影」が最高です。また、夢にでてきそう。
怪奇・幻想小説の先駆者であり、クトゥルフ神話と呼ばれ世界中に熱烈なファンを持つ体系的作品群を生み出した、ラヴクラフトの代表作が詰まった短編集。生前に出版された唯一の中編『インスマウスの影』を筆頭に、ブラックユーモアの利いた『死体安置所にて』、ダークファンタジーの感もある『壁の中の鼠』、宇宙的恐怖(コ...続きを読むズミックホラー)を体現する名作『闇に囁くもの』、とラヴクラフトの作風が網羅されている。ハマりそうな予感。
[インスマウスの影] ラヴクラフトの中で一番好きなのをひとつ選べと言われたら、俺はこれ。遺跡や太古の都市なんかだといまいちピンとこないけど、まがりなりにも現代の町がこんな感じだったら、そりゃ気持ち悪いでしょう。「狂気の山脈にて」なんかよりも、俺はこっちのほうが全然いいけどなあ。紀行文的なスタイルも...続きを読む成功していると思うし。インスマウスっていう単語の、なんかヌメッとした魚類的な冷たい感じも抜群。もっともこれはこの短編から逆に刷り込まれた印象かもしれないけどね。 p.s. 改めて読み返してみると、いろいろと忘れていたことが多かった。インスマウスの町の沖の<悪魔の暗礁>にいたのが<ダゴン>だったとはね。しっかり<ダゴン秘密教団>とか出てきてるし、それに<ショグゴス>も。ラストで、主人公が実はインスマウスを呪われた町にした張本人のオーベッド・マーシュ船長と血が繋がっていることが明らかになるけど、ザドック・アレンに主人公がマーシュ船長と同じ目をしている言わせたり、主人公が<悪魔の暗礁>を見ていると誘いこまれそうになるとか、いろいろと伏線を張っていたのにも今回再読して気がついた。ダゴンの海底都市ヰ・ハ・ンスレイにたどり着いたものは不死になるというのも覚えてなかったなあ。 ただしラヴクラフトの作品一般に言えることだけど、今回もギルマン・ハウスから主人公が逃げ出したときに、蛙みたいな奴らが行進しながら追いかけてくるとか、<悪魔の暗礁>から連中の集団がやってくるとか、怪物を書いているにもかかわらず、そういう場面が何となく笑えちゃって怖いという感じはあまりしない。あえて言うならインスマウスから出ていこうとしたときに、バスが調子悪くなったというところと、ギルマン・ハウスの部屋の留め金が最近になって外されていることに気がつくところが不気味。 [壁の中の鼠] うまい。ラヴクラフトもこんなうまい短編を書けるのね。動物ものだと思わせて、実は人食いサイコ野郎とは。 [死体安置所にて] [闇に囁くもの]
インスマウスの影、名作言われるだけある。シンプルに本編も面白いのに、ラストの語り手の末路が本当ゾクゾクする。
クラスメイトが読んで欲しいと貸してくれたので拝読。 小難しくて読めてない話があるから教えてくれとの事。お任せ下され!と読み始めたのですが、100年近く前の作品なので確かに文章がかたい。にも関わらず凄い世界観で引き込まれました。 クトゥルフ神話の元祖らしく、かなりダークな世界。 クラスメイト曰く「ダン...続きを読むジョン&ドラゴンズ」等に影響を与え、ラヴクラフトさんの世界観を元にしたボードゲームも人気だとの事。 わかるなあ、これはクリーチャーと戦いたくなります。(後方支援で) 短編集なのでまたそれぞれに感想を書きますのでご興味ある方はお付き合い下さい。実際に読まないと分かりにくい世界観なので簡単に書きます。 【インスマウスの影】 ラヴクラフトの代表作らしいので少し長めに。 旅好きの主人公の僕が成人した記念に母親の出身地アーカムに向かおうとするのですが、手前のインスマウスという町に興味を持ってしまいます。 この町が所謂『忌み地』で地図にも載ってなけりゃ街の人はあんなとこ行くなよ!って空気ですし、バスが出てるのですが誰も近寄りたがらず運転手も魚顔で超絶陰気。 しかし僕は逆にどんどん興味を持ってしまいついにバスでインスマウスへ向かってしまいます。 このインスマウスが読んでいてお風呂に入りたくなるようなジメジメさです。 住民は皆陰気で魚っぽい独特の『インスマウス面』をしているとの事。TRPGなどをやられている方には有名な単語らしいですが、恐らく疲れ切って本を背負い帰宅している時の私の顔に近いのではと想像しましたが、住人は一切口を聞きません。 街は静まり返っているのに内側から釘打ちされて使われていない家からは走ったりきしんだりする謎の音が。 私なら音速で帰りますが主人公は街に一つだけあるホテルに泊まります。そして翌日に街で買い物に出た際によその街から配属された店員と会話をした事から僕は恐ろしい街の真実を知る事に。 街の人は『ダゴンの誓い』とかいうろくでもない誓いを立てさせられており(この単語もこの界隈では有名な単語らしいです)街の人が狂ったように「イア・ル・リェー!イア!イア!」と叫び出す所では笑ってしまいましたが笑い事ではない。 この時は流石の主人公もこいつはヤバい!と思い逃げ帰るのですが、その際に遂に遭遇してしまうクリーチャー。気持ち悪い!最高!! 一応無事に逃げ帰れた僕ですが、その後が…。 感想というよりあらすじになりましたが、寝る前に読んだせいかクリーチャーに追い回される夢を見ました。「イア!イア!」と叫べば良かった。 【壁の中の鼠】 イグザム修道院という館で起きた恐ろしい儀式の話。この修道院では館の主人と子供が5人、召使いが何人か殺される惨殺事件が起きています。当時犯人だとされていたのが主人公の祖先。やがて主人公が引き継ぐ事になるのですが、改装時にこの館の地下やべーぞ?となるわけです。 館の謎が古典ではあるのですがゾッとするもので鼠恐怖症になりそうでした。ここでもおかしな言葉が出てきます。「マグナ・バータ!マグナ・バータ!!」 【死体安置所にて】 葬儀屋のバーチの身に起きた怪異譚です。今までのクトゥルフ神話をベースにした話ではなく箸休め的な物語でした。(これが箸休めになる辺りが凄いんですが) うっかり墓穴に落ちたバーチが自身に優しくしてくれたおじいちゃんのご遺体が入った棺と、大嫌いな金持ちのご遺体が入った棺と共に夜を明かさなくてはならくなるお話。今ではこの程度では動じなくなってしまいましたが、幼少の頃にこれを読んだらトラウマになりそう。 【闇に囁くもの】 これが1番好きでした。またまたクトゥルフ神話を踏襲しつつ今度は宇宙にまで世界が広がります。 それこそRPGに出て来そうなクリーチャーが登場。 民俗学のアマチュア研究家で文学の教授である主人公が、ヘンリーという男と文通を始めた事からとんでもない研究を目にしてしまうまでのお話。 犬好きには辛い描写がありまして、やめて!ワンワンはもうやめてー!!と胃が縮こまる思いでしたが仕方ないと言えば仕方ない…。だって相手は怪物ですから。 このまま怖い話で終わるのかと思いきや、ぶっ飛んだ科学実験に展開。 これは後のSF作品に影響を与えたのではないでしょうか。四篇中最も嫌な終わり方です。勿論、褒め言葉です。 改めて古典を読んでみると新たな発見があって面白いですね。ちょうど、翻訳本を読める身体に戻そうキャンペーン実施中だったのですが、荒療治ですっかり翻訳本が平気になりました。 正直読みにくかったですが内容が内容なだけに翻訳も相当大変だったと思います。 クラスメイトのラヴクラフトがもう1冊手元にあるのですが、先に『ジェノサイド』に移ります。 返却期限が迫っていて、どちらが勝つか勝負です。
4編の作品が集録されています あとがきにあるように「ラヴクラフトのリズム」に苦みましたが、徐々に慣れてきました。 100年近く前の作品とは思えない現代的なSF感があった「闇に囁くもの」は特に面白かった。 ラヴクラフト作品はイメージ力がある読者がハマるらしいのでお試し下さい
ついに初めて読みました。 意外と普通な伝奇小説ふうでした。 小説読んでいて、初めてポーの一族的な重厚さを感じまして。 ずっと冷たい印象が続く感じもして。 訳がいいのかな。この方の訳のは他にあるのかな?この一巻だけ?
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