面白かった。
タイトル付けが上手いね。気になって手に取ってしまう。
日本の食料自給率が低いというのは、もはや周知の事実だと思う。
しかも、本書によれば、その自給率はカロリーベースではない。生きるのに必要な食料は、本当はもっと足りない。
さらに、その算出でさえ、楽観的な見方を含むらしい。
食料とい
...続きを読むえば、穀物や食肉などを思い浮かべるけれど、必要なのはそれらだけではない。植物を育てるにはカリウムが必要。そのカリウムに関しては、日本はほぼ全てを輸入に頼っている。というのは知らなかった。
よく言われるのは、日本の農業政策は過保護だということ。農業が過剰に守られている、という意味。そして海外の農業は自由放任というイメージがある。
しかし現実は真逆。
海外はしっかりと農政をしている。自国の農業を守るため、助成金や貿易交渉をしっかりやる。
そして日本はと言えば、放任。というか放置。という現実があるらしい。
諸悪の根源は、財務省。というより、省庁間のバランスかな。
昔は農林水産省がもっと発言力を持っていた。
それが、安倍政権の頃から壊れていった。安倍政権が人事権を行使して、省庁間のバランスが壊れてしまった。これはとても有名な話。だけど、農政にまで影響していたとは…。
さらに日米の農産品の貿易について。日本は過剰生産を引き受ける立場にある。官僚の間では、自国の農業の方を大切にしよう、と言える雰囲気ですらないらしい。
問題は根深い。
さらに、我々一般市民の意識の問題もある。
台湾で食肉に関するデモが起こっていた、なんて知らなかった。
輸入品の安全性を気にする日本人って本当に少ないよね。けれど、人間に悪影響を及ぼすホルモンは確実に使われている。そんな食品を日本は受け入れまくっている。とてもショッキングな事実。
最後に食料自給率の向上に関して。
金額ベースの目標は誤ることがある。金額ベースならば、高価なフルーツを量産すればいい。けれど、それだけでは生きて行くことはできない。カロリーベースでの目標値が重要。というのは学びがった。
面白かった。大変勉強になる一冊。