日本人の死生観

日本人の死生観

1,210円 (税込)

6pt

3.4

仏教学に民俗学の方法を接続し、日本人の宗教を深く掘り下げた五来重。本書は、厖大な著作を遺した宗教民俗学の巨人の「庶民宗教論」のエッセンスを知るのに最適な1冊である。
日本人の死生観とは、すぐに連想される「ハラキリ」や殉死など、武士道的なものだけではない。貴族や武士の死生観、いわば「菊と刀」ばかりでなく、「鍬」を持つ庶民の死生観は、一体どんなものだったのか。本書では、教祖・教理・教団から成る西洋起源の宗教や、文献研究と哲学的思弁にこだわる仏教学ではなく、仏教伝来以前からの霊魂観や世界観が息づく根源的な「庶民の死生観」を明らかにしていく。
著者によれば、庶民にとってあらゆる死者は一度は怨霊となる。それは鎮魂によって「恩寵をもたらす祖霊」に変えなくてはならない。そのための信仰習俗や儀礼の有様を探索し、日本列島を歩きに歩いた著者の視線は、各地に残る風葬や水葬の風習、恐山のイタコと円空仏、熊野の補陀落渡海、京都の御霊会、沖縄のイザイホウ、遠州大念仏、靖国神社などに注がれる。
巻末解説を、『聖地巡礼』『宗教と日本人』の著者・岡本亮輔氏(北海道大学准教授)が執筆。〔原本:角川書店、1994年刊〕

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日本人の死生観 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    日本人の死について、民俗的・宗教的視点から人間の死にまつわる思想・文化芸能に関する過去と現在のありようについて紹介した著作。

    0
    2023年03月21日

    Posted by ブクログ

    原始信仰、神道、仏教、その他派生した信仰を詳しく解説しながら、仏教がいかに日本に広まり、なぜ定着したのか、なぜ日本人に受け入れられたのかを解説する。仏教の布教の特徴(既存の信仰や習俗に合わせる)やベースとなる土壌(古くからある習俗、信仰、儀礼)を予備知識のない人にもわかりやすく説明している。
    文章は

    0
    2021年12月25日

    Posted by ブクログ

    その国の文化や価値観を知りたいと思った時に、死生観や、それに基づく葬儀の方法などは、とても興味深い指標になる。日本で火葬が普及する以前は、風葬(特定の場所に置いて風化させる方法)や水葬(船や桶のようなものに入れて川や海に流す)やり方が一般的だったらしい。死者は穢れたものとされ、死亡して間も無くは祟る

    0
    2023年10月20日

    Posted by ブクログ

    日本人の死生観 五来重 講談社

    足で学んだ宗教民族学者が
    各地に残るアミニズムを含む
    死生観を掘り起こす中で
    出合った宗教観
    肉体の死と霊魂の関係
    腐敗に対する穢れと浄化
    迷える魂を救う祈りと祀り
    葬祭や埋葬に対する思いと儀式を綴ったもの
    風葬や水葬
    生まれ変わりやあの世についての記録

    0
    2022年02月28日

    Posted by ブクログ

    複数の論考や講義録を併せて『日本人の死生観』と題したもの。著者の研究が仏教研究から出発していることに留意すると分かりやすい。
    以下要点を箇条書きで。ネタバレ注意(?)





    ・死後の世界=他界 現世の延長・投影 死者の国
    山/海・島(常世、理想郷でそこでは歳を取らない)がのちの浄土観念や聖地・霊

    0
    2022年01月05日

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