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Posted by ブクログ
面白かった!
いい本だったなあー
これまで1000冊以上の本を読んできたはずなのに、本を読み終わった後、本当の”最後の1ページ”までじっくり読んだのは初めてだ。
奥付、なんていう呼び名も知らなかったし、本ができるまでの工程に思いを馳せたことはあれど、追求して調べようと思ったこともなかった。
紙の本を愛してお世話になりまくっているのにも関わらず、今までこんな大事なことに気がついていなかったことを恥じるとともに、それを教えてくれた本書には感謝しかない。
一方で、電子書籍に関する話題も出てきた上で、実際に印刷機会が削減されるかどうかという現実的なテーマに向き合う必要も出てくる。これが書かれた時に比べると、生成AIの登場も相まってますます本の世界は先行きが不透明になってきてもいる。
でもどうなろうと、これまで紙の本に救われてきたことは間違いがないし、たとえ絶滅するようなことがあっても、人類が紙の本の上で成長し続けてきて今があるということは揺るぎのない事実だ。
紙であれ電子であれ、私は一生本を読むことを止めない。
Posted by ブクログ
印刷会社の営業浦本君が、
業界特有の困難な案件に直面するも、
若さゆえの未熟さ経験不足で周囲を巻き込みながら、本作りへの情熱や理想でチームに一石を投じ、新しい視点での解決策を見出していく
また浦本君自身の社会人としての成長も見届ける事ができました
斜陽の出版業界
紙の本が消えゆく未来
避けられない社会の趨勢に抗いながらも
後ろ向きではない覚悟を持つ業界の人達の思いにも触れることができました
読み手である私たちにも
覚悟が求められているのでしょうか
物語中に出てくる問いかけ
「どうして紙の本を読むのか」
私は本を手にした時の重みや手触りを感じながら
本の世界に入っていくのが好きです
まさにこの手の中に別な世界が広がっている感覚
だから紙の本がなくなる事は考えたくもないなぁ
文庫版の特別掌編を読んだ後
実際に「本のエンドロール」を作り上げたスタッフ達の名前を見つけたときに
この物語はフィクションだったけれど
そこに描かれていた思いや覚悟は全て現実のもので
私たち読み手に向けて真摯に熱く届けようとする思いは本物なのだとわかって
今この手に感じる本の重みをずっと忘れずにいようと思いました
Posted by ブクログ
読みたいリストの中から手に取った作品。
印刷会社営業、印刷オペレーター、DTPオペレーター…様々な視点から描かれる印刷会社を舞台としたお仕事小説。
一冊の本を造るために、こんなにたくさんの工程があり、こんなにたくさんの人が関わっているなんて…!
本がどのように造られているのか、本の価格設定がどのようにされているのか、など分かっているようで分かっていなかったことを今作を読んで学べた。
思ったより手作業が多いことにも驚いた。
印刷会社を沈みかけの船に例え、いつかは沈むとしても現役でいる間は絶対に沈ませない、よりよい本を造りたい、と奮闘する登場人物たち。
最初は不穏な感じが漂っていたが、営業の浦本を中心に数々の困難を乗り越える度にチームワークが深まっていく展開がとても胸熱だった。
彼らの労働を通して読み手も自分に問いかけたくなるのではないか。
「なぜ働くのか」
「なんのために働くのか」と。
巻末に設けられている奥付。
私は奥付を読むのが好きで、自分の本も子どもの本もまず奥付から目を通す。
でも全部の項目に目を通しているわけではなかったので、これからは隅々まで目を通そうと思った。
私が日々読んでいる本にはたくさんの方の想い、苦労が詰まっているのだということを心に留めておきたい。
私は電子書籍よりも紙の本が好き。
本が増えすぎて困るという悩みはあるけれど、これからも紙の本を愛読していこうと思った。
とても素敵な作品だった。
Posted by ブクログ
印刷会社社員のお仕事小説
以下、公式のあらすじ
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彼らは走り続ける。機械は動き続ける。電子化の波が押し寄せ、斜陽産業と言われようとも、この世に本がある限り。印刷会社の営業・浦本は就職説明会で言う。「印刷会社はメーカーです」営業、工場作業員、DTPオペレーター、デザイナー、電子書籍製作チーム。構想三年、印刷会社全面協力のもと、奥付に載らない本造りの裏方たちを描く、安藤祐介会心のお仕事小説。
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新卒採用の説明会で「印刷会社はメーカーです」という言葉を放った浦本学
営業のエース 仲井戸が「夢は目の前の仕事を毎日、手違いなく終わらせることです」と言った後の反発した想いも含みながらも、あながち的外れではない
ただ、工場の野末には「お前はただの伝書鳩だ」と自分の仕事を否定される
映画なら制作に携わった人たちの名前がクレジットされるのに、
本の場合は、奥付に記載される情報は著者、出版社、印刷会社、発行年月日程度
しかし、その裏には様々な人が携わっている
作者が綴った文章が、編集者、装丁デザイナー、DTOオペレーター、印刷者、製本者など様々な人の手を経て「本」になる
そして、その本を配本し、書店でお客の手元に届ける仕事もある
5章で構成される物語の中で、それぞれ「紙の本」制作に関するドラマが描かれる
・スロウスタート
・長篠の風
・ペーパーバック・ライター
・サイバー・ドラッグ
・本の宝箱
・文庫版特別掌編「本は必需品」
特定の月に間に合わせるように出版したい作者、出版直前に発覚した致命的な誤植
連絡がつかなくなった編集者、有名デザイナーのこだわりと無茶振り
ヒットに恵まれない作家が増刷をかけて背水の陣の決意で挑んだ意欲作、意外な販売戦略
紙の本と電子書籍の違いの現状
締め切りのない、作家の想いが込められた作品紹介
斜陽産業であることが確定的な中で、それでも業界に立ち続ける意義とは?
理想と現実の差異
そんな中で自分できることとは何か?
私自身、本を読むのは好きだけど、その業界で仕事をしたいとは思わない
斜陽産業であるのも理由であるけれども、自分はそこまでの熱意も知識もないからかな
なので、今も尚本を出版するために携わっている人たちには感謝している
あと、自分の仕事への矜持に関してもあまりないかな
特に望みがあるわけでもなく、何も問題なく運用できていればいいという思いはある
なので、どちらかというと仲井戸のようなスタンスだろうか
しかし、自分の仕事が天職と呼べるような人は羨ましいとも思う
「夢で飯が食えるのか」という嘲り
いや、でも、もし自分が野末と同じような立場だとしたら、似たような感情を覚えるかもしれない
特にメロンのくだりのあたり
まぁ、その後のはしゃぎっぷりに関してはもっと上手く誤魔化すけどね
あと、調子の良いことを言って厄介なトラブルを持ち込む営業に対する反応としては正当な理由があるようにも思える
仲井戸さんなら余計な部分を捌いて持ってくるという対比があるからこそ尚更そう思う
知識のない部分に関しては伝書鳩になるのは仕方がないけれども、だとしたら営業の意義とは?を突きつけるのも仕方がない
電子書籍に関する議論
少しずつでもシェアを拡大しているし、しばらくは下がる見込みはない
私も紙の本の方が好きだし、それを仕事にしている人たちにとっては正に死活問題なのだろうけど
ただ「紙の本をなくしてはいけない」といっているだけではジリ貧でしょうね
紙の本のメリットをもっとアピールするか、紙の本でしかできない付加価値をつけるとか、もしくは電子書籍との共存する中で如何に延命措置を図るかという方向性でいくしかないでしょ
それにしても、出版社の電子書籍に対する販売戦略って適切なのか疑問
作中の人気作家のモデルは東野圭吾を想像してしまうわけだけれども
似たような事を京極夏彦は実際にやっている
「ルー=ガルー2インクブス×スクブス」の発売のとき
単行本、ノベルス、文庫、電子書籍の同時発売というアレ
結局売上的にどうだったんですかね?
京極夏彦も言っているように、単行本が買えないから文庫を買うわけでもなく文庫派だから文庫を買うという層もいるわけで
電子書籍も含めて出版の戦略のセオリーが通じない客も増えていると思うんですがね
ちなみに私は文庫派だし
好きな作家さんでも出版と同時に買うような熱心なファンでもないので、出版業界がマーケティングで重要視している顧客ではない
電子書籍も未だ本格的には手を出していない
何かのきっかけに端末を手に入れたらどうなるかわからない
マンガは電子書籍に移行してもいいかと少し思っている
こんな層も結構いると思うし、こんな熱心ではないファン層が市場にはゴロゴロいるはずなのに、そっち向けの販売戦略ではないんだよなぁ
作者の印税が8%だとか10%が適切かどうかはわからない
出版社、取次、書店の分配もそう
それぞれのリスクとコストの持ち分に関係しているようにも思える
電子書籍なら出版までのイニシャルコストはかかるものの、システムが既に出来上がっている環境であればロングテールの戦略を取れるし、もっと売り方としてできることが増えると思う
個人的にひっかかっている電子書籍のデメリットとして
電子書籍は閲覧権限であって、所有権ではないのがちょっとなぁ
いつ出版差し止めになって閲覧でいなくなってもおかしくないし、一度購入したものでも、再ダウンロードできなくなるケースも聞いたことあるし
メリットhは十分に理解しているけれども、やはり当面は紙の本を買うかな
最後の章は売上は見込めないけど作家の思い入れの強い本がテーマ
納期が決まっていないのでいくらでもこだわる事ができるし、デザインも二転三転ともなると
印刷会社として赤字は必至なので厄介な案件ですよね
この仕事が後に繋がるという保証でもあればいいけど、口約束ではねぇ……
そして、文庫おまけの「本は必需品」
短期的にはそうではないかもしれないけど、長期的には本は必需品ですよね
それにしても、文章を綴るのは作者だけど、それを「本」の形にして出版するのは名前が表には出ない人達あってこそ
それがこの物語ではよくわかる
正にこの本のエンドロールのクレジットを見るに、相当な関係者に取材したんだろうなぁと思う
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