読んでいて、なんともやるせない気持ちになった。もしあの大震災がなかったら・・・、人生が狂うこともなかったかもしれないし。
本書は神戸生れ育ちで、阪神淡路大震災を経験した作家・谺氏の2作目となります。
1作目「未明の悪夢」も大震災の神戸を舞台にしています。
もう10年以上経ったんですよね~。人間の記憶
...続きを読むって本当に薄れていくものです。
ましてや実際に体験していないと余計に対岸の火事みたいな感じで尚更です。
3作目の「赫い月照」も、本書のそれからが描かれています。
この大変だった惨事を風化させたくない、という著者の意気込みが感じられます。
さて、本書ですが、これまた切ないです。
事件もそうですが、それよりも被災者の心情や生活状態など、谺氏だからこんなにリアル感が出せるのだろうと思います。
もちろん推理小説としても、伏線がうま~く織り込まれ、どんでん返しも面白いですし、探偵コンビもいい味を出しています。
できれば一作目から読まれることをオススメします。