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読み返す本
村上作品は、自分のコンディション、世代ごとに何度読んでも違った味が出る。
作品自体が面白いのもあるし、読み手の自分のそのときの状況がすごく影響する。
不思議な作品。
Posted by ブクログ
『ねじまき鳥クロニクル』第一部を読んでいると、
物語を追っているだけのはずなのに、
心が勝手にこれまでの人生を整理し始めるような感覚に陥った。
猫の失踪、仕事を辞めた主人公の日常、
奇妙な電話や不可解な人物たち。
表面的には淡々とした出来事が続いているだけなのに、
読み進めるほどに、
自分自身の内側が静かに揺さぶられていくのを感じた。
第一部でとりわけ印象に残ったのは、
間宮さんが語るノモハンでの体験である。
涸れ井戸の底に落とされ、
一日に数秒だけ差し込む光を浴びた瞬間、
彼は「自分の人生はそこで終わった」と感じたという。
助かった後の人生は、
生きているのに生きていない、
死んでいるのに死んでいないような感覚だったと語られる。
その一節を読んだとき、
それは決して極限状況に置かれた他人の話には思えなかった。
大学時代や精神科病院で働いていた頃、
私自身もまた、
何かに全身全霊で打ち込めるものを見つけられず、
心を燃やす対象もないまま、
ただ「死んでいないだけ」の状態で
日々を過ごしていた時期があったからだ。
第一部に登場する主人公もまた、
仕事を辞め、目的を失い、
どこか世界との接点を見失ったような状態にある。
本田さんから受け取る中身のない箱は、
彼の空洞化した生を象徴しているように感じられた。
また、加納クレタの語る
「痛みを失った瞬間から、生を実感できなくなった」
という言葉も強く印象に残っている。
痛みから解放されたはずの彼女が、
引き換えに世界の手触りそのものを失ってしまったように見えたからだ。
間宮さん、加納クレタ、そして主人公。
第一部に描かれる彼らの姿は、
形こそ違えど、
「生きているのに生を実感できない」という一点で
静かにつながっているように思えた。
私はもともと、
自分の感情に敏感な人間ではない。
面倒な感情には蓋をして、
深く考えずにやり過ごしてきた。
それでも第一部を読み終えたとき、
その蓋が少しずつこじ開けられ、
押し込めていた感覚が
表に浮かび上がってくるのを感じた。
『ねじまき鳥クロニクル』第一部は、
不思議な物語というよりも、
自分の中にあった
「生きているのに生きていない感覚」に
輪郭を与える読書体験だった。
Posted by ブクログ
ノルウェイの森が流行った時に読み、「全然意味が分からない」と思って以来、村上春樹=よく分からない本を書く人と思って敬遠していたのだけれど。
あるきっかけがあり、手に取ってみました。
最初は、また訳分からない話を延々と読まされたらどうしよう?と思っていましたが、全然そんなことはなく、むしろ好きな世界観でした。(戦争体験の語り部分はグロテスク過ぎて飛ばしましたが...)
主人公の亨は、自分のことを客観的に物事を見れる人物だと思ってるようですが、読者の私から見ると、単に相手とも自分とも本気で向き合わず、ただ流しているだけの人に見えました。
ここからどう展開していくのか楽しみ
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