ユーザーレビュー 寄宿生テルレスの混乱 ムージル / 丘沢静也 物語の構造の分析だとか、メタファーを勘ぐるだとかっていうのをしたくない小説。 センテンスが美しい。 それぞれ”魂”が知識、経験、本能、知性でできた土壌に根付く過程は人それぞれ違うのだから、構造や、個人個人の表面的な人格が気にくわないというのは、読み方としてちょっと違うような。 Posted by ブクログ 寄宿生テルレスの混乱 ムージル / 丘沢静也 面白かった。 ムージルの他の著作にも言えることだけれど、最初はどうにも難解に思える。だけれど、読み進めていくうちに著者の語っていること(あるいは語っていないこと)がなんとなく見えてくる。 そして決して語り得ないことを必死で語ろうとするその姿勢に打たれる。 名作です。 Posted by ブクログ 寄宿生テルレスの混乱 ムージル / 丘沢静也 "というのも、大人になりかけの人間の最初の情熱とは、ひとりの女にたいする愛ではなく、みんなにたいする憎しみなのだから。自分が理解されていないと思うこと。そして世間を理解していないこと。そのふたつのことは、最初の情熱にくっついているものではなく、最初の情熱のたったひとつの、偶然ではない原因なのだ。" ...続きを読む "人間が生きる人生と、人間が感じ、予感し、遠くから見る人生とのあいだには、狭い門のように、目に見えない境界線がある。できごとのイメージが人間のなかに入っていくためには、その門で圧縮される必要がある。" "思想が沈黙しているときに、ものごとを見ていると、ぼくのなかでなにかが生きているのだ、と。それは、ぼくのなかにある暗いものです。あらゆる思想のなかに隠れているけれども、思想では測れないものです。言葉では表現できない生ですが、ぼくの生なんです・・・この沈黙している生が、ぼくを暗い気持ちにさせ、ぼくのまわりに押し寄せてきたのです。" 寄宿生テルレスが、そこで起こる暴力や性にたいして、ものごとと魂の関係性にたいして、意味を見いだし、心の平安を持ちたいと願うが、混乱する一方。世界はデタラメだし、自分自身、清らかでありたいと同時に、暗いものに魅せられていく心から逃れられない。ものごとはものごとのままでもあるし、ものごとのままでもないし、他人は他人。ひとりひとりの人生に出来事やものごとなど、まったく予測し得ない形で突然現れては消えるもの。 心の混乱を混乱として描いた傑作。 Posted by ブクログ 寄宿生テルレスの混乱 ムージル / 丘沢静也 バジーニへのいじめのシーンは途中で本を置けなかった。少年たちと先生たちの生きている世界は違う。お互いの会話は噛み合わないし理解できないからこそ、子供時代は残酷だったことを思い出させてくれた。「ことば」の限界は体験でわかっているのに、それでもなお「ことば」を使って説明し、わかってもらったと思う大人。こ...続きを読むの先未完の『特性のない男』に手を出そうか悩んでいる。 Posted by ブクログ 寄宿生テルレスの混乱 ムージル / 丘沢静也 おおお混乱してんな。乱暴にいえば厨ニ病(そういえばタイトルもラノベっぽ略)。題名のとおり寄宿生テルレスが混乱する話。特に後半。ものすごい。 大人から見たら「そんなの」って鼻で笑われるようなことが、僕らにとっては世界そのものだったのです――とでも言うべきか。 ♪ちょっと違うかもしれないが「Aoi(サカ...続きを読むナクション)」が合う。気がする。疾走する思考的な。 P.S.:よくよく考えると、寄宿学校(クローズした空間)を舞台に繰り広げられるいじめいびりと同性愛……これなんてじゃぱにーーーず。 Posted by ブクログ ムージルのレビューをもっと見る