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医療事故の責任を若い医師がとらされる現実、看護師たちの密かな怒り、病院に蔓延る権力闘争、医師の「妻」という立場、法案成立にしがみつく厚労技官、そして病院経営に隠された闇……。毒だらけの日本の医療界に、孤高の外科医・鬼塚鋭臣がメスを入れる。医療関係者震撼、必読の本格医療小説、堂々誕生。
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Posted by ブクログ
スポーツ、新聞記者、からの医療小説ですね。 連作短編集で、登場人物の関係性が徐々に明らかになっていく構成となっていて飽きずに読み進められました。
日本の肝臓移植手術のほとんどは生体肝移植だ。家族など健康な人からの肝臓を取り出して、患者へ移植する。提供できる肝臓をもった遺体を待つ必要はないが、健康な人間の体にメスを入れて、肝臓を取り出すことになる。患者はもちろん提供者にもリスクを負わせることが正しいのか。提供者は本当に患者の関係者であり、自ら望...続きを読むんだのか。 そんな医療的、道徳的にも賛否のある肝臓移植をテーマに、医療従事者や移植コーディネーター、マスコミ、病院経営者、官僚、患者とその家族たちを主人公とした連作短編集。 どのストーリーにもキーマンとして登場するのが、孤高で多くを語らないが、技術は一流、ブラックジャックをイメージさせる外科医鬼塚。彼の信念が少しづつ明らかになるミステリー的面白さもありつつ、日本医療の問題点に迫っていく。
臓器移植に関する壮大な物語で、医学用語が頻出だったが外科医師、移植コーディネーター、病院経営者、医師会、厚生労働省の官僚、厚生族の代議士、医療ジャーナリストなどが登場し、それぞれの人間的な動きが克明に描写されており、非常に楽しめた.舞台は四国にある潮メディカルセンター(UMC)で鬼塚鋭臣医師が主役だ...続きを読む.難しい生体肝移植を数多く成功させていくが、外国人患者の移植で問題が発生.厚生官僚の鷲尾緑里、イベント会社の中原京香、コーディネーターの田村美鈴の絡みが面白かった.美鈴・京香と鬼塚の複雑な関係が明らかになる最後の巻きが良かった.
主人公である外科医の周辺の人物8名に焦点を当て彼ら、彼女からの視点で、この話が進む。其々の気持ち、主人公との関わりに触れながら、全体の道筋が明らかになっていく。作家本城雅人の中々の力作かもしれないと思いつつこの本を読み終えた。
生体肝移植経験者として興味深く拝読させていただいた。移植を取り巻く諸問題を過不足なく、確り描いている点は非常に評価できる。小説としては、主人公の移植への想いがミステリータッチで明らかになっていく進め方だが、主人公の人物像が最後までしっくりこない印象。今まで数々の外科医やその卵たちと接した経験からもこ...続きを読むの主人公像はあまり現実的でない気がした。
初の生体肝移植。ゆうやちゃん、元気かなぁ?生体か脳死か。脳死、一時的には盛り上がったが、課題は30年経っても解決されない。面白い手法の小説だけど、トンチンカンな記者と厚労省ネーチャンにいいように振り回され善人が責任負わされる不条理は、やりきれない。
医師って難しいな。 ただ人の命を救うだけではなく、ざまざまな問題をクリアにした上でなくてはならない。 さまざまな問題をクリアした上で完璧な手術を行なっても、世間から後ろ指を指されることもある。 難しい難題に向かった作品だったが、読んだ後で心が暖かくなる一冊だった。
いろんな想いが入り乱れていて複雑ですね。 ブレてないのは主人公の鬼塚先生だけのように思えます。 鬼塚先生の信念が何処から来ているかが知りたいですね。 続編が出ればそれが分かるのかな。
93生命の大切さが医療とお金につながるとたちまち胡散臭くなるのは何故かなあ。教師や警官の不祥事を目にするにつけ、医師も崇高な使命を忘れてしまうのか?と思ってしまいます。最後のドナーの告白はチョットあっけない。終盤にもっと力を入れて欲しかった。
孤高の天才外科医が主人公の物語は沢山あります。やはりかっこいいし、一匹狼的な印象があるので色々な方向に描きやすいのでしょうか。 天才鬼塚医師の周りの人から見た彼を一章づつ描いているので、彼の主観は分からないのですが、こういう医師に手術して欲しいと思う一方、こういう医師を叩く報道に自分が直面した時には...続きを読む、ひどい医師もいたもんだと短絡的に思って終わりになってしまうんだろうなと。 それだけ報道というのは力が強いし、ネット社会になってさらに拡散力が増強されて、こういうリスクのある仕事を避ける事になってしまうんでしょうね。産婦人科医のなり手が居ないのもまさにそれでしょう。 さすが元新聞記者が書いた医療ドラマだなと思いました。
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