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Posted by ブクログ
村田沙耶香らしいぶっ飛んだ設定が光る12の短編・掌編で構成された一冊。表題の『生命式』は先に読んだ『消滅都市』の構想にもつながる話ということで面白く読んだ。設定はさまざまだが、世の規範や常識とされるものへの違和感や馴染めなさとどう折り合うか折り合えないか、あるいは折り合わないことにするか、といったあたりはまさに著者の得意とするところですが、色々な設定の、だけどどこか似たところのある短編たちを読んでて感じた著者の描く世界や人物の面白さは”判断の早さというか潔さ”みたいなところにあるのかなと感じた。例えば『生命式』では、人を弔うときに個人の身体を食べ、新たな生命を授かるために男女が出会い”受精”するという文化で、主人公は自分の子どもの頃はそうではなかった、と馴染めない側の異端者として描かれ、主人公よりはるかに年上のそれ以前の文化でより長く生きていたであろう人が「本当に良い文化ね」などと世の価値観が一変している。この世界に生きている人たちは新たな価値観への適応があまりに速くて主人公がついていけない。一方で『孵化』の主人公が自分には「性格がない」と判断したり、『パズル』の主人公が建物と人間の捉え方を変えたりするようなときは、ある意味葛藤がなく一瞬で切り替えているような感じ。どちらにせよ潔い。
あとは、村田さんの身体を物質的に捉える感覚が気になった。個人的には宇宙の話とか、物理学の話なんかを読んでいると、自分の身体の物質感みたいなものを考えたりすることはあるんですが、村田さんはそういうマクロ的だったり抽象的だったりではなく、日常生活の中でそういう感覚を持って過ごしているのかなと。
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