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Posted by ブクログ
すごく面白くてスラスラ読めてしまうのに、不意に出てくる登場人物たちの心情の描写にじわじわ心抉られる。
中でも第三話でのみききちゃんが鷹島古書店に対して抱いていた自身の思いに触れる場面や、
第五話のさんごさんが東山さんへの手紙を書いている内にだんだんと胸に秘めていたものが溢れてしまう場面などは、
こちらも胸を締め付けられるような痛切な描写にひどく切ない気持ちもこみ上げてくる。
メインキャラであるさんごさんとみききちゃんの2人がすごく魅力的で、読んでいく内にどんどん好きになっていった。
特にみききちゃんがけんぶん君に対してサッと図書の十進分類法を述べて詰め寄る場面は、彼女のアツい部分が出てて格好良く、
また後半の東山さんが東京に来てからの、ずっとソワソワウキウキしているさんごさんの様子があまりに可愛らしくて好きだった。
また、そんなふたりが敬愛しているじろう兄の存在も、読み進める内にどんどん大きくなっていった。誰かから語られる描写しかないけど、それだけでも魅力的な人物だということがよく伝わってくる。
それだけに故人であるということが思い出される度に(作品内でも)ひどく切なくなる。
登場する食べ物の描写もまたすごく美味しそうで食欲そそられるんだけど、
中でも「ボンディのカレー」については熱量がすごい。みききちゃんの食レポの後で、更にけんぶん君による熱い「ボンディのカレー」語りが入ってきたのには思わず笑ってしまった。
Posted by ブクログ
焼きそばが出てくる章があります。
「第五話 『馬車が買いたい!』鹿島茂著と池波正太郎が愛した焼きそば」です。単行本の表紙には絵もあります。
池波正太郎が愛した焼きそばとは、揚子江菜館の上海式肉焼きそばを指します。
描写がとても美味しそうです♡
「上海炒麺(シャンハイ チャーメン)は、硬い麺と柔らかいのが選べるの。
基本は柔らかい麺をちょっと焼いた上にもやしや豚肉を炒めたものがのっているんだけど、硬い方はぱりぱりした、いわゆる揚げ焼きそばの麺で、同じ具材のとろみがついたあんがのっているの」
このシーンは、鷹島 珊瑚(たかしま さんご)さんが、テイクアウトの買い物を頼む場面です。
場所は、東京は神田神保町の鷹島古書店です。
この古書店のもともとの店主、鷹島 滋郎(たかしま じろう)さんは帯広出身で、かつて東京大学大学院で国文学を専攻していました。学生運動が激しい時期でした。
運動の過激化に失望して退学した滋郎さんは外国を周ったりしていましたが、帰国後、神保町で古書店のノウハウを学び開業しました。
その滋郎さんが急に亡くなりました。
帯広で両親を看取り、一人暮らしをしていた滋郎さんの妹の珊瑚(さんご)さんのもとに訃報が届きます。
ほぼ1年後、珊瑚さんは上京し、兄の古本屋を開店させました。読書家の珊瑚さんでしたが、古本屋のことは何も知りません。
しかし、開店早々、珊瑚さんのもとには、いろいろな悩みを抱えるお客が訪れました。珊瑚さんはお客に本を紹介し、なぜか美味しい食べ物も勧めて食べさせるのです。
古本 + ごはん = 古本食堂 です。
食べ物を買ってきてくれるのは、甥の娘の美希喜(みきき)ちゃんでした。彼女はO女子大学の大学院で国文学を研究しています。ほとんどは、珊瑚さんのために買って来るのですが、何故か店には美味しいものを食べてもらいたいお客さんがいて。。。
第一話 『お弁当づくり ハッと驚く秘訣集』小林カツ代著と三百年前のお寿司
第二話 『極限の民族』本田勝一郎著と日本一のビーフカレー
第三話 『十七歳の地図』橋口譲二著と揚げたてのピロシキ
第四話 『御伽草子』とあつあつカレーパン
第五話 『馬車が買いたい!』鹿島茂著と池波正太郎が愛した焼きそば
最終話 『輝く日の宮』丸谷才一著と文豪たちが愛したビール
とても素敵な作品でした。
古書、食べ物、進路、恋愛。
珊瑚さんと美希喜ちゃんの交互の語りで物語は進んでいきます。
互いの目線の違いはお話を立体的に膨らませてくれて、お話の背景やお互いの気持ちやお互いを思いやる気持ちを描いてくれています。
お料理の描写がとても美味しそうなのもこの作者さんのサスガの力量です♡
続編が出ていますので、そちらに進みたいと思います。
どうぞみなさまも♡
〔作品紹介・あらすじ〕(文庫版)
鷹島珊瑚は両親を看取り、帯広でのんびり暮らしていた。
そんな折、東京の神田神保町で小さな古書店を営んでいた兄の滋郎が急逝。珊瑚がそのお店とビルを相続することになり、単身上京した。
一方、珊瑚の親戚で国文科の大学院生・美希喜は、生前滋郎の元に通っていたことから、素人の珊瑚の手伝いをすることに・・・・・・。
カレー、中華など神保町の美味しい食と思いやり溢れる人々、奥深い本の魅力が一杯詰まった幸福な物語、早くも文庫化。
(巻末特別対談・片桐はいり×原田ひ香)
〔作品紹介・あらすじ〕(単行本)
かけがえのない人生と愛しい物語が出会う!
神保町の小さな古書店が舞台の絶品グルメ×優しい人間ドラマ
大ベストセラー『三千円の使いかた』『ランチ酒』の著者による熱望の長篇小説
美希喜(みきき)は、国文科の学生。本が好きだという想いだけは強いものの、進路に悩んでいた。そんな時、神保町で小さな古書店を営んでいた大叔父の滋郎さんが、独身のまま急逝した。大叔父の妹・珊瑚(さんご)さんが上京して、そのお店を継ぐことに。滋郎さんの元に通っていた美希喜は、いつのまにか珊瑚さんのお手伝いをするようになり……。カレーや中華やお鮨など、神保町の美味しい食と心温まる人情と本の魅力が一杯つまった幸せな物語。
Posted by ブクログ
神保町で古書店を営んでいた兄滋郎が亡くなり、妹の珊瑚が店を相続することになる。親戚で国文科の大学院生の美希喜(みきき)も店を手伝うことに。
二人の語りで物語は進み、様々な本、そしてグルメがでてくる。
古書店とグルメはミスマッチな気がしたが、すごくおいしそうな描写で神保町にご飯を食べに行きたくなる。
作者の本への愛情も感じられる。
古書店は敷居が高いけれど、こんな店があるのなら訪れてみたい、そう思わせてくれる本だった。
第二話の会話の中で出てくる、クリスティ。昔何作か読んでいるけど、ほぼ忘れているし、読んでない物もたくさんある。『カーテン』、読みたくなった。
第四話の『お伽草子』も読んでみたい。
そして、この本を読んでいて、思わぬ『再会』をした。
第三話の「『十七歳の地図』 橋口譲二著と揚げたてピロシキ」。
昔、橋口氏の鎌倉(遠い…)で行われた講演会に行ったことがある。
『ベルリン物語』は何度も読んだし、『それぞれの時』も。
『十七歳の地図』だったか、もう覚えてないけれど、写真集も買った。
若者たちは笑顔ではなく、強い目でこちらを見つめ返してくるような写真が多かった。
橋口氏は、写真を撮るときに彼らに色々質問をして、その中に「いままで行った一番遠い所は?」という質問があったことも覚えている。
橋口氏に再会というより、『ベルリン物語』を読んでいた頃の自分に再会した気がした。
Posted by ブクログ
とても素敵な小説だった。
読み終わった後、ああ好きな作品だなって
心がほかほかした。
亡くなった滋郎の妹で、古本屋を相続することになった珊瑚と、珊瑚の親戚の国文科の大学院生、美希喜のそれぞれの視点から物語が進んでいく。美味しい食と優しい人たち、興味深くよんでみたくなる本が詰まっていて、私の大好きな一冊となったな。滋郎さんが亡くなった後もたくさんの人に影響を与えていて、涙が溢れた。心の中で生きているんだなって。
珊瑚さん視点も美希喜ちゃん視点もどう物語がすすんでいくんだろうってワクワクして、途中から一気によみすすめられた。
大好きになった一冊。
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