ずっとまえに(たぶん、大学一年のときの御厨ゼミで?)文献購読の課題図書になっていて、途中まで読んだのだけどタイムアップで読み切れずにいた本。
いいかげん読もうと思って読んだら、意外とするするっと読めた。
読み物的読み物。
独立戦争前の状況から説き起こして、共和国としてのかたちができるまで。
主
...続きを読むにページを割いているのは、
7年戦争、またはフレンチ・アンド・インディアン戦争 1756~1763年 から、
初代大統領 ワシントンの退任 1796年 までですが、
それ以前の
主要な植民地の建設(1607~) にも言及して各植民地の特色を記述、
それぞれの植民地で生まれ、現在のアメリカの「建国神話」に連なるような伝承の発生と、その現代の「アメリカ」に連なる意味・位置づけなど。
(例えばインディアンと植民者の融和を描く、ヴァージニアのポカホンタス伝説、
メイフラワー号に乗ったピューリタン(ピルグリム・ファーザーズ)の移住から始まる、プリマスを中心とするマサチューセッツの発祥・・・・)
そんな背景状況の説明が第1~第3章。
第4章以降は、編年体に近いかたちで章が並んでいくものの、
あちらこちら、作者が語りたいように語りが進むのが楽しい。
この本の出たのが2006年という時期から、いかにも9.11後らしい記述、言及が多い。
ブッシュ批判、アメリカの「多様性」とは?といったところへの言及・・・
「人種のるつぼ」から、
「今日のアメリカは、各エスニック集団の自己主張を認めながら、それらを包み込む統合体として機能する社会を目指しており、『ポストエスニック・アメリカ』と呼ぶのがふさわしい(P204)」とかね。
(diversity ⇒ pluralism)
またワシントン、フランクリン、それに隠れた「憲法の父」のマディソンを主要な「建国の父」として、それぞれの人格形成を記述する中で、
当時の指導者層の生活様式にも言及が及ぶ。
(というあたりが、読み物として面白くなる要素)
国の政体を決めるような大会議と並行して、どこの畑に何を植えるか、細々とした指示書を農園の管理者に書き送るワシントン、とかね。
何となく、楽しい歴史の授業ってこういうのよねぇ、と思わせるような本。
記憶すべき筋・・・編年体で、主要人物名を押さえた記述と、
現代に連なる、"生きた"前提としての物語。
なので、別にアメリカ史興味ないけどってひとにもお勧め。