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家族や友達といるより、喫茶店のアルバイトが好きな17歳の更紗。アイスコーヒーだけで閉店まで粘る常連客の「黒縁さん」。おしゃべりが苦手な二人が、店以外で偶然出会ったのは夜の公園だった。お互いの連絡先も知らないまま始まった特別な時間は、胸に秘めた過去の痛みを解きほぐしていく。愛に飢えた彼女と愛を諦めた彼が織り成す成長の物語。
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Posted by ブクログ
2023/11/26 普段から自分の思いを言葉にして伝えることをせずに生きてきた高校生の更紗と、バイト先によく来る社会人の仁科さんを中心とした話。 「自分の思いや考えは言葉にして伝えた方がいい」 というこの一言に尽きる、とても読みやすい小説です。 言葉にしないで、自分で飲み込んでしまったり拡大解釈し...続きを読むたり、思い込んじゃったりすることで現代でも色々なすれ違いが生まれてトラブルの元になったしすることも多いですが、そんなことについてもこの小説を読むことで考えることができるように思います。 文字で表記して読むのは簡単ですが、この簡単に書かれたことを実践するのが難しい。 改めて自分の生活でも意識してみなきゃと思うような小説でした。
言葉の力と人の優しさを感じられた1冊。 汐見さんの作品は改めてとても読みやすい。 2人が成長していく様子がとても良く、あたたかみのあるストーリーだった。 よくある恋愛小説かと思ったらそうではなくそれが逆に心地よかった。 最後の終わり方が 仁科さんが彼女のしあわせを願うもので読み終えてしあわせな気分...続きを読むになれた。
真夜中の底で君を待つ
この小説を読んで、たくさんの言葉を知りたいと思いました。言葉の力に気付きました。読めて良かったです。
辛かった頃の自分にかけてあげたい言葉がいっぱいでした。温かくて優しくて、何度も泣いてしまいました。私も言葉で誰かの悩みを軽くできたらいいなと思いました。
汐見夏衛さんの小説は、文章がスラスラ読めて言葉がスっと入ってくるのでとても好きです。 読む前は恋愛小説かなと思っていたけど違いました。 あらすじ 家族や友達といるより、喫茶店のアルバイトが好きな17歳の更紗。アイスコーヒーだけで閉店まで粘る常連客の「黒縁さん」。おしゃべりが苦手な二人が、店以外で偶...続きを読む然出会ったのは夜の公園だった。お互いの連絡先も知らないまま始まった特別な時間は、胸に秘めた過去の痛みを解きほぐしていく。愛に飢えた彼女と愛を諦めた彼が織り成す成長の物語。 ひとりでも平気だった。 君の言葉に出会うまでは―。 二人が実は昔にもう出会っていたことに更紗は気づいていなくて、仁科さんは気づいているのがなんか良かったです。 更紗と(元)お母さんの電話での会話に胸が苦しくなったけど、最後、更紗とお父さんとがお互いに本音で話して誤解がとけたのは良かったし、更紗の寂しいという気持ちが少しずつでも無くなっていったらいいなと思います。 仁科さんの「あの小さな少女が、僕を今日まで生かし続けてくれている。」という小説の終わり方が好きでした。 そして、仁科さんにとっての運命の本の一節 『自分に必要のないものは捨てればいい。自分を苦しめるものからは離れればいい。あなたの手足はそのためにあるのだ。そして、失いたくないものは抱きしめる。自分を幸せにしてくれるものには駆け寄る。あなたの手足はそのためにあるのだから』という言葉がとてもいいなと思いました。 序章 真夜中のくらげたち 1章 黒縁さんのこと 2章 夜の公園に浮かぶ月 3章 たったひとつの宝物 4章 僕らを包む雨の音 5章 忘れられない夏の日 6章 私の知らない横顔 7章 あなたと会えない時間 8章 黒猫のキーホルダー 終章 真夜中の底で僕らは出会った
ガラスみたいに繊細で儚い心を持つ更紗と、哀愁漂う仁科さん、二人の感情が痛いほどよく見えたお話でした。 とにかく、仁科さんが使う言葉とその人としての暖かさに胸が温かくなりました。これほどまでに大人な人が一体何人いるだろう、、 でもそういう人ほど、人よりたくさん傷ついていて、辛い過去を乗り越えてきたか...続きを読むらこそ、その人を形成しているのではないか思います。 本当にこの本は、“言葉”の意味を深く考えさせられる本でした。 “言葉は自分を守る鎧“、“誰かの気持ちを温めるためのもの“、などそれぞれの解釈で言葉の持つ意味を自分の中に落とし込んでいく姿が素敵でした。 これを読んだら、誰しもが仁科さんに恋をすると思います(笑) いつか仁科さんみたいな人になりたい、、
『これから彼女が歩む道が明るい光に満ちたものであり続けることだけを、僕は祈ろう』最後の終わり方がとても好きだった。昔会ったことあったんだな。彼は途中から気づいていて、公園に会いに行ってたのかと思うと心があたたかくなった。
深呼吸して、とんとんとん。 深く息を吸い込んで、ゆっくりと吐き出す。 目を瞑ったまま、軽く握った手で傍らの机に触れ、そっとノックをするように三回叩く。 悪いことが起こりませんように。 何もかもうまくいきますように。 たくさんの幸せが訪れますように。 大丈夫、大丈夫。 もう何も怖くない。 もう何百回、...続きを読む何千回と繰り返してきたから、おまじないの言葉は、まるで息をするようにすらすらと出てくる。 こんなおまじない、効果なんてない。 祈りも励ましも、意味なんてない。 そう分かっているのに、気がつくと私はいつも、誰もいない部屋の片隅で、ひとり机を叩いている。 読書感想文なんてね、そんなに気負わなくていいんですよ。 美味しいお店を見つけたり、面白い映画を観たりしたとき、みなさんSNSに感想を書いたりするでしょう。 とっても良かったから、友達におすすめしたい、という純粋な気持ちで。 読書感想文というのは本来そういうものと同じで、自分が気に入った本を友達に紹介するようなものです。 食べ物や映画みたいに、自分の好きな物を誰かに推薦するつもりで分かりやすく丁寧に、でも何より思ったことを素直に、書けばいいんですよ。 大丈夫かと訊かれると、大丈夫と答えてしまいますよね。 どうして人は、本当は全然大丈夫じゃなくても、大丈夫だと言ってしまうんでしょうね。 たいていのことは、言語化してしまえば随分すっきりするんじゃないかなあ、と僕は思います。 自分の中のもやもやした思いを、言葉にしてみるんです。 そうすると、もやもやが形になる。 ぼんやり広がっていたものが少し小さく固まって、そのぶん頭がすっきりして、気持ちが落ち着いてきて、見える景色が広がるんです。 そうしたら、今まで全く気がつかなかった解決策が見えてくることもあります。 悩み事というのは、よく分からないままで心に溜め込んでいるのが、いちばん良くないんじゃないかなと、僕は勝手に思っています。 だから、言葉にして、形を与えて、見やすく、とらえやすくするんです。 誰かに話す必要は必ずしもありません。 自分の中で言語化するだけでも、随分違うはずです。 形のない正体不明のものよりは、形あるもの、はっきり姿が見えるもののほうが、対処しやすいからです。 私は話すのがうまくないので、なんていうか…変な言い方をして、相手に嫌な思いをさせちゃったり、傷つけちゃったりするのが怖いんです。 だから、黙ってたほうがいいかなって思って、余計なことは言わないようにしてます。 言えなかった言葉や、飲み込んだ言葉が、あなたの胸の中には、溢れそうなくらい溜まっているんじゃないでしょうか。 気持ちを言葉にするって簡単じゃないですよね。 でも、「言葉の力」というものがあると思うんです。 自分の感情を的確に表現したり、それを相手にちゃんと伝えたりする力、と言えばいいでしょうか。 たとえば「なんかもやもやする」では、自分を悩ませているものを形にすることができません。 そうすると、自分の気持ちとは違う解釈をされて、全く望んでいないことをされたり言われたりしてしまうかもしれない。 だから、なるべく自分の思いを正確に言語化できるように、本を読んだり映画を観たり人と話したりして、たくさんの言葉を浴びて、たくさんの言葉を覚える必要があるんだと、僕は思っています。 これまで生きてきて、誰かから言われたことが胸に突き刺さって抜けないことは数え切れないほどあったし、逆に誰かの胸に剣を突き立ててしまったこともきっとたくさんあった。 そのせいで、たくさん失敗したから、言葉は怖いと思うし、あえて言葉にすることを避けてきた。 私いつも格好つけて、平気なふりというか、大丈夫なふりをしちゃうので… それって、相手にばれたらいちばん格好悪いことだよなって、ちょうど最近考えてたところだったので。 僕は言葉に対する向き合い方に真摯さが足りなかったのだと、思い知らされました。 自分とは違う背景や考え方、感じ方をもつ他人の立場に立って考えることができていなかった。 全く悪意のない、希望や祈りを込めた言葉でも、誰かを傷つけることがあると、分かっていなかったんです…。 大人だって、悩んで苦しんで、誰かを羨んで自己嫌悪に陥って、格好悪く足掻いてばかりです。 小説は消費されるものだ。 後世に残り古典となっていく一部の作品を除いて、僕の作品のような有象無象は、消費される一時的な娯楽だ。 何度も読み返されることはほとんどない。 一度読んだら終わりで、十日も経てば内容すら忘れられているかもしれない。 新刊が出るたびに買ってくれていた読者も、みないつかは卒業していく。 それでも全くかまわない。 ただ、僕の小説を読んでくれた誰が、何年も先の遠い未来でも言い、いつかどこかで、悲しみや苦しみを抱えているときに、僕の言葉を思い出して、それが一筋の光になって、その心をほんの少し、ほんの一瞬でも温かくすることができたら、それ以上に幸せなことはない。 僕にはまだ語れる言葉がある。 語りたい言葉が、語らなくてはいけない言葉がある。
言葉の大切さを強く感じた。 自分も感謝の気持ちを伝えられてなかった人に、今さらだけど遅くなってもいいから伝えようと決めた。
言葉にして伝えることの難しさや大切さを感じる本でした。 仁科さんの暖かい人柄に、更紗の優しい気持ちに読んでいて暖かくなり、そんな人もいるのに自分は何て冷たい人間なのか、冷たい感情を持っているのか反省してしまいました。何も言わずに相手の気持ちを自分なりに解釈して思い込んでしまったが故のお父さんとのすれ...続きを読む違い。言葉って本当に大切で難しい、そして優しいと感じました。
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汐見夏衛
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